2018年4月10日 公開

脳医学者が16万人の脳画像から見た「賢い子」に育てる究極のコツとは?

『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』は2016年4月発売以来、たちまちAmazonでもベストセラーに。売上は10万部を突破し、コンビニにも置かれている人気の育児書です。多くの人が驚き納得し、注目したその本の内容をご紹介します。

好奇心を育てる!脳の専門家が教える育児本が話題

16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ | 瀧 靖之 |本 | 通販 | Amazon (86975)

タイトル:16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ
著者:瀧 靖之
出版社:文響社
東北大学の加齢医学研究所で、認知症を防ぐための研究をしている脳医学者、瀧靖之さんが、5〜80歳まで16万件の膨大なMRIデータと研究、知人や自身の子育てから導きだした子育てのコツをわかりやすく説いています。

認知症の予防効果で医学的に明らかにされている要素に「好奇心」があります。好奇心は、脳の海馬や感覚野などを刺激し、「賢い子」を育てるキーワードでもあります。

よって、まず、いかに好奇心を持ち続けて生きていくかが、人生を長く幸せ賢く生きるためのキーポイントとしています。そして、好奇心の持続させ方は、幼少期から意識していく必要があるそうです。

この本には、子どもの好奇心をどう伸ばし、引き出して育てると良いかのコツが中心に書かれています。さらに、脳の発達に合わせた習い事の時期、脳に良い生活方法や学習習慣の取り入れ方のアイデアも多数提案されています。

脳の成長の「黄金期間」と「はじめどき」を知ることが重要

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MriMan / Shutterstock.com
大量のMRI脳画像を分析していくうち、脳には発達の順序があり、年齢によって発達しやすいエリアや能力の種類がある程度決まっていることがわかったそうです。

本書で、生後すぐの赤ちゃんの脳神経細胞同士のネットワーク作りは、道路建設に例えられています。発達に応じてそれぞれ脳内に道路を作っていくわけですが、実際に使ってみて、使わなかった道路は壊して間引き、脳を効率良く使えるようにしていくそうです。

この”道路”が効率的につながり、情報を素早く的確に伝達しあっている状態が「頭がいい」「記憶力がいい」といえるとか。

だから、それぞれの能力を鍛え「はじめどき」と存分に発達させる「黄金期間」を知り、その道路が必要ないと脳が判断する前に、鍛えつつ効率よく繋げていくのが重要だということなのです。

脳の発達と遺伝的素質の関係は?

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Artisticco / Shutterstock.com
脳の発達は大雑把にいって、7割前後が遺伝で決まるそうですが、脳の部位によって、遺伝の影響の大きさは異なるとか。

脳は基本的に頭の後ろから前に発達していきます。発達が早い後ろの部分ほど遺伝の影響を受けやすく、最後に発達する前の部分ほど、遺伝の影響を受けにくいそうです。

生後すぐに発達するのが、頭の後ろにある後頭葉(こうとうよう)。視覚分野で、8〜9割は遺伝。聴覚分野に当たる側頭葉(そくとうよう)も遺伝の影響が大きいそうです。

最後に発達する前頭葉(ぜんとうよう)は、学習や技能、考え方に関する大事な分野。ピークは遅く、中学生になっても成長し続けるそうです。思考・判断・計画・創造・コミュニケーションなど高次認知機能を担う箇所ですが、実はここの遺伝の要素は半分くらい。親は成績優秀だった(ではなかった)のに……ということがあるのも納得です。そして、ここが十分に発達することが子どもの自己実現につながります。

脳には成長の順番がある

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KK Tan / Shutterstock.com
脳の発達には順序があることを具体的にどう意識すれば良いかというと、巧緻(こうち)運動という、細かい運動を司る脳の運動野(うんどうや)の部分は、3~5歳で発達のピークが来ます。

なので、この時期にピアノなどの楽器やフィギュアスケート、バレエ、卓球のような細かい体の動きを伴う、微妙なバランスや器用さが必要とされる種目をはじめると、効率良くその能力を伸ばしやすいということです。

