2019年2月1日 公開

思春期の入り口に立つ「小4の壁」を支えるために親ができること

9~10歳の子どもは、心身の成長に伴い、対応が難しいと思う場面も増えますが、子どもの精神的な変化に動揺せずどしんと構えることが大切。精神面の「小4の壁」で親子が直面する問題や、そのために親ができる取り組み、対策を解説します。

精神面の「小4の壁」とは?

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9歳を過ぎた頃から、子どもは大人への階段を登りはじめ、体だけでなく心にも大きな変化が訪れます。本格的な思春期・反抗期ではないものの、だんだんとその片鱗が表れてくる頃です。

まだ親や先生など大人に甘えたい時期でもあるけれど、自分の意思をはっきりと表したい、自分という存在を社会に認めてもらいたいと思うようにもなります。

それが、時には親の言うことを聞かなくなり、反抗的な態度をとることで表れます。こうして途端に扱いにくくなったように感じることが精神面における「小4の壁」といわれています。

大人になろうとする子どもとどう向き合う?

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「もう9歳、まだ9歳」そんな言葉がぴったりなこの時期。甘えたいけど自立したいと、もがいている子どもをどう受け入れるかがとても重要です。

甘えたいと思っているときは、思いっきり甘えさせてあげましょう。もう体は大きくなっていても、ママが一番!パパが大好き!僕・私のことを見て!と心の底ではいつまでも思っています。

子どもの甘えたいサインをしっかりと受けとめて、それに応えることで子どもは安心します。そして、自分は大事にされていると自信が持てます。

ここで大切なのは甘えさせるのと、甘やかすのは大きく違うということです。親からすると子どもはいつまでも子ども、ずっと心配です。ついつい手や口を出しすぎてしまうこともあります。そうではなく、そっと見守るスタンスが大切なのです。

山口県の教育者の方が、ご自身の経験を踏まえて提唱した『子育て四訓』をご存じでしょうか。

一.乳児はしっかり肌を離すな 
二.幼児は肌を離せ手を離すな 
三.少年は手を離せ目を離すな 
四.青年は目を離せ心を離すな

この四訓には子育ての要が詰まっています。子どもの成長とともに大人も姿勢を変えていかなくてはいけません。

なんでも最初から与えすぎて子どもの成長を妨げてしまってもいけないですし、反対にもう大きくなったからと安心しすぎて目を離すべきでもありません。

もちろん危険なことや迷惑をかけるようなことなど、守るべきことは言い続ける必要はあります。しかし、1から10まですべてを言わずに見守り、何かあればすぐ飛んでいけるような体制を整えておけば、子どもも安心して自分の道をたどっていけるはずです。

「ギャングエイジ」の子ども達との関わり方

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「ギャング」と聞くと不良グループのようなイメージを思い浮かべる方もいるでしょうか。「ギャングエイジ」というのは児童心理学で使われる用語で、子どもが友達とグループを作り群れ遊びをはじめる時期のことを言います。

9~10歳頃の子どもは仲間意識が芽生え、友達との集団が大人(親や教師)との関係よりも大切になります。自立のはじまりでもあり、ソーシャルスキルを身につける機会にもなるので、子どもの成長過程には欠かせない大切な時期です。しかし、集団で行動することで気持ちが大きくなり、時には大人に反抗的になったり、少し悪さをすることもあり、親としては心配事も増える時期でもあります。

このような事態に直面したとき、親が動揺したり、頭ごなしに叱ったりと子どもに振り回されてしまうと、大人への信頼感を失いかねません。

いざ反抗的な態度をわが子に取られると、どのように対応すればいいのか親としても戸惑うことが多いかもしれませんが、毅然とした態度で接することが大切です。矛盾や不条理に敏感な子どもに対し、一貫性のある考えを持ち、余裕のある心で向き合えるよう心がけましょう。

ギャングエイジ真っ只中の子どもは「大人になりたい子ども」です。さっきまで反抗的だったのに、子どもゆえに急に甘えてくることもあるかもしれません。そんな場合はしっかりと受け入れてあげてください。

そして、集団遊びをはじめる時期にしっかりと身につけたいことは「善悪の判断」です。他者を傷つけること、嘘をつくこと、盗むこと、自分を傷つけることなど、いけないことはいけないと伝え続けましょう。

