2021年07月06日 公開

非認知能力を高める鍵は幼児期の「遊び」にある

非認知能力と遊びには密接な関係があると言われています。幼児期に遊び込む体験をすることが非認知能力を高めるというデータもすでにあり、幼児期の遊びがいかに子どもにとって大切かを物語っています。

           

遊びは幼児期の子どもにとって、呼吸をするくらいとても大切なことです。この時期に思いっきり遊び込む経験を重ねることで、非認知能力の土台を築いていきます。今回は、非認知能力と遊びの密接な関係についてご紹介します。

幼児期に遊び込むことが非認知能力を育む

非認知能力 子ども

子どもにとって遊びとは、実体験を通して様々なことを学んでいく貴重な場。この遊びとは、他人から強いられるものではなく、子どもが目を輝かせながら夢中になってやっている、自発的で自由な遊びのことです。

子どもは、興味関心のあることを遊び込む経験を通して、自ずと意欲を育んでいきます。端から見たらただ遊んでいるだけと感じられる場面でも、子どもながらに「問い」を持って「探求」しているのです。これは学びの実践であり、まさにアクティブ・ラーニングと言えるでしょう。

ベネッセ教育総合研究所では、2000名の保護者への調査を実施し、遊び込む経験がその後の学びに向かう力(=非認知能力)を支えていると述べています。
※アクティブ・ラーニング・・・積極的で能動的な学びのことで、現在注目を集めている教育法のこと

(PDF引用)ベネッセ総合研究所

また、アメリカの「遊びの研究所」の創業者であり、内科医・精神科医でもあるスチュアート・ブラウン博士は、6000人の子どもを対象に遊びと成長の調査を行いました。その調査で、遊びは子どもにたくさんの良い影響を与えていることを発見したのです。
ブラウン博士は、その調査結果から

子どもは遊ぶことで子どもの脳の柔軟性、順応性、創造性を高め、さらに、共感力や社会性を身に付ける

と言います。

このように日本でも海外でも多くの研究結果から、幼児期に子どもが思いっきり遊ぶ経験は非認知能力を高めることがわかっています。

遊びを通してどのように非認知能力を身につけるの?

ハーブせっけん

先のベネッセ総合研究所で発展的な遊びの事例が挙げられています。

ある女児が家庭から園にハーブを持ってきたことをきっかけに、保育者は遊びが広がるようにとハーブの本を用意したという。すると、そこに書かれていたにおい袋やハーブ入りの石鹸に子どもの興味が広がり、石鹸作りに取り組むようになった。そうした活動を記録にまとめ、園内に掲示したところ、石鹸会社に勤める保護者が協力を申し出た。その保護者に聞きたいことが子どもたちから出てくると、保育者の提案により、ひらがなを書ける子どもが他の子どもの意見を聞きながら、質問を紙にまとめ、どうしたらハーブ入りの石鹸を作れるのかをたずねたり、石鹸を作る過程を工場で見てみたいなどの希望を伝えた。その後、工場見学の許可をもらい、バスで行くことになった。その際、乗り物好きな子どもが、どの路線のバスを使ったらいいのかをバスのターミナルの人に聞くことを提案した。そしてターミナルに行き、そこでもらった路線図も見ながら、工場への行き方を確認した。子どもから活動の様子を聞いていた一部の保護者も興味をもって、一緒に見学に行くことになった。子どもたちは、工場に行き、工場の人にたずねた話をいかして、その後、ハーブ入りの石鹸作りに成功したという。

引用:ベネッセ総合研究所「園での経験は幼児の成長にどのように関連するのか(前編)」

発展的な遊びが子どもにどのような影響を与えたか考えてみましょう。
あるひとつの事象(女児が持ってきたハーブ)から、書籍を使って調べ興味関心を広げることで、さらに「やってみたい!」「方法を知りたい!」と探究心が芽生え、目的達成のための方法について思考する。幼児にとっては難しい事柄も、他者との協力やそれぞれの強みを活かすことで目標をやり遂げる。この成功体験は、達成感、行動力、協調性、問題解決力など、さまざまな非認知能力を高めたことでしょう。

ときに、保護者にとっては子どもが遊びの偏りにあることが心配になることもあるかもしれません。それでも、子どもが何かに興味を持ったときには、徹底的にやらせてあげると思いもよらない経験ができるかもしれません。本を読むことで知識が広がったり、取り組みのなかで別の事柄に出合ったり、ひとつの興味関心からどんどん枝分かれしていく可能性があるからです。

小さい頃に何かに夢中になった経験は、子どもの人生の財産。興味の対象はある時期になると違うことに移っていくかもしれません。徹底的に遊ぶ体験が、何かに好奇心を持って行動を起こす原動力へと変わっていくのです。

