幼児期における学習にはどんなことがあるのでしょうか。遊びの延長で取り入れられることがたくさんあります。無理なく楽しみながら取り組める6つの学習アイディアをご紹介します。
お世話で必死な赤ちゃん期を経て、おしゃべりや遊びが上手になってくると知育や幼児教育に関心が向くママパパも多いのではないでしょうか。
もちろん、子どもにとって一番のお仕事は遊ぶことです。その遊びの中に、学習要素を取り込んでみるだけでも知育に繋がります。幼児教室などに通うことも手ですが、ご家庭内でできることもたくさんあります。
この記事では、就学前の幼児期にやっておきたい学習について、6つのアイデアをステップごとにお伝えしたいと思います。子どもにとって無理なく、そして楽しんで取り組める学習方法を探してみてくださいね。
【0歳〜】幼児期の読み聞かせは必須!小学生以降の読解力にも影響大
0歳からできることの1つとして、「絵本の読み聞かせ」があります。はじめはなかなか興味を持ってもらえないかもしれませんが、継続することが大切です。
絵本の読み聞かせにはメリットがたくさんあります。 特に読解力に関してはその効果が実証されていて、著名な先生方が「読み聞かせの大切さ」について言及されています。
近年、日本の子ども達の読解力低下が問題視されています。
◆読解力の平均得点(504点)は、OECD平均より高得点のグループに位置しているが、前回2015年調査
(516 点)から有意に低下。OECD加盟国中11位(順位の範囲:7-15位)。
◆習熟度レベル1以下の低得点層が有意に増加しており、OECD平均も同様の傾向。
「読解力」とは、文章から自分の必要な情報を引き出し、理解・熟考・論述する力のこと。つまり、ただ読むだけではなく、重要な情報をピックアップし理解して、人に説明する力です。
小学生が文章題を苦手に感じ、問題文を理解できず学習でつまづく場合も実は「読解力」に原因があるとも考えられます。
実際に国立お茶の水女子大学が行った調査で、読み聞かせと学力の関係性について発表されています。これを見ると、幼少期の読み聞かせ経験に比例して問題の正答率も上がっていることがわかります。
なぜ読み聞かせが読解力に影響するほど大切なのでしょうか。絵本は絵に沿って文章が書かれています。つまり、読み聞かせは絵の説明をしているということ。子どもは絵を見ながら聞こえてくる文章でストーリーを理解します。
視覚と聴覚を使いながら、絵に描かれていること以外の情報も自分の中で補うことになります。また、文章を映像のように想像する力も身につきます。
読み聞かせは親子のコミュニケーション機会であり、最も効果の高い読解力トレーニングになる。耳から入る情報を頭の中で処理するので、子供は自然と想像力を働かせる。読後に親子で感想を言い合うと、より効果的だ。
【三田紀房×堀江貴文】ドラゴン桜2編vol.3〜ホリエモンチャンネル〜
絵本の読み聞かせは、0歳の赤ちゃんの頃から始められる学習の1つ。興味を持ってもらえない時は、好きなものに関する絵本から取り入れてみましょう。「絵本を聞く」ことが好きになればOK!
絵本は発達に沿っています。最初はイラストがメインで三原色が多用された絵本。次に、説明的な文章の絵本や、興味を引き出すためのしかけがついた絵本。そして徐々にストーリー性のある絵本へと読み進めていきます。
子どもの興味・関心・発達に合わせて、絵本を選んでみると良いですよ。お気に入りの絵本は飽きるまで繰り返し読んであげましょう。
【1歳〜】手先を使った遊びを取り入れよう
1歳を過ぎた頃から手を使って遊ぶことが増えてきます。それまで上手に握れなかったおもちゃをきちんと握るようになったり、指を使って物をつまんだり、手先が器用になってきます。
モンテッソーリ教育では、子どもが何かに夢中になって繰り返し行う時期を「敏感期」と呼んでいます。発達にあった遊びや学びを取り入れてあげることが良いと言われています。
よく、ティッシュを全部出してしまうイタズラがありますが、それも「敏感期」の1つ。親指・人差し指・中指の3本を使って物をつまむ動作は当たり前のようで実は難しいのです。そのような成長が見られたら、チャンス!