ただ言うだけでは小言になってしまうので、日常の中で自然と身につけられると良いですね。学校の道徳の授業でも善悪については取り扱いますが、家庭でもニュースや新聞を利用して親子で意見交換するなど善悪について考えてみる方法もあります。

近頃では、「ギャングエイジ」を迎えずに成長する子どもも多いといわれています。習い事や進学塾に通う時間が多いことや、スマホやネット環境の発達で顔の見えない繋がりも増えていることも影響しています。

小学校時代の友達グループという小さな世界の中で社会性について学ぶことが、大人になってからの社会生活の基盤作りとなります。わが子の「ギャングエイジ」を大切にしたいですね。

自己肯定感を高めることの大切さ

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9~10歳頃になると、自分と他者の認識ができるようになります。自分のことを客観的に見られるようになり、勉強や運動面、身体的成長において自分が人と比べてどうかが分かるようになります。

他人との違いや差に気づくと、自己肯定感や劣等感が心に芽生えることがあります。ところで近年、自己肯定感を高めることの重要性がよく叫ばれていますが、そもそも「自己肯定感」とは一体なんのことでしょうか。

自己肯定感(self esteem)とは、ありのままの自分を受け入れ、認め、自分自身を尊重して「自分はこの世界で大切な存在だ」と感じることができる状態のことです。

自分自身や自分の置かれている状況には価値があると考え、そうではない他者は認めない、尊重できないという人もいます。一見自己肯定感が高いように思えますが、それは違います。

誰かと比べたりすることなく、そのままの自分を認め大切にできるようになると、他者のことも大切にできるようになります。自己肯定感を持つことは良好な人間関係を築くことにもつながります。

では、子どもの自己肯定感を育むために親ができることはあるのでしょうか。子どもに自信をつけてあげるためには、なるべく多くの肯定的な言葉をかけることが大切です。

4年生にもなると、「できて当然」「どうしてできないの?」と感じてしまうことも増えてくると思います。そんな中でもちょっとしたことでいいので、褒めてあげる機会を見つけましょう。

ただ「すごいね!」「えらいね!」と褒めることも良いと思いますが、「◯◯できるようになったね!」「◯◯なところがえらかったよ」など具体的に褒めてあげるとより一層自信を持てるようになるでしょう。

また、「あなたは大事な存在だ」ということも恥ずかしがらずに伝えたいですね。子どもは、どんな小さなことでも「自分には優れたところがある」と思えるだけで意欲的になれたり、大事にされていると思えれば安心して行動できるようになります。

親が聞き上手になって、精神面の「小4の壁」を乗り越えよう

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精神面における「小4の壁」を乗り越えるためには親子間のコミュニケーションが欠かせません。この時期からだんだんと自分から話をしなくなってくる子も出てきます。

そうなると子どもが学校で何をしているか、友達とどんな付き合いをしているか親は何もわからなくなってしまいますよね。

全てを把握する必要はないですが、何も話してくれなくなってしまうと、やはり寂しいですし心配にもなります。

大きくなっても親に話をしてくれる子の共通点は、小さなときから「親がきちんと子どもの話を聞いている」ことだそうです。

日々忙しい中、特におしゃべり好きな子を相手にすると対応も雑になってしまうこともあります。全てに真正面から相手ができなくても、子どもが「話したい!」と思っているときは、目を見てしっかりと向き合って聞いてあげましょう。

当たり前なようで、とても大切なコミュニケーション。親子間のコミュニケーションは、学習面における「考える力」にも大きな影響があるといわれています。

こうなの?ああなの?と問い詰めるのではなく、子どもが自分から話したくなるような関係を築くこと。「聞き上手な親」になることが、精神面での「小4の壁」を乗り越えるきっかけになりそうです。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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ねんねこ ねんねこ  東京在住。2人の男の子を育てています。自身の幼稚園・小学校受験の経験を活かして、日々子どもと無理のない知育活動を楽しんでいます。絵本が好きなので、親子で図書館通いが趣味です。ブックログをつけるのが楽しみ!教育だけでなく、おでかけ、おしゃれ、ハンドメイド、サブカル、音楽など好きなことには貪欲に生きています。