2012年から中学校で必修化されたこともあり、ダンスを習う子どもが増えています。筆者は3歳から高校卒業の18歳まで、ずっとダンスを習い続けていました。自らの経験から、ダンスを習ったことのメリットやデメリットをご紹介します。
筆者の15年間のダンス経歴
物心ついたときには踊っていたので、生活の中にダンスがあることが当たり前で、「辞めたい」と口にしたことは、ダンスを習っていた15年間を通じて数えるほどしかなかったように思います。
引っ越しなどもあってダンス教室は何度か変わりましたが、最低週1回、多いときは週4回ほどレッスンに通っていました。習ったダンスのジャンルも、ジャズ・ヒップホップ・モダンバレエ・タップ・日舞など、さまざまです。
高校時代は部活に入らずダンスに打ち込み、ミュージカルの舞台に立つこともありました。舞台の活動が認められ、大学の推薦枠をいただくこともできました。
プロ志望ではなかったこともあり、大学入学後はダンスから遠ざかってしまいましたが、今でも「また踊りたい」と思うことはよくあります。下の子が幼稚園に入るころに、もう一度習いに行く計画を立てているところです。
ダンスを習っていて良かったこと
スポーツ全般が得意になる
筆者は、長距離走には苦手意識がありましたが、それ以外では体育の時間に困難を感じることはありませんでした。運動会やスポーツ大会でも、大抵の競技で「戦力」とみなされていたため、自信が育まれたように思います。
舞台度胸がつく
多くの観客の前で舞台に立って踊るというのは、とても緊張するものです。筆者も、生来の性格としては、人前に立つのはできるだけ避けたいと思うタイプです。
でも、ダンスの発表会を通して舞台の経験を重ねると、「なんとかなるものだ」という自信がつき、うまくいったときの心地良さを得ることで、人前で何かを披露することへの抵抗感がやわらいでいきました。
学生時代も、社会人になってからも、「人前で何かをしなければならない」という機会は意外と多いものです。そんなとき、ダンスでつちかった舞台度胸は多いに役立ちました。
学校の外に自分の居場所ができる
この「ダンスにむいている子」は、一般的に調和や同質を重んじられる学校内では、うとまれやすいタイプでもあります。筆者自身も勝気な性格が災いし、小学校から中学校にかけて、何度か教室で孤立し、無視などのいじめにあったこともありました。
孤独感に耐えられず、教室に入れない時期もありました。でもダンス教室で、先生方から「あなたの良さは私たちがよくわかっている。学校だけが世界の全てじゃないよ」と声をかけていただき、気持ちがとても楽になりました。
「学校の外に自分の価値を認めてくれる別の世界がある」という事実は、学校の人間関係で悩む筆者をいつも支えてくれました。ダンスがあったからこそ、筆者は学校で必要以上に卑屈にならずにすみ、いじめの長期化を避けることができたと考えています。
ダンスは親の負担が大きい場合がある
月謝に加え、発表会などがある場合は参加費がかかります。衣装代や、チケットのノルマがある場合もあります。街のイベントなどでダンスを披露するときは、遠征代もかかります。
教室によって費用差が大きいので、ダンスを習うときは、必ず月謝以外にかかる金額も確かめてから入会することをおすすめします。
また、これも教室によりますが、衣装を親が自作したり、子どもの舞台メイクを担当してあげたりと、親の力が必要になる場面も多いものです。発表会直前には練習回数が増え、子どもの送迎で親も大忙しということもあるため、その点も考慮が必要です。
そして、センターポジションで踊ったり、オーディションに合格したりできるのは、一部の子どもだけです。自分の子どもが選ばれなければ残念な気持ちになるでしょうし、選ばれたら選ばれたで、他の親から妬まれることもないわけではありません。
前述したように、勝気な子に向くスポーツですから、親も負けん気の強い方が多いものです。大規模なダンススクールやプロ志向の教室では、親子でタフな精神力を保つことも必要とされるでしょう。
ダンスは身体だけでなく心にも効果的!
音楽を聴いて身体を動かすというのは、ほとんどの子どもにとって「楽しい遊び」です。ダンスを通じて全体的な身体能力を上げておけば、他のスポーツでも役立ちます。
また、心の内を身体で表現できるダンスは、スポーツでもあり、アートでもあります。筆者はダンスを通じて、自分の悩みや悲しみを解消したり、迷いと向き合ったりしてきました。「勝気だけれど繊細」といった、相反する気質を持っている子どもにも、相性が良い習い事といえるのではないでしょうか。
ダンスのジャンルは幅広く、教室によって雰囲気も大きく異なります。もしダンスを習わせてみたいと思ったら、ぜひ複数の教室を見学して、子どもに合うと思えるところを選んであげてくださいね。