ティッシュに見立てた布と布をつなぎ合わせ、空き箱に入れ引っ張れるおもちゃを用意しましょう。100均やお家で余っている材料で簡単に作ることができますよ。
他にも「つまむ」・「引っ張る」・「取り出す」など手先を使うおもちゃや道具を遊びの中に取り入れてあげると効果的です。
積木を積み上げる遊びも良いでしょう。これは、1歳半検診の発達テストでも出てきます。また、療育施設でも「物をつまむ」トレーニングはとても大切にされています。 子どもの発達において、必要な動作と考えられているからです。
手先を使う遊びは、集中力が高まり脳に刺激を与えるとも言われています。積極的にお子さんと一緒に取り組んでみましょう。
【1歳〜】ものの名前を覚えよう!図鑑に慣れ親しむ習慣を
指差しが始まり、言葉が出てきたらものの名前や色を覚える学習を取り入れてみましょう。絵本の中にもたくさんの言葉が出てきます。読み聞かせしながら「これはなんだろう?◯◯だね」と声かけしてみてくださいね。
ものの名前を教えたいときは、図鑑がおすすめ!赤ちゃん向けやしかけ付き、タッチペン付きなど、月齢が低くても楽しめる図鑑がたくさん発売されています。
まずは一冊用意してみましょう。図鑑を見て名前に興味が出てきたら、ぜひ実物を見せてあげてください。動物なら動物園、乗り物なら駅やお散歩中に本物を確認します。
図鑑は学習において必須アイテム。東大生が育った家庭には図鑑が置いてある割合が多いとアンケート結果でわかっています。図鑑は知的好奇心を広げる最高のツールです。幼いうちから、図鑑が当たり前にある環境を整えると自然と自ら図鑑に手を伸ばすようになります。
筆者の息子(幼稚園年長)も、図鑑が大好き!暇さえあれば図鑑を開いています。そのおかげか、好きなジャンルにおいては大人を超える知識を持っています。
ルビがふられた漢字を読んでいるため、教えていないにも関わらずすでに小4までの漢字がほぼ全て読めるようになっていました。これはうれしい効果です。
ぜひ、興味に合わせてお気に入りの図鑑を一冊用意してみてくださいね。
1歳からおすすめの図鑑
【3歳〜】ひらがなに触れてみよう。まずは自分の名前から
3歳頃になったら、生活の中にひらがな学習を導入してみてください。書くのはまだまだ先ですが、文字という概念を徐々に入れてみましょう。
はじめは、自分の名前のひらがなから覚えてみると良いですよ。お風呂に貼れるひらがなポスターが便利です。
例えば、「あいちゃんの“あ”はこれだね」と指差ししながら見せてあげてください。毎日のお風呂の時間に繰り返し教えてあげると、次第に覚えていきます。
また、モンテッソーリ教材の「砂文字カード」もおすすめです。こちらは視覚だけでなく触覚でもひらがなを捉えることができます。
絵のように文字を覚えられるのが幼少期の良いところ。興味を持ち始めたらどんどん教えてあげましょう。ただし、無理強いは禁物!子どものペースに合わせて取り入れてみてくださいね。
ひらがな学習におすすめの本
ひらがなに慣れ親しんできたら、あいうえお絵本を用意してみてください。ものの名前とそのひらがなをリンクさせる練習をしてみましょう。
あいうえお絵本は長い期間使うことができます。文字を書き始めた時に、書いて教えるだけでなく、横に絵本も一緒に用意してあげると調べながら書く習慣も身につきます。
ひらがな学習におすすめのプリント教材
読みができるようになったら、いよいよ書きです。書きの練習で大切なのは、書き順!
