2019年08月09日 公開

「夫婦の会話」が、子どもに必要な5つの力を育てる

子どもは、パパとママが話している姿をよく見て、言葉をよく聞いています。その会話こそ、子どもがこれからの時代を生きるために大切な5つの力を伸ばしていきます。出版後たちまち3刷になった話題の本『賢い子を育てる夫婦の会話』の著者である天野ひかり先生にお話を伺いました。

子どもは、パパとママが話している姿をよく見て、言葉をよく聞いています。その会話こそ、子どもがこれからの時代を生きるために大切な5つの力を伸ばしていきます。出版後たちまち3刷になった話題の本『賢い子を育てる夫婦の会話』の著者である天野ひかり先生にお話を伺いました。

夫婦の会話が“賢い子”を育てる!【全3回連載】

子どもは、パパとママが話している姿とその言葉から、親子の対話よりも多くのことを学んで育ちます。

連載第2回目である今回は、「夫婦の会話」が育んでいく、これからの時代を生きる子どもにとって大切な5つの力について解説いたします。

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【連載】夫婦の会話が“賢い子”を育てる!
Vol.1 賢い子を育てる「夫婦の会話」4つのルール
Vol.2 「夫婦の会話」が、子どもに必要な5つの力を育てる ←今回はここ
Vol.3 【シーン別】賢い子を育てる夫婦の会話のコツ
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(1)コミュニケーション力

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これからの時代に活躍できる人になるために、わが子にはコミュニケーション能力を身につけてほしいと願う親は多いことでしょう。しかし、これは親が一方的に教えて身につくものではなく、机の前で勉強して獲得できるものでもありません。

コミュニケーション力は、毎日の家族の会話の中から育まれるもの

親から子どもへ、一方通行の言葉がけにならないよう会話することも大切ですが、もうひとつ大切なのは、子どもがパパとママの会話を聞くこと。

「こんな表現をすると相手はわかってくれるんだ」「こんな言い方は相手を不機嫌にさせるんだ」というふうに、パパとママの会話を客観的に見ることで、コミュニケーションの方法を知らず知らずのうちに学んでいくのです。

(2)多様な価値観を受け入れる力

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家庭は、子どもにとってはじめて出会う「社会」です。
好きなことや嫌いなこと、善悪の判断基準、相手を思いやること、大切にすべきこと、守るべきマナーやルールなどを、家庭を通して学んでいきます。

一緒に暮らすパパやママ、それからおじいちゃんやおばあちゃん、きょうだいなどの家族は、子どもにとって最も身近な社会の構成員です。

家族だからといって全ての価値観が同じわけではありません。
パパとママは別々の人間であり、それぞれ異なる価値観を持ち、お互いにぶつかったり尊重し合ったりしながら一緒に暮らしています

このように、お互いの違いを認めて尊重する姿を子どもに見せられる機会が「夫婦の会話」であり、そこから多様な価値観があることを学び取ります。そして、子ども自身の価値基準を広げていくのです。

(3)非認知能力

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これまでは、「読み書き」や「計算」など、子どもが「賢くなった」ということが目に見える「認知能力」が重視されてきました。

しかし、
・目標に向かってがんばる力
・人とうまく関わる力
・感情をコントロールする力

といった、目に見えないけれど大切な力=「非認知能力」を高めることが、その後の子どもの人生の成功や収入の安定に関係している、ということが、アメリカの研究でわかっています。

これらの力は、他者と関わったり子ども自身のやりたい気持ちを大切にすることで育っていきます。そして、「自分を信じること」で発揮されていきます。

「夫婦の会話」を通して、例えば「一生懸命に話せばわかってもらえる」という感覚や、「涙って嬉しいときにも出るものなんだ」「役に立てるよう自分もがんばろう」などと思える力を子どもは身につけていきます。つまり非認知能力は、家族の関係性の中で育めるのです。

(4)安定したアイデンティティを獲得する力

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子どもが安定したアイデンティティを育んでいくためには、「生きるって楽しい」「自分は生きている価値がある」と感じられることが大切です。

子ども自身がこのように感じられるかどうかは、家族の言葉の影響が大きいでしょう。
「生まれてきてくれてありがとう」
「あなたが我が家に生まれてきてくれて本当に幸せだよ」

そんな風に直接的にお子さまに伝えることも大切ですが、この連載の1回目でもお伝えした通り、直接言われる言葉よりも間接的に聞いた話の方が心に響く傾向があります。

両親の会話を通してそれを感じられたら、子どもの安定したアイデンティティの形成につながっていくはずです。

(5)問題を見つけ出す力

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これからの時代は、与えられた課題を解くだけでなく、「課題そのもの」を設定する力が必要になります。
なぜなら、与えられた課題を解くことは人間よりもAIの方が得意なことで、それはいずれAIにとって代わられることからです。

AIにはできない、人間にしかできないことは何か。それが、「課題を見つけ出す」ことです。

「課題」というのは、「あなたは何か困っていることはあるか?」と直接聞かれてもすぐに出てくるものではありません

自分の困っていることやほかの人の心配事について話したり、みんなの不安や悩みを浮き彫りにしてまとめていく中で、大きな課題が見えていく……というように、みんなと会話する中から見つかっていくものです。

夫婦で、家族で、いろんなことを話しているうちに、課題に気づき、改善していくための新しい発想が生まれる―。この繰り返しにより「課題を見つけ出す力」が伸びていきます。

夫婦の会話が、AI時代も生き抜く子を育てる

ここまで紹介した5つの力は、いずれもこれからの時代を生きる子どもたちにとってとても大切な力です。

AI社会が到来することで、ただ「勉強ができる」「学力が高い」だけでは生きていくのが難しい時代になっていきます。
AI社会で活躍していく子を育てるためにも、夫婦の会話で大切な力を養っていきましょう。

最終回となる次回は、「賢い子を育てる夫婦の会話のコツ 」をシーン別に解説していきます。

(取材・文/洪愛舜)

天野ひかり先生プロフィール

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『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)著者。
上智大学文学部卒業。テレビ愛知アナウンサー(1989〜1995)。現在はフリーアナウンサーとして活躍中。
フリー転向後はNHKの番組を中心に出演し、2008年3月まで教育テレビの番組『すくすく子育て』でキャスターを務める。自身の結婚、出産、育児と仕事の両立を経験したことで、子育ての重要性を認識。「NPO法人親子コミュニケーションラボ」を立ち上げる。子どもの自己肯定感を育むための親子のコミュニケーション力をのばす講座や講演を全国の自治体や幼稚園、学校、企業などで開き、今までの受講者は5万人以上。多くの父母から支持され「育児が180度変わった! 」など感動の声が寄せられている。著書は他に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)、『天野ひかりのハッピーのびのび子育て』(辰巳出版)がある。

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ベストセラー『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』著者の最新作。
怒らないと勉強しない、友だちや学校の話をしなくなった、「自分なんて」と自分を責める、きょうだいゲンカが多い……。この原因は「夫婦の会話」にありました。
伝え方のプロで自らも子をもつ母である著者が、子どものふるまいが心配な人、 パートナーとの子育てに悩みがちな人に、子どもを賢く育て、夫婦関係もラクになる会話のコツを紹介します。

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この記事のライター