2017年3月28日 公開

子どものうちから【火祭りの楽しさ】を覚えて育つバレンシアっ子

毎年3月に開かれるスペイン・バレンシアの火祭りは、2016年末にユネスコの無形文化遺産に登録されたばかり。多くのバレンシアっ子が小さな頃からお祭りに参加し、やがてお祭りを支える大人へと育っていく伝統的なお祭りです。今回は火祭りの紹介を交えつつ、子どもがどう関わり楽しむかについて本場からお伝えします。

お祭りの由来は大工だったキリストの父親ヨセフ

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火祭りは、2月の最終日曜日の開始宣言式典から最終日の3月19日まで続く長丁場のお祭りです。連日の爆竹ショーや花火大会、各種パレード、闘牛の連続興行等々、数々のプログラムがありますが、メインはやはり最終日。毎年この日の夜には、町中に飾られた大小700以上の“ファジャ”(可燃性のオブジェ)が炎に包まれ灰と化します。

大人の部の”ファジャ”(右)と 小ぶりな子どもの部の”ファジャ”(左) どちらも最終日に灰になる
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3月19日は、カトリック教会ではイエスの父・聖ヨセフ(スペイン語でサン・ホセ)の日。大工だったヨセフは、昔から大工たちの守護聖人として崇敬されていました。大工たちが聖ヨセフの日に、いらない木屑や木片をまとめて燃やしたことが、お祭りの起源だといわれています。

生まれた時から火祭りの世界へ

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この“ファジャ”は、バレンシア市と隣接する4つの町に点在する約380あるお祭りグループが、火祭りアーティストに依頼して作成します。大きいものだと高さは20mを超え、制作費も数千万円!

老若男女が所属するお祭りグループは年間を通して定例会やイベントを催し、メンバーたちは頻繁に顔を合わせます。そのためグループ内で結婚もすることも、よくある話だそう。そうなると、生まれた子どもも即メンバーになり、物心つかない頃から火祭りの世界で育っていくことになります。

乳児までが民族衣装で参加する献花パレード

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3月17日と18日には全グループのメンバー達がスペインでもっとも豪華な民族衣装をまとい、バレンシアの守護聖母デサンパラードスに花を捧げに行くパレートがあります。

このときは、両親やおじいちゃんおばあちゃんに抱っこされたり、ベビーカーに乗って参列する子どもや3世代で誇らしげに歩く家族の姿も。このパレードには毎年約10万人が参加するそうですが、バレンシア市の人口が約80万だということを考えると、その多さに驚きますね。
親がグループに入っていなくても、きれいな衣装が着たい、なんだか楽しそうとメンバーになる子どもたちもいます。どこのグループにも大人の部と小学生以下の子どもの部があり、子どもの部でも小ぶりの“ファジャ”を作成し、ミス火祭りや代表者を選び、火祭りを内側から体験していきます。

保育園や幼稚園でも行われる火祭り

保育園前の道路で”ファジャ”を燃やす
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火祭りは本番に先駆けて、保育園や幼稚園、小学校でも催されます。息子の通っていた保育園は1歳児と2歳児が対象だったのですが、先生方が段ボールで作った“ファジャ”に爆竹で点火。息子のほかに数人が爆音と炎に泣きべそをかいていました。幼稚園や小学校では、園児や生徒たちが“ファジャ”をつくり、それを燃やして祝うのです。

1歳児もベビーカーから爆竹を投げる

火を使わないボンベタは1歳児も投げて遊ぶ
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火祭りといえば爆竹。バレンシアっ子はスペインきっての爆竹好き。お祭り期間中は、子どもたちが爆竹を片手に道端でバンバン鳴らす姿が風物詩になっています。

驚くことに火を片手に爆竹で遊ぶ未就学児もいますが、大らかなスペイン人は気にしません。というか、大人も子どもと一緒に爆竹を楽しんでいます。投げつけるだけで爆音がする火を使わないボンベタは、なんとベビーカーに乗った1歳児でも投げて遊びます。爆竹好きに育つわけですね。

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火祭り期間中は、町のいたるところに揚げ菓子の屋台が出るので、これも子どもたちのお楽しみ。このように、小さな頃から【火祭り=楽しい】とインプットされていきます。

子どもにとって、地元固有の伝統文化に親しめる環境があるのはすばらしいことですね。小学生になったわが家の息子も、爆竹を投げたり、ファジャを見てまわることを楽しんでいます。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

田川敬子 田川敬子  2002年よりスペイン在住。小学生の西日ハーフ男児の母。日本語環境がない中、2人の間ではなんとか日本語会話を維持しているものの、問題は読み書き。こちらのサイトでは、日本とは異なるスペインの子育て事情をお届けします。