非認知能力を育てる遊びのポイントや親の心がけ

この遊びをすれば、この声かけをすれば子どもの非認知能力が絶対に育つというわけではありません。ですが、非認知能力を育むためのちょっとしたコツはあります。ぜひ子どもの気持ちに寄り添いながら、日常生活の中で意識して取り入れてみてください。

親子

1.夢中になる機会を作ろう

多様な経験は非認知能力形成の鍵です。お家遊び・外遊びとさまざまな遊びの機会を作り、子どもが好奇心を持つことや、夢中になって何かをやり抜く経験をたくさん増やしてあげましょう。その中から、「好き!」「楽しい!」と思えることに見つかるはず。まずは色々な経験を通して好奇心の種を蒔くことから始めてみましょう。

2.成功体験を積み重ねる手助けを

子どもが何かに頑張っているときに、認めたり褒めたりして、小さな成功体験をたくさん積ませてあげましょう。子どもをよく観察し、「○○が□□にできて、とっても上手だね!」といったように、具体的な言葉をかけてあげるとより効果的です。どんなにささいなことでも、成功体験を積んでいくと自信がつき自己肯定感も高まります。

3.外遊びは積極的に取り入れて

外遊びを取り入れて、自然の中で思いっきり体を動かす体験を大切にしてください。外遊びは、発達の土台となる身体能力を高めるだけでなく、好奇心や想像力、コミュニケーション能力などさまざまなスキルが鍛えられます。

見たことのない虫や植物を見て、「これはなんだろう?」「調べてみよう!」と行動が派生していくことも。本などで得た知識を実体験に移す機会にもなりますよ。

また、小学生以上の研究ですが、自然体験をすることが自己肯定感の向上につながることが国立青少年教育振興機構の調べでわかっています。

4.何歳になっても絵本を読み聞かせてあげよう

絵本の読み聞かせは親子のコミュニケーションを深め、好奇心を高めてくれるでしょう。何気なく読んだ絵本から、興味の幅が広がることだってあります。
さまざまな世界へと導いてくれる絵本は、想像力・読解力・先を見通す力・観察力などあらゆる非認知能力を高めてくれる最高のツール。読み聞かせに年齢制限はありません。子どもが読んでほしい間はぜひ続けてくださいね。

5.子ども自身が持つ力を大切に

遊びの中では親主導ではなく、子どもの個性や主体性、自己決定権を大事にしましょう。子どもは自分が興味を持つことに没頭して遊ぶことで、自信や興味の幅を広げていきます。親から強制されることなく自分の意思を尊重してもらえることは、両親から認めてもらえていると自信や自己肯定感の萌芽にも。その子らしさを大切にすることが自己肯定感、好奇心、行動力へと繋がっていくのです。

また、子どもは遊びの中で悔しい思いや悲しい思いをすることもあるでしょう。そんなとき、家庭が安心安全な場所であれば、子どもは早く立ち直ることができます。困難にぶつかってもふんばれる回復力を身につけていけるように、家では子どものありのままの姿を受け止めてあげたいですね。

子ども自身を認めてあげることが非認知能力向上への近道

親子

どれも基本的でちょっとしたことなのですが、子どもが頑張っているな、一生懸命だなとまず気付くことが大事です。そしてそれを言葉にして子どもに伝えてみましょう。子どもにとって今夢中でやっている遊びは、とても大事なことなのだと理解する親の大らかさが大事です。また、大好きな両親から褒められたら、子どもは嬉しくて自信がつき自己肯定感も上がるでしょう。

どうか無理をしすぎることなく、リラックスして今一度お子さんの姿を見つめ直してみてください。子どもが何かに関心を寄せているときはチャンス!  遊びが広がるように少し手を貸してあげたり、声をかけてみましょう。繰り返しますが、非認知能力を高めるには特別なことではなく、日常的な遊びから得る体験が大事なのです。夢中になって遊ぶ体験で、子どもは非認知能力を育んでいきます。

子どもが夢中で遊んでいたら、心の中で学んでいるなと思ってあたたかく見守りましょう。

《参考文献》
『0〜5歳児の非認知的能力(佐々木 晃)』チャイルド本社
『非認知能力を育てるあそびのレシピ(大豆生田 啓友・大豆生田 千夏)』講談社
『非認知能力の育て方(ボーク茂子)』小学館

《参考URL》
ベネッセ総合研究所「園での経験は幼児の成長にどのように関連するのか(前編)」
https://berd.benesse.jp/jisedai/opinion/index2.php?id=4947

国立青少年教育振興機構「青少年の活動体験等に関する実態調査
https://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/84/

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WRITER

大曽根 桃子 大曽根 桃子