2019年10月8日 公開

「自分から勉強する子」をどう育てるか【気づいたら娘が東大生】

親に言われなくても自ら勉強する習慣を子どもにつけさせることができれば、子どもにとっては大きな財産となります。そのコツは意外にも「ほったらかし育児」にありました……。公立校から東大に現役合格した娘の育児を振り返る連載の第15回目です。

つい口から出てしまう小言

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「まだ宿題やってないの!?」
「ゲームばっかりやってないで、少しは勉強しなさい!」

子どもが小学生になると、どこの家庭でもそんな会話が聞こえてくるようになります。わが家ももちろん例外ではありませんでした。のんびり屋の娘にやきもきしたり、算数の問題で何度もつまずく娘にイライラさせられたり。「もっと要領よくできたらいいのに……」とよく思っていました。

「ひたすら考える」のが勉強の王道

娘が小さい頃は、集中して取り組めるものをあれこれ模索していました。
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そんなときに出会ったのが、『強育論』という本です。無試験・先着順の入塾ながら首都圏最難関中学への合格率が80%以上という驚異の算数教室を主宰する宮本哲也氏が「強い頭と心を育てる子育て」について書いた本です。ちょっと過激な育児論なのですが、子育ての本質についていろいろと考えさせられました。
学習は本能です。どんな子でも必ず伸びます。親が余計なことをしない限り。
ひたすら考える。考えて考えてそして考える。わからなくても、解けなくてもひたすら考える。これこそが学問の王道なのです。
これが宮本氏の持論です。要領の悪い不器用な子のほうが、一つのことに粘り強く取り組める場合が多いので、「ひたすら考える」学習に向いていると宮本氏は言います。

にもかかわらず、親や先生が課題を与えすぎる。早く、たくさん解かせようとする。だから、子どもはじっくり考えることができなくなり、伸びなくなってしまうと言うのです。

子どもに「考える」チャンスを与えよう

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宮本氏が主宰する算数教室では、先生が難題を与え、子どもたちはそれをひたすら解くというスタイルを徹底しています。丁寧な解説があるわけでもなく、質問も禁止。だから子どもたちは、わからない問題を残したまま帰宅するということもよくあります。でも、それでいいと宮本氏は言います。
私の授業の目的は子どもに頭を使わせることにあります。問題が解けるかどうかはどうでもいいのです。頭を使い続ければ必ず頭がよくなります。
はじめに私が生徒たちに望むことは、依頼心をなくすことです。ひとつの問題に集中力を高めた状態で粘り強く取り組むことです。この姿勢さえ身につけば、あとは適切な題材を与えるだけで生徒は勝手に伸びます。
ですから、親がすべきことは、次から次へと子どもに教材を与え続けることではなく、子どもが興味を持って考え続けることができるような課題を見つけてあげることなのです。

わが家の場合は、この本を読んでまず宮本氏の著書である『強育パズル』シリーズを、当時小学生だった娘に与えてみました。けれども、そもそも算数が苦手だった娘は、初級レベルの問題には何とか取り組んだものの、難しい問題はすぐにあきらめてしまい、「考え続ける」ことができませんでした。

そこで今度は、インターネットで面白そうな問題を探しては、娘にやらせてみました。娘はお絵描きが好きだったので、算数の問題を絵で表しながら解くという糸山メソッドにも取り組んでみました。残念ながら長続きはしませんでしたが、こうやって親子で試行錯誤する中で、「考える」という習慣が少しずつ身についていったのかなと思います。

最終的には、娘が興味を示しはじめた英語に目を向け、面白そうな子ども向けの原書を読ませてみたら、集中して読むようになっていきました。宮本氏のいう「考える力」とは少し違うのかもしれませんが、少なくとも集中力はかなり養われたようです。

仕事のおかげで「いい加減」育児に

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宮本氏は本書の中で、子どもを自立させることの大切さも説いています。親が手をかけすぎ、あれこれ強制したり与えすぎたりすると、子どもの「学習する本能」がすり減ってしまう、とも書かれていました。
まず、躾と教育をはっきりと区別しましょう。『人をたたいてはいけない』『人のものを盗んではいけない』など、躾に関する部分は有無を言わさずに従わせます。(中略)でも、教育の部分はあくまでも本人の知的欲求を満たす方向で進め、決して無理強いはしないでください。本能の赴くままに知的欲求を満たしてやればよいのです。
親が子どもに対して学習を無理強いするのは子どものためではなく、自分の不安を解消するためであり、欲求を満たすためなのです。だから、子どもが拒絶するのです。
この宮本氏の言葉にはドキッとしました。娘が幼かった頃、家の中でぬり絵をしたり、絵本を読んだりして静かに過ごしている娘を見て、「もっと外に連れ出して活発に遊ばせなきゃ」と焦ったり、「もっと頭の刺激になるようなおもちゃはないかな」とあれこれ探したりしていたからです。でも言われてみれば、それは娘が望んだことではなく、私自身の「ちゃんと子育てしなきゃ」という不安から来ていたのだと思います。

ただ、当時はフルタイムで働いていたため、実際にはそれほど子どもに手をかける時間がありませんでした。「〇〇してあげなきゃ」と思いながら、忙しさにかまけてほったらかしになっていたというのが実状です。でも後から考えれば、会社での仕事がいい具合にブレーキとなって、娘へのプレッシャーを緩和してくれていたのかもしれません。

きょうだいがいたことも、長女にとってはラッキーだった

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そしてもう一つ、次女が生まれたことも大きかったと思います。きょうだいが生まれれば、親の関心も自然と分散されます。特にわが家の場合は、長女よりも次女のほうがヤンチャで目が離せなかったので、長女にかけるエネルギーはかなり減りました。

実は、長女にこんなふうに言われたこともあります。

「妹が生まれてくれてよかったよ。ママの目が妹に向いていたから、私はあれこれ言われなくてラクだった(笑)。そうじゃなかったら、もっと反抗とかしてたかも」

これには参りました。子どもって、親が思う以上にいろいろなことを考え、わかっているんですね。
子育てを、無知なる者、無力なる者を人生の先達である自分の力だけで正しい方向に間違いなく導かなければならないと考えると、息がつまると思います。子育てをすることによって自分も子どもとともに成長しようと考えればよいのです。子どもから学ぶことだって、たくさんあるはずです。
この宮本氏の言葉を心にとめて、「いい加減」で子育てをすることが、自ら伸びていく子どもを育てる秘訣なのかもしれません。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

fuyumi fuyumi  東京都在住。大学で心理学を学び、卒業後は出版社にて編集業務を担当。現在は編集経験をいかしてフリーランスのライター兼編集者として活動中。2018年の春、小中高公立で過ごした長女が現役で東大に合格。共働きだったため夫婦ともに教育熱心な子育てをしてきたというよりも、いつの間にか本人の努力で東大!なのが本音ですが、子育てや教育を振り返る連載をはじめました。皆さんのヒントになれば幸いです。