2017年3月11日 公開

移住して感じた、スウェーデンが子育てしやすい6つの理由

2016年に米国で行われた国別ランキング調査「子育てしやすい国ランキング」で、デンマーク、オランダ、オーストラリアを抑えて、スウェーデンが首位になりました。子連れで日本からスウェーデンに引っ越してきて、筆者が実際に感じた子育てをしやすい理由をご紹介します。

子育てしやすい国ランキング1位に!

2016年に米国のブランド戦略会社BAVコンサルティングとペンシルバニア大学ウォートン校が共同で行った国別ランキング調査で「子育てしやすい国ランキング」首位に立ったスウェーデン。

同様に駐在員を対象に行ったランキング調査(HSBC Expat Explorer Suvery調べ)でも、子育てしやすい国1位にスウェーデンが選ばれました。その主な理由としては、福祉国家ならではの「整った社会保障制度」と「子どもが安心して遊べる生活環境」が挙げられます。

子どもとの時間が確保できる社会保障システム

1.世界最長、16カ月の育児休暇

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Matt Benoit / Shutterstock.com
スウェーデンでは、子ども1人につき、育児休暇は480日。先進国では、最長日数を誇ります。この日数を両親で分け合うことになり、配分は各家庭によってまちまち。

ママが前半、パパが後半を取ったり、1週間のうち3日はママ、2日はパパなど、仕事や学業の都合によって合わせられます。30日までなら、両親が同時に育休を消化することもできます。

育児休暇中は、月給の80%まで保障されます。この育児休暇が適応されるのは、子どもが8歳になるまで。また、育児休暇を終えても8歳までは、最大25%まで仕事を軽減することが認められています。

ちなみに筆者の場合、引越し当時、2歳と7カ月の子どもがいたので、住民登録をするやいなや、2人分の育児休暇をもらい、焦ることなく新生活をスタートすることができました。

安定的な収入もキープしつつ安心して1年以上のわが子と過ごせる育児休暇は、スウェーデンが世界に誇れるシステムです。

2.パパも育児参加しやすい

パパも子育てするのが当たり前

パパも子育てするのが当たり前

毎日、子どもと何をしようか?とワクワクしながら、育休を楽しみにしているパパも実はたくさんいます。
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平日なのに、カフェやレストラン、公園などでベビーカーを押すパパを見かけるのも、実はとてもスウェーデンらしい光景なのかもしれません。

男女平等が深く浸透するスウェーデンでは、1974年、世界に先駆け、両親ともに有給で育児休暇を取得できる制度を導入。以来、男性が積極的に参加できる制度が組まれています。

480日ある育児休暇のうち、少なくとも90日は男性が取らなくてはなりません。現在、男性の育児休暇取得の平均は、約4分の1(120日間)。しかしスウェーデン政府は、さらに育児参加におけるジェンダーイクオリティ(男女平等)を推進すべく、両親が平等に育児休暇を取った場合にジェンダーイクオリティボーナスという給付金を支給します。

3.子どもの病欠でも安心して仕事が休める

子どもの看病が保障されるVAB制度

子どもの看病が保障されるVAB制度

保育園には感染の恐れがある病気が発症すると注意喚起のため、園内にお知らせが張り出されます。この日は溶連菌と感冒性胃腸炎、シラミが流行っていました。
1年で寒さが1番厳しい2月は、児童の病欠も最多。VAB利用者も増えることから、2月=Februaryをもじり「VABruary」と呼ばれることも。
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男女平等が徹底している国だからこそ、両親共働きが前提のスウェーデン(スウェーデンでは専業主婦の割合が非常に低く、全体の2%ほど)。 男性だけでなく、女性も子育てしながら自分のキャリアを築いています。

しかしながら、仕事と育児を両立する上でどうしても避けられないのが、子どもの病気。子どもが不調で学校や保育園をお休みとなると、もちろん親もお仕事をお休みしなくてはなりません。

そこでスウェーデンでは、子どもが病欠で仕事を休む際、政府が給与の80%を保障してくれる制度(VAB)が適応されます。

多くの企業や会社で実践されているので、VABで仕事を休むことになっても当然ながら、上司や同僚から理解や協力が得られます。女性のみならず、男性もこの制度を利用して子どもを看病することもしばしば。

この制度のおかげで、急な呼び出しで子どもをお迎えに行かなければいけないときも、気兼ねなくすぐに駆けつけられます。

子連れのお出かけが苦にならない

4.ベビーカー乗車は市内バス無料

バス車内中央にあるベビーカー専用スペース

バス車内中央にあるベビーカー専用スペース

ベビーカー専用スペースは、折りたたみ式の座席があるので、ママたちも快適に乗車できます。
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街ゆく子連れパパやママを観察すると、みんなフットワークが軽く、実にアクティブ。日本からスウェーデンに渡ると、街中の至る所に赤ちゃんや子どもを連れたパパやママがいて、驚くかもしれません。

その理由のひとつに、ストックホルムをはじめ多くの都市で「ベビーカーでの市バス乗車は無料」であることが挙げられます。ストックホルムの場合、市バスの路線や本数が充実しているので、目的地まで少ない乗り換え回数で利用できる点も魅力です。

