「東大現役合格」というと、「どこの塾に通っていたの?」とよく聞かれます。でも娘は、いわゆる大手進学塾や予備校には行きませんでした。娘の自学自習を支えたのは、幼少期からずっと続けてきた通信教育。その活用方法やメリット、長く続けるコツを紹介します。連載4回目です。
塾って必ず行かなきゃいけないもの?
筆者ももちろんそうでした。実際、小学校高学年の頃、塾の体験授業に行かせたこともあります。けれども超マイペースの娘には、ベテラン先生がハイペースで進める授業は合わなかったようで、「行きたくない。学校から帰ってきて、さらに塾なんて面倒くさい」と一蹴。本人にやる気がないのに行かせても身につかないだろうと思い、筆者も無理強いはしませんでした。
そんな娘の勉強の拠り所となっていたのが、通信教育です。
わが家が選んだのは「進研ゼミ」です。筆者自身も子どもの頃に受講していてなじみがあったこともあり、娘がまだ赤ちゃんのときに送られてきた「こどもちゃれんじ」のDMを見て、迷わず申し込むことにしました。
といっても、早期教育をはじめたという意識はまったくありませんでした。年齢に合わせた知育おもちゃなども付いていて、「これは楽しそう!」という軽い気持ちでした(笑)
でも、結果的にはこれが大正解だったのです。
通信教育のメリットは自学自習の習慣が身につくこと
毎月送られてくる教材を1カ月かけて終わらせればいいので、毎日少しずつ進めることもできますし、時間のある週末に集中して取り組む、というやり方もできます。習い事のある日とない日で勉強量を変えたり、遊びに出かけてできなかった分を翌日頑張る、というのももちろんOK。塾のように往復の時間も必要ありませんし、好きな時間にできるので、ちょっとした空き時間を活用することもできます。
ちなみに娘の場合は、朝食前に勉強タイムを設定していました。
「朝なんてただでさえ忙しいのに、絶対ムリ!」という声が聞こえてきそうですが、1日の量は20~30分程度です。朝なら急な予定が入ることもあまりないので、毎日一定の時間を確保しやすいというメリットもあります。
確かに親はさまざまな準備で大忙しですが、娘は朝ご飯を食べて出かけるだけ。筆者が起きる時間に一緒に起こして、朝食を作っている間に、娘はワークブックを1ページ。これを毎日コツコツと続けたことで、自然と朝学習の習慣ができました。
また、「進研ゼミ」には1カ月の予定や、どこまで進んだかを細かく書き込めるカレンダーがついていて、イラストやシールを使って楽しくスケジュール管理ができるようになっていました。それを使って、1日に何を、どのくらいやれば1カ月でやり終えることができるのかを考えていくうちに、自分で計画を立てて勉強するという習慣が身についていったのです。
進学塾の落とし穴
けれども、そこに落とし穴があるのです。
そもそも勉強は、自ら考えたり、覚えたりしなければ身につきません。塾でどんなに素晴らしい授業を受けても、ただ何となく聞いているだけでは、知識として定着させるのは難しいでしょう。でも、子どもは塾に通って先生の話を聞いているだけでも「勉強した」気になってしまいます。しかも、「塾で勉強しているから、家ではやらなくてもいい」と思ってしまう子もいます。
また、塾ではかなりの量の宿題が出されます。これを言われるままに終わらせていくうちに、受け身の姿勢が身についてしまう危険性もあります。
会社でときどき、「優秀な大学を卒業しているのに、仕事では全然使えない」なんて新入社員がいたりしませんか。そういう人はもしかしたら、先生や親に言われたとおりに勉強してきただけで、「自分の頭で考えて行動する」という経験が足りないのかもしれません。
学年が上がると、塾の費用も上がる
小さいうちから通わせていると、最初は週に1~2回で時間も短く、塾代も思ったほどかからないかもしれません。でも、普通は学年が上がるにつれて授業数も増えますし、一コマ当たりの授業料も高くなります。さらに夏期講習や冬期講習、模試や特訓授業などがあったりもします。
もちろん、どの授業を取るかは自分で選択することができますが、塾の先生に「これは絶対に受けたほうがいい」と勧められたり、「周りがみんな受けているから、自分も受けないと差がついてしまう」と不安に感じてしまい、気づいたら驚くほど塾代が高くなっていたという話もよく聞きます。
その点、通信教育は料金システムもシンプルだし、塾に比べたら圧倒的に安く受講できます。最近はメールでわからない問題について質問できたり、インターネットで授業形式の特別講座を受講できるなど、さまざまなサービスも出てきています。
通信教育成功の秘訣は、幼い頃からの習慣づけ
わが家の場合は、通信教育をはじめるときに、「必ず1カ月でその月の教材を終わらせる。終わらなければ、新しい教材は開けない」というルールを徹底させたのが功を奏しました。
ご存じの方も多いと思いますが、「こどもちゃれんじ」には魅力的なおもちゃやDVDなどたくさんセットになっています。しかも、本誌の中で翌月号の魅力をたっぷりと宣伝しているので、娘の期待も最大限に高まります(笑)
そこですかさず、「今月号を終わらせないと、新しいのが来ても開けちゃダメだよ」と言うわけです。
そして、すべてをやってあるかを筆者が細かくチェックして、少しでも抜けているところがあったら、「ここもちゃんとやろうね」と言って最後までやらせるようにしていました。
これを続けることで、娘は「必ず1カ月で教材を終わらせる」という意識が刷り込まれたようで、小学講座、中学講座と進んでも教材を溜めこむことはありませんでした。
もちろん、学年が上がるにつれて勉強の要素が増えるので、幼い頃のように「おもちゃを目当てに……」という手段は使えなくなりますが、代わりに面白い連載読み物などが登場したり、毎月の提出課題を出すことでポイントをため、かわいい文房具や雑貨と交換できる制度があったりして、娘は大いにモチベーションを刺激されていたようです。
わが子に合った教材を探そう
インターネットで検索すれば、通信教育の比較記事もたくさんヒットします。長く続けるためにも、まずはしっかりと情報を集めて、お子さまの性格や興味に合いそうなものを探してみてください。
そして、必ず体験教材を取り寄せてみましょう。できれば、親がいいと思った教材をいくつか無料体験させてみて、最終的にはお子さまに選ばせるというのがオススメです。自分で選ぶことで、主体性が生まれるからです。
家計にも優しい通信教育を上手に利用して、お子さまの「自ら学ぶ力」を育ててみませんか?