2021年07月15日 公開

非認知能力を育む0歳児の遊び

0歳児にとって非認知能力を育む土台となるのが、親子の愛着形成をしっかりと育むこと。身近な大人からありのままの自分を愛されることを赤ちゃん時代から経験することが大切です。また、親子で一緒に楽しく遊ぶことで、非認知能力も育んでいきます。親子笑顔で楽しく過ごせたらいいですね。

           

赤ちゃん 遊び

近年、IQや偏差値など数値化できる能力(認知能力)だけでなく、コミュニケーション能力や協調性、自制心など“非認知能力”と呼ばれる「生きていくために必要な能力」が重要視されています。

2020年3月に改定された学習指導要領でも“生きる力”と称し、主体的に学ぶ力や思考力の形成に重きをおいています。非認知能力は大人になってからも役立つ力と言われており、非認知能力の高さが将来の学歴や所得にも大きく影響することが研究結果でも明らかになっています。

非認知能力の形成は「人間の土台作り」に繋がっているのです。この連載では、さまざまな視点から非認知能力について考えていきます。

「遊び」と「親子の関わり」が非認知能力形成につながる

『非認知能力を育てるあそびのレシピ』(講談社)など育児について多くの著書を執筆し、乳幼児教育学を専門とする大豆生田啓友氏は、このように言います。

親など身近な大人との基本的な信頼関係を持つことが何より大切なのです

子どもが夢中になる時、「あそび」は豊かな「学び」となるのです

乳幼児期から親子の関わりを大切にし、たくさんの遊びでさまざまな経験を積み重ねることが“生きる力”を高めることにつながるんですね。

非認知能力は、何歳からでも身に付くと言われていますが、赤ちゃんの時期からできることはたくさんあります。今回は、0歳児の「非認知能力を鍛える遊び」についてご紹介します。

0歳児は親子のアタッチメントが大事

アタッチメント

非認知能力を育てる上で基盤となるのが、赤ちゃん時代から大人に愛されて無条件に受け止められる経験することです。 精神医学や心理学では“アタッチメント”“愛着形成”と呼ばれ、不安な時に特定の大人にしっかりとくっつくことで、確かな安心感を得て、その中で形成される情緒的な絆のことを言います。

赤ちゃんが「泣く」という行動をするのは、何かを訴えているとき。そんなときに、「どうしたのかな〜?」と優しく声をかけられたり、よしよしと抱っこをされたりすることで、赤ちゃんは「自分は無条件で欲求が受け入れられて助けてもらえる存在なんだ」と実感します。

そして、その積み重ねが、安心感や信頼感を得て、期待感を高めることにつながります。そうすることで、非認知能力のひとつである自己肯定感も上がっていきます。

昔から伝わるアメリカンインディアン子育ての言葉で、「乳児はしっかり肌を離すな」とあるように、赤ちゃんにとって、信頼できる大人と肌を触れ合うことは本当に大事なことなのです。

普段の生活から積極的に関わりを

赤ちゃんとの触れ合いが大事だとしても、四六時中赤ちゃんに構っている必要はありません。お母さんなどの保育者が精神的に安定していること、ご機嫌であることも赤ちゃんの心を左右しますから、くれぐれも無理のない範囲で赤ちゃんと関わってみてください。

おむつ換えのときに「気持ちよくなったね〜」と声をかけたり、上手にげっぷが吐けたら「すごいね〜」と声をかけたりなど、何かのついでにお話ししてみるだけでも十分です。

また、赤ちゃんが機嫌よく遊んでいるときであれば、そのままそっとしておく時間も大事です。少し心配であれば、時折家事をしながら赤ちゃんの喃語に答えたり、遠くから歌を歌ったり声かけしてみましょう。

赤ちゃんに何を話していいかわからないという方は、お料理をしながら料理内容の実況中継をしてみては? お料理の際には台所に危険なものがないか、赤ちゃんが触れてしまわないかくれぐれも事故のないように気をつけてくださいね。

子どもの発達は階段を上るように進んでいく

赤ちゃん

ここで少し子どもの発達についてお伝えします。子どもの発達は階段のようになっていて、体と心の成長に必要なスキルは段階を追って身につけていきます。非認知能力にあたるコミュニケーション能力や思考力などは階段の上段にあるので、その前に土台を築くことが大切です。

