2021年06月24日 公開

イギリスで人気の習いごと&モチベーションUP方法!【英国すくすくレポ】

イギリスの子どもは、どんな習い事をどんな目的で行っているの?モチベーションを保つために、イギリスのママパパがしている工夫は?など、イギリスの子育てと習い事事情をご紹介。

日本と同じように、イギリスでも子どもの習い事は盛んです。そこには、イギリスの学校には日本のような部活がないこともあり、習い事に行く子どもが多いという背景があります。また、長期休み中のキャンプと呼ばれる期間集中型レッスンや、学校での放課後に週1回行われるクラブなど、イギリスならではのシステムもあります。
今回の英国すくすくレポでは、イギリスの習い事について、相違点を合わせてお伝えします。

習い事は何歳から?

イギリスで、「子どもたちが何歳から習い事に行くか?」ということについては、習い事の種類にもよりますが、未就学児から始める家庭が多いようです。特にベビーセンサリーと呼ばれる赤ちゃん~幼児の知育に関係する習いごとが盛んです。知育ですから、レッスンの内容もさまざまですが、特に音楽や手遊び歌で子どもの発育や表現を促すようなグループレッスンが多いです。他にも、ベビーサインやベビースイミングなどが、この年齢のママパパには人気があります。

小学校に入ると習い事の幅が広がります。日本の小学校のように放課後のクラブ活動や部活がないので、地域のスポーツ系のクラブに所属したり、グループレッスンに通う子どもが増えます。イギリスで人気がある習い事は、ラグビーやサッカー、空手やバレエ、体操(ジムナスティック)、スイミングのような体を使うもの。また、ピアノやバイオリン、チェロ、ギターなどの音楽系のレッスンに通っているご家庭の話もよく聞きます。

他にもボーイスカウトやガールスカウト系の活動に参加しているお子さんや、語学関係のレッスンを受けているお子さんもいます。

日本と違うと感じることは、学校で習う教科のために、学習塾に通っている子どもたちがほとんどいないということ。まず、イギリスには学習塾がめったにありません。(皆無ではないようですが、ほとんど見かけることはありませんし、塾のようなスタイルで学習するよりも、チューターと呼ばれる家庭教師を雇うことが一般的です。しかし、それもよっぽど学習に力を入れているご家庭か、何らかの理由で学校外でも学習時間を追加しないといけないような場合のみです。イギリスの小学校では宿題もめったに出ませんから、子どもたちの学習に関する取り組み方は、日本の小学生と大きく違うと感じています。

好きなこと、続けていきたいことを見つける

日本でもおそらく同じかと思いますが、「子どもが興味があるもの」、「将来役に立ちそうなもの」にいくつか挑戦させてみて、その中からその子に一番合ったものを残すという選び方が多いです。

例えば、知り合いのお子さんのケースで、最初のころはピアノ、体操、テニス、スイミングを習わせていたご家庭でした。そのお子さんが、その中で一番「テニス」に興味を持ち、また才能を開花させていったので、今ではテニスに目標を絞り、ほぼ毎日テニスのレッスンに通って、将来世界的に活躍できるような選手になるべく、真剣に取り組んでいます。(現在は全英トップ5に入るほどの実力なんだそうです!)

他にも、体を動かすことが大好きな娘さんがいらっしゃるご家庭で、バレエと体操とダンスのように、方向性を絞った習い事をいくつか掛け持ちしているご家庭もあります。
子どもの習い事を通して、得意と思えるもの・好きだと思えることを見つけて、そこから自己肯定感や自信を伸ばすことにも、役立っているようです。

逆に、日本との違いを感じたのは、たとえばピアノのレッスンを始める年齢について。
日本では、4歳や5歳など、比較的早期にピアノのレッスンを始めるお子さんも多いと思いますが、イギリスでは違うようです。楽器に関しては早期に始める必要性がないと考えられているのか、イギリスで楽器のレッスンを受け始めるのは、もっと年齢が上がってからが一般的です。

知り合いのお子さんが未就学年齢のときに、ピアノを習いたいのですが…とピアノの個人レッスンに問い合わせをしたところ、「一人でしっかり座って集中できる年齢になってから始めたほうがよい」と、ピアノの先生にまだ待つようにアドバイスされて、レッスンを始められなかった声も聞きました。