通常、ベビーカーでの乗車時は、前方の乗車口ではなく、車両中央にある降車口から乗車し、ベビーカー専用スペースに止めます。ベビーカーでの乗車無料のもうひとつの理由として、専用スペースにベビーカーを放置したまま、料金を払いに前方運転席まで行くのは、発車時や急ブレーキの際に危険だからということもあります。

ただし、あくまでも運賃を払っている人が優先されるため、車内のベビーカー専用スペースが満員の場合は、バス停でベビーカー利用者は乗せてもらえず、次のバスを待つことになります。このように朝夕のラッシュでは不便もありますが、日中のお出かけであればバスは大変便利です。

5.子連れで使える施設が充実

ベビーカー用スロープが移動に便利

ベビーカー用スロープが移動に便利

エレベーターが設置できない場所には通常、階段横に2つのスロープがあります。ベビーカーを後ろに傾け後輪をスロープに沿わせて上り下りをする仕組みになっていますが、移住当初は傾斜で上手くバランスが取れるのか不安で恐る恐る利用していました。数回使ってコツをつかめば安全に使用できます。
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ベビーカーを引いた育休中のパパママが、平日の昼間にカフェやレストランでランチまたはフィーカ(スウェーデン語でコーヒーを飲みながら談笑する意味)を楽しむ姿は、スウェーデンでは日常茶飯事。育休中だからといって、外出や友人に会う時間も惜しまないのがスウェーデンのパパママの流儀です。

実際に子連れで街に繰り出してみると、ベビーカーや子ども同伴でも充実した時間を過ごせる配慮が至るところで見つかります。

まず驚くのは、移動のしやすさ。駅や公共施設、広場ではバリアフリーが徹底しており、エレベーターやスロープがすぐに見つかり、ベビーカーでも楽々街を歩けます。

天気が良ければ、遊具がそろった公園で子どもを遊ばせることができますが、冬が長い気候のせいか、屋内施設での子ども向け施設も充実。ショッピングセンターなどの商業施設の多くに、子どもが遊べる無料のプレイルームが設置してあり、子どもを遊ばせながら、ママ同士、買ってきたコーヒーを飲みながら談笑している姿もよく見かけます。もちろん、おむつ替え台や荷物を置けるロッカーも完備。

レストランやカフェでも同様で、必ずベビーチェアが置いてあり、小さなプレイルームやおもちゃコーナーも。チャイルドフレンドリーな環境で、パパママもリラックスして食事を満喫できます。

子連れや家族連れでは敷居が高そうな印象の図書館や美術館も、人形劇や探偵に扮して館内を回るツアーなど、遊びながら本来の趣旨に触れられるような展示ルームやイベントが随時開催されています。

大人が行く先には子ども向け施設あり。大人も子どもも楽しめる、お出かけが鉄則なのです。
子どもも楽しめる国立近代美術館

子どもも楽しめる国立近代美術館

「子どもがすぐに飽きてしまうのでは?」と思われがちな美術館も、毎展示会ごとに工夫を凝らした、子ども向けのアート展示があり、家族で芸術に触れることができます。
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6.身近な自然でアウトドアが楽しめる

「森と湖の国」といわれるスウェーデンは、その名の通り、豊かな自然があふれています。都市部でも中心街から20分も車を走らせば、森や湖、海辺など大自然に到着。郊外に住んでいるなら、散歩にぴったりの森林がすぐそこです。

思い立ったら、サンドイッチを作って家族でピクニック!というのも休日の定番の過ごし方。森を散策するほかに、夏は湖で泳いだり、晩夏から秋にかけてはベリーやきのこ狩り。雪が積もればクロスカントリースキーやそり滑り、湖上でのスケートなど、アウトドア・アクティビティには事欠きません。

なによりも近場でお金もかけずに、四季を通して外遊びが楽しめます。森の中で見つける動物や植物、大きな岩や倒木などは、子どもたちの遊び心を刺激して1日飽きずに過ごすことも。
子どもは自然の中で遊ぶのが一番と感じる瞬間です。
晩夏にはブルーベリー狩り

晩夏にはブルーベリー狩り

8月下旬ごろからブルーベリーは収穫期を迎えます。森や近くの丘にはブルーベリーが自生しているので、毎日のようにブルーベリー狩りに出かけます。
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定着したワークライフバランス

個人が幸せであるために

個人が幸せであるために

移住して今一度、仕事や家族との過ごし方や自身の幸せを考える日々です。
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スウェーデンのライフスタイルは、日本から移り住んでみると目から鱗、新鮮なものばかりでした。

国の将来を担う子どもたちに重点をおいた制度や家族優先の考え方など、充実した生活を送るために追求されたライフワークバランスのように感じます。「一人一人が幸せであることで、国も豊かになる」そんな一例かもしれません。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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Yuko Chavs Yuko Chavs  スウェーデン・ストックホルム在住。東京出身。英国文化・音楽に強く惹かれ渡英。ウェールズ大学でウェールズ語と映画・TV学科を専攻。卒業後は日本で、ラジオパーソナリティー、撮影コーディネーター、翻訳、リサーチャーなどを経て2012年よりスウェーデンへ移住。小学生と保育園に通う3人の子育てに奮闘中。