特にピアノは、左右の手で別の音を弾くので左右の脳をつなぐ「脳梁(のうりょう)」という神経線維を発達させ、考えながら手を使うことで、「錐体路(すいたいろ)」という神経ネットワークの発達も見られるので特に勧められています。

以下、年齢別にオススメ事項として述べられているものを簡単にまとめました。

0歳~:図鑑・絵本・音楽
視覚(後頭葉)、聴覚(側頭葉)は生まれてすぐから発達分野なので、この時期に意識するとが良いでしょう。絵本の読み聞かせやクラシック音楽などが推奨されています。

3~5歳:楽器・運動
頭頂葉(とうちょうよう)が発達。触感(感覚野)、体の動き(運動野)が発達し、器用さが身に付きやすい時期です。

8~10歳:語学
言語能力の発達が著しい時期です。リスニングとスピーキングを伸ばすならこの時期が適切というわけです。

10歳~:社会性
思春期は社会性やコミュニーケーション能力を鍛える時期。クラブ活動や部活動など、個々の活動よりも団体活動が推奨されています。

3、4歳までに図鑑を用意する

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ziggy_marsX / Shutterstock.com
本書では、難関大学生が子どもの頃に皆持っていたこと、できる子、賢い子の共通点として図鑑を活用してきたことをあげ、小さい頃のプレゼントは図鑑が最適としています。

本を読むときは、脳の「言語野(げんごや)」と呼ばれる「側頭葉」や「前頭葉」が活性化します。図鑑は、写真やイラストを伴うので、図形認識や空間認知を担う領域も活性化されるということです。

また、3、4歳は「大脳辺縁系」が発達し、「好き・嫌い」を自分で判断しはじめる時期。図鑑に限りませんが、好き・嫌いを判断する前に、慣れ親しんでおけば、図鑑好きになる確率が高くなるというわけで、それまでに用意しておくことが推奨されています。

図鑑を見た後にする、効果的な親のはたらきかけ

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図鑑から得たバーチャルな知識は、現実世界の実体験でリアルな知識にし、知的好奇心を刺激し続けることが重要です。

例えば、図鑑で見た虫を虫取網や虫眼鏡を使って実際に見ることで、知識が定着。また、知ることが楽しくなり、さらに好奇心が発達します。

そうやって積み重ねた本物の知識があると、その後の勉強のハードルが下がります。知っているだけで興味がわき、好きになりやすくなるというわけです。脳は汎化という特徴があり、得意なことがあるとそれだけで脳全体の機能をアップさせるという利点もあるのです。

図鑑の選び方や楽しみ方、さらなる活用の仕方も本書で詳しく触れられています。

子育て中役に立ちそうなさまざまなアドバイスが豊富

主に就学以降(7歳以上)でも役に立つチップスがたくさん紹介されています。例えば、朝食や睡眠、ゲームやスマホ対策、英語など語学や受験勉強に関しても、さまざまなアドバイスが掲載されています。

具体的には、勉強は、論理的思考を鍛えるものからはじめ、暗記ものは寝る前に。そのままテレビなどを見ずに寝ると、寝ている間に覚えた内容が定着しやすいそうです。十分な睡眠時間を取ることの重要性、年齢別の睡眠推奨時間も掲載されています。

また、朝食抜きはNG、低GI値推奨で、菓子パンよりご飯(玄米)か食パン(全粒粉など)を選ぶことが良いそうです。

さらに、ゲームやスマホなどして欲しく無いことに子どもがハマってきたら他にもっと興味持てることへ誘導する、など具体的なアドバイスがあります。

最後に

最近は、教育分野でも統計データなど、科学的根拠に基づく教育「エビデンス・ベースト・エデュケーション"Evidence based Education"」が重要視されています。

この本では、周囲から聞いた話、ご自身の子育て経験なども含んでいるので、全てが脳画像から見た科学的根拠のあるものばかりでは無いのです。が、エビデンスに基づく結果を、どう家庭内での教育や子育てに取りいれるかの具体的な提案があるので、理解・実践しやすいのも、この本が人気の理由かなと感じました。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

志田実恵 志田実恵  エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。