触覚、視覚、聴覚、固有覚、前庭覚など体のバランス感覚やコントロール力、感覚を養うことが発達の土台です。乳幼児期の動きのある遊びは、この土台形成につながるものばかりです。

※固有覚…自分の体の動きや位置の認識する感覚で、体をコントロールするはたらきなどがあります。
※前庭覚…自分の体の揺れや傾き、スピードを認識する感覚で、バランスをとるはたらきなどがあります。

0歳からできる非認知能力を鍛える遊び

赤ちゃん 遊び

「非認知能力を鍛える遊び」と聞くと、「もっと月齢が高くなってからなのでは?」と感じることもあるでしょう。
しかし、乳児期からできることたくさんあります。0歳児にとって、親子でたくさん関わりを持つことが何よりも非認知能力形成につながり、そして一緒にたくさん遊ぶことを通して、情緒を育むことができます。

とはいえ、まだおしゃべりができない赤ちゃんとどうやって遊んだらわからないと、困ってしまうことも少なくありません。ここでは、赤ちゃんとの関わりを持ちながら、非認知能力形成につながるような遊びをご紹介します。

いないいないばぁ

月齢が低い赤ちゃんも喜ぶ遊びが、いないいないばぁです。顔を手で隠し、手を開いたらニッコリと赤ちゃんに微笑みかけます。何度も繰り返しているうちに、赤ちゃんも笑顔で答えてくれることでしょう。応用版として、人形やおもちゃをハンカチなどで隠してば〜っと見せても。

いないいないばぁの遊びは「次に何が起こるんだろう?」という“期待感”や「またママのお顔が出てくるはず!」という予測力”が発達する遊びですね。
赤ちゃんの時期から、普段何気なしている遊びでも、実は非認知能力につながるエッセンスがあることがわかります。

手遊び・歌遊び

「一本橋こちょこちょ」、「あたま・かた・ひざ・ポン」、「パンダうさぎコアラ」、「バスにのって」などの手遊び・歌遊びも赤ちゃんは大好き。明るく楽しい声で赤ちゃんに優しく触れながら歌ってみましょう。

手遊びや歌遊びは、何よりも大人の優しい歌声に安心感を与えます。0歳期は、一緒にリズムにのって手をパチパチすることがメインですが、月齢が上がるにつれ歌のアレンジをしたり、「グーチョキパー」でさまざまな形を作るといった想像力”・”創造力”・”応用力”も身についていきます。

こちょこちょ遊び

赤ちゃんにこちょこちょをするだけのとても簡単な遊びです。手軽にできる遊びながら、赤ちゃんはキャッキャッと声をあげて大喜び。

指で優しくつんつんと赤ちゃんのいろいろな場所に触れてみるのも楽しいですよ。体に触れ合う遊びは、まさにアタッチメント形成につながります。ママやパパの温もりが赤ちゃんは大好きです。

動きのある遊び

赤ちゃんを抱っこして優しく上にあげて「高い高い〜」と声をかけたり、ゆらゆら〜と声をかけてゆりかごのように赤ちゃんをゆっくりと揺らす遊びも赤ちゃんは好みます。デリケートな赤ちゃんなので、扱いは丁寧に揺らし過ぎには気をつけてくださいね。

はいはいをするようになったら、大人が一緒にはいはいしてみても喜びます。動きのある遊びでは、前庭覚や固有覚など発達の土台となる身体能力を鍛えます。赤ちゃんがゆらゆらを喜ぶことや、子どもが何度もブランコに乗ることをせがむのは理にかなっているのです。

お風呂遊び

お風呂は生活の中で一番手軽なスキンシップです。一緒に湯船に浸かりながら「あったかくて気持ちがいいね〜」と話かけたり、歌を歌ってみたり、お風呂で遊べるおもちゃで遊んだり、お風呂時間が親子で癒される楽しい時間になるといいですね。

出し入れ遊び

赤ちゃんはものの出し入れが大好き! 財布などの触れられたくないものは別の場所にきちんと隠して、布を詰めたティッシュの箱だったり、触っても安全なものが入ったカードケース、飲み込まないように大きめのボールが入った箱などを用意してみましょう。

また、バッグにおもちゃを詰めて渡すだけでも、夢中になって出し入れすることでしょう。「どうやったら出せるかな?」「引っ張ったらどうなるかな?」と、大人の目にはいたずらのように見えても、実は色々なことに思いを馳せながら赤ちゃんなりに探求しているのかもしれません。

リズム遊び

しゃかしゃかと降ると音のおるおもちゃ、触れると音色を奏でるおもちゃなどで遊んでみましょう。しゃかしゃかと音のなるおもちゃは、どんぐりを容器に入れて手作りすることもできますよ。くれぐれも赤ちゃんの口に入らないように気をつけて。

リズム遊びは発達の土台となる、聴覚などの感覚を育みます。最初はあまり反応がなくても、続けていくと手をパチパチさせたり、反応するようになるでしょう。

自然遊び

外へ出られるようになったら、赤ちゃんと一緒に散歩をしてみましょう。一緒に草木や花を見たり、蝶々などの昆虫を見たり、心地よい風に吹かれたり、目についた光景を楽しんでみてください。

「空が青くて綺麗だよ」「黄色いお花かわいいね」「風さんが気持ちいいね」などと、赤ちゃんの心を代弁するような言葉かけをすると効果的。自然と触れ合うことで五感がすくすくと育ちます

まねっこ遊び

赤ちゃんの月齢によって反応は違ってきますが、まねっこ遊びを楽しんでみましょう。おはようのときは頭をこっくりと下げたり、いただきますの時は手をパチンと叩いてみたり、バイバイの時は手を振ってみたり。

はいはいができる月齢になったら、はいはいをして「待って待って〜」などと赤ちゃんと追いかけっこをするのもおすすめ。次第に赤ちゃんの方から大人のまねをすることも増えてくるでしょう。このまねをする行為は、自ら楽しんで行なっている行動で、子どものアクティブ・ラーニングの第一歩です。

絵本の読み聞かせ

今は赤ちゃん用の絵本がたくさん出版されています。赤ちゃんには理解できないと思わずに、たくさんの絵本を読んであげてください。視力もまだ低いですが、赤ちゃんは視覚的にも絵本を楽しんでいます。

何度も繰り返し読んでいると、絵本のイラストと言葉がリンクするようになっていくでしょう。
ママやパパが読む文章や絵本のイラストからの視覚的な情報を蓄えていくことで、“想像力”“読解力”が次第に身についていきますよ。

赤ちゃんと遊ぶのに困ったら大事にしてほしい3つのこと

赤ちゃん ハグ

赤ちゃんと四六時中いつもご機嫌にいるのが難しいという方は、食事、お風呂、睡眠のときだけはなるべく穏やかに過ごせるように工夫してみてはいかがでしょうか。この3つは赤ちゃんとの関わりの中でとても大切なこと。頭の片隅でこの3つを意識してみるといいかもしれません。

何事にも完璧を目指すことなく、ママ・パパがゆったりした気持ちでいることが大事です。息抜き方法をたくさん持っていることも大事なことかもしれませんね。

0歳児の非認知能力の土壌はスキンシップと親子遊び

繰り返しになりますが、0歳児の非認知能力を育む上で何より大事なことは赤ちゃんと肌と肌とを触れ合うスキンシップ

抱っこやおんぶ、手を繋いだり優しく抱きしめたり、パパママといった大好きな大人に触れられるだけで、赤ちゃんは気持ちが落ちつくのです。肌と肌との触れ合いを通して、赤ちゃんは自分を受け止めてくれる安全な場があるとわかります。

そして、安心しながら自分が好きな遊びに没頭できるのです。親子で遊ぶことは赤ちゃんの発達や心理面だけでなく、非認知能力の基礎作りにとっても大事なことなのです。

赤ちゃんは人の顔をよく見ることが研究でもわかっています。赤ちゃんはママ・パパなど身近な大人の笑顔が大好き。非認知能力の基礎を育む大事な時期ですが、無理しすぎることなく成長の著しい0歳時代を親子共に笑顔で楽しく過ごせたらいいですね。

《参考文献》
『0~5歳児の非認知的能力(佐々木 晃)』チャイルド本社
『非認知能力を育てるあそびのレシピ(大豆生田 啓友・大豆生田 千夏)』講談社

《参考URL》
NIPL生理学研究所「赤ちゃんは大人の顔を見分けるのが得意」
https://www.nips.ac.jp/release/2016/12/post_329.html

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WRITER

大曽根 桃子 大曽根 桃子