一度覚えてしまうとなかなか直らないので、初めから正しい書き順やバランスを身につけることがきれいな字への近道です。
書きの練習については小学校で学ぶ内容なので、焦る必要はないかなと筆者は思います。例えば、幼稚園や保育園でお手紙交換があって「わたしも書きたい!」と思うようになったら良いチャンス。
興味を持ち始めた時や意欲的になった時に教えてあげてください。書きの練習には、ドリルなどのプリント教材がおすすめです。
【3歳〜】数字、言えるかな?数字と数量をリンクさせることが大切
数字の概念についても3歳頃から取り入れてみましょう。まずは数唱から。お風呂に入った時にでも、「いち、に、さん、し、ご…」と数える習慣を身につけます。
子どもは大人の真似が大好き。ママやパパが数唱していると、次第に真似して言えるようになります。はじめはただ呪文のように唱えるだけで、“いち”がなんのことかわかっていません。次に数字表などを用意して、数字を指差しながら数える練習です。
数字がわかってきたら次は数字と数をリンクさせる練習をします。これは具体物を使った学びとなります。おはじきやお気に入りの人形・ミニカーなどを使っても良いでしょう。
まずは5まで。5がわかるようになったら10まで。といったように、少しずつ数を増やしていきます。
ここでは正確に数えられるようになることが大切です。
数字学習の幅を広げるおすすめの教材
【4歳〜】空間認識能力を鍛えて生きる力・論理的思考を育む
物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力
つまり、2Dを頭の中で3Dに変換し理解する力です。公園で走り回ることでも距離感が掴めますし、ボール遊びや積木遊びでも空間認識能力を鍛えられます。
小学校受験でも問われる空間認識能力は賢くなるためのトレーニングのように思われがちです。しかし、それ以前に「生きる力」の一つとも言えます。
空間認識能力が備わっていないと、何かにぶつかったり、地図が読めなかったり、車の運転ができなかったりと生活に支障が出ます。先々を予想して行動するためにも必要な力です。
日々の生活で自然と身に付く力ですが、知育パズルや図形問題に取り組むと理数系能力の向上にもつながります。
空間認識能力を鍛えるおすすめの教材
空間認識能力を身につけるには、具体物での経験が必須。積木を積み上げたりブロックで立体物を作るなどです。具体物経験が十分にできたら、教材を使って問題を解いてみましょう。
空間認識能力に関する単元は、「積木(立体図形)の構成」「四方からの観察」や「鏡図形」
「重ね図形」などの図形問題。小学校受験を考えているご家庭では、必ず学習すべき単元です。
空間認識能力を鍛えるおすすめのアプリ
タブレットを使ったオンライン学習の発展が著しいです。空間認識能力を鍛えるアプリも多くリリースされています。
アプリでは、動画などで図形の動きを見られるので、具体物経験の擬似体験ができます。平面が立体的になる様子を視覚的に捉えらるアプリ学習はぜひ取り入れてみてください。
【4歳〜】鉛筆を握ってみよう。まずは運筆の練習から
最後に、鉛筆を使った学習です。鉛筆を握る学習は、ある程度月齢が高くなってからで良いでしょう。月齢が低いうちはクレヨンを使った塗り絵遊びなど、手のサイズに合わせたもの(握れるもの)が望ましいです。
鉛筆を使う時は正しい持ち方と、正しい姿勢をまず教えてあげます。はじめは3本の指で持ちやすい三角鉛筆がおすすめです。うまくもてない時はサポートグッズを使ってみてもOK!
鉛筆が上手に持てるようになったら、まずは運筆の練習をしましょう。まっすぐやジグザグの線をお手本にならって書きます。ここでは、上手になぞることを重視したいです。
100均でも買える、迷路や運筆のドリルなどを使ってたくさん練習しましょう。無料でダウンロードできるプリントも活用してみてくださいね。
お手本を上手になぞる練習をすることで、ゆくゆく文字を書く段階になった時スムーズに進めることができます。文字を習得するには「真似をして書く」ことがとっても大切。
小学校受験でも、解答する時にきれいな丸や線を素早く書けるかが重要になってきます。線を真っ直ぐ・ジグザグに書く、お手本通りになぞる、幼児の小さな手には難しい部分もあります。
鉛筆を持ってすぐに身に付くことではありません。始めは上手にできなくてもゆっくり、そしてしっかり取り組みましょう。
幼児期の学習は、ママパパとのコミュニケーションがとっても大切
ここまで、0歳から就学前までに取り組める家庭でできる学習について6つのアイディアをご紹介しました。「学習」と聞くと、堅苦しいように感じますが大切なのは楽しむこと!
幼児期の学習は、子どもにとって遊びの延長に思えるような学びが多いです。ママパパとたくさんコミュニケーションが取れる学習なら子どもも楽しんで取り組めると思います。
まだ本格的な勉強ではないこの貴重な時期に、多くの興味の幅を広げてあげてくださいね。