イギリスのママパパも奮闘!子どものモチベーション問題

ここまで読んでいただくと、「イギリスの子どもは習い事にも真剣に取り組んで、すごいなぁ」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、相手は子どもですから、やはり一筋縄ではいかないこともあります。
特に、子どものモチベーションに振り回されているのは、イギリスのママパパも同じなのです。

子どもから始めたいと言い出した習い事なのに飽きてしまった、行きたくないと駄々とこねる、やめたいと言い出すといったことは、イギリスの家庭でも起こります。

そういった問題に対処すべく、周りのご家庭が行っている習い事モチベーションUPの工夫としては、

・仲の良い友達と同じグループでできる習い事に通って、一緒に通うことで励まし合う
・オンラインのサービスを利用し、習い事のスキルを客観的に見て、目標に向かって努力する流れを作る
・Youtubeなどで、同じ活動をしている(スポーツや音楽など)子どもの動画を見せて、自分にもできる!という気持ちを持たせる
・その日、習い事に通ったら、ゲームの時間が5分増える

など、各家庭で子どもの性格なども考慮しながら、それぞれ工夫しているようです。

また、毎週決まった日時に習い事を続けることが合わない場合は、短期集中型のレッスンを利用しているご家庭もあります。
これは、現地で「キャンプ」と呼ばれます。キャンプと聞くと、テントとバーベキューのイメージがありますが、実はそのキャンプではありません。
(私は最初に聞いたときに、テントに泊まって、毎日習い事をするのだろうか?と本気で思っていました…。)

ここで言う「キャンプ」とは、決まった日数、連日集中してその習い事を行うものです。そして、その多くは夏休みなどの長期休みに開催されます。例えば、スイミングに毎週通う代わりに、あるキャンプでは月曜日から金曜日まで集中して泳ぎ方を習います。またテニスなどのスポーツも同じで、朝からテニスコートに行って、一日中テニスの集中レッスンを受けるという流れです。

場合によっては、イギリス国内だけではなく、有名なコーチがいる他のヨーロッパの国へ行き、特定のキャンプに参加するというように本腰を入れているご家庭もありました。

近年の習い事の移り変わりについて

2020年春ごろから始まった新型コロナウイルスの影響で、イギリスはロックダウンになって各施設が閉鎖したり、ロックダウン解除後も室内・室外で集まれる人数に制限がかかりました。それにより、人々の生活に多大な影響が出ています。
それによる影響は習い事も例外ではなく、ほとんどの習い事が通常の方法では続けられない状況になりました。

ZoomやGoogleクラスルーム、Skypeなどのサービスを利用したレッスン継続方法に移行することが余儀なくされ、教える先生側も大変だったようです。特に空手やバレエやピアノのように、普段は先生が直接見本を見せて教える、必要なところは手直しをするようなタイプのレッスンは、遠隔でのレッスンがなかなか大変だったようです。それでも、ロックダウン中にはそれ以外の選択肢がなかったために、教える側も習う側も、それぞれ協力して数か月を乗り切ってきました。
ラグビーやサッカーのように、メンバーが集まる必要があるものや、水泳や乗馬などの特定の施設が必要なものは、残念ながら長い間お休みになっていたところがほとんどでした。

現在では、人数制限やいくつかのルールが残っているものの、通常に近いレッスンに戻っている習い事が多く、現地の子どもたちも喜んでいます。

習い事は、子どもの世界を広げる!

子どもの見ている世界というのは、行動範囲や出会う人、経験するできごとで大きく変わってきます。
習い事は、お金と時間にも関わってくることなので、気になるだけ全部トライというわけにはいきませんが、できる範囲で上手に取り入れていくことが大切ですね。

最近、次女が「ガーデニングクラブ」に入りたいと言い始めました。これは学校内の習い事のようなもので、アフタースクールクラブという週1回の放課後クラブです。学校で開催されるので、費用も安く、放課後にそのままクラブへ参加してくれるので、送り迎えが楽という点でありがたいです。
それに対して、長女はものすごくインドア派なので、習い事にほとんど興味がありません。その代わりに、最近ではアプリを使ったピアノレッスンを楽しんでいるところです。

我が家は、周りのご家庭に比べて、習い事の数が少ない方だと感じています。ですが、夫婦で話し合ったり、子どもの興味とすり合わせての数なので、今の状況には、一番ベストだと思っています。

焦らず、周りと比べず、それぞれのご家庭とお子さんの個性に合わせた形で、納得して習い事を選べると良いですね。

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この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa