子どもの不読率を減らすにはどうしたら良いのでしょうか。2001年から文部科学省が進めてきた「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」と、今後の課題をお伝えします。子どもにとっての読書の意義を改めて理解し、読書習慣をつけるために家でできることを実践してみませんか。
不読率とは?子どもの読書離れが進んでいる?
ただし、まだネットがそれほど普及していなかったにもかかわらず、約20年前から問題視されていたため、文部科学省は、2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」を成立させ、さまざまな取り組みを行ってきました。そして、その活動が実を結び、小中学生の不読率はやや改善傾向となりましたが、高校生の不読率は依然として高いままとなっています。
ちなみに不読率とは1カ月に1冊も本を読まない子どもの割合のこと。文部科学省の調査によると、2017年度では小学生5.6%、中学生15.0%、高校生50.4%という結果です。
子どもの読書活動の意義
読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものである
段階別にみる子どもの読書
未就学児
小学生
中学年では、一冊の本を読み通すことができる子どもと、そうでない子どもに分かれてきます。前者の子どもは、自分の考え方と比べながら読むこともでき、さらに多くの本を読みはじめます。
高学年では、好みの本を選ぶようになり、その傾向が強いと読書の幅が狭まる可能性があります。一方で、読書の幅が広がりはじめる子どもがいます。
中学生
高校生
子どもの読書活動を推進するためのヒアリング調査
子どもの読書習慣を形成するために必要なこと
・読書の楽しさを知ってもらえるような働きかけ(読み聞かせ、おはなし会やブックトークなど)
・子どもと本をつなぐ人に対し、発達段階に応じた支援の仕方を学ぶ機会を提供
・学校で図書館の使い方を含めた、図書館について学ぶ時間や授業に対応した工夫
・図書館が児童館や子育て支援センターなどと連携して、養育者に働きかける
子どもが主体的・能動的に読書をするために必要な工夫
・子どもの身近(生活圏内)に本がある環境づくり
・読書が好きな子どもから苦手な子どもへ取組みを広げる
・子どもたち自ら本の面白さ楽しさを他の人に伝える機会を増やす
・図書館資料を使った調べ学習の促進
・朝読書など、学校で読書に親しむ時間を定着させ、読書習慣を形成する
子どもが読書するかどうかの背景には、子ども自身の取り組みや姿勢だけはなく、親やその周りの大人たちの意識や心がけの影響が大きいという側面があるようです。
これを機に、パパママ自身も改めて読書の意義を考えてみてはいかがでしょうか。
第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」とは?
大きなポイントとなるのは、「発達段階に応じた取り組みにより、読書習慣を形成」と「友人同士で行う活動等を通じ、読書への関心を高める」の二つです。これに基づいて、各分野における役割や取り組みが報告されています。
家庭における取り組み
例えば、読み聞かせや図書館に出向くことはもちろん、定期的に読書の時間を設け、家族で感じたことなどを話し合い、子どもの関心や興味を引き出すことが必要です。
家族で同じ本を読み、絆を深めることは、家読(うちどく)と呼ばれ、こちらも推進されています。
そのためには、各方面からの支援が重要です。読み聞かせ会の開催や、乳幼児と保護者に絵本を手渡すブックスタートなどが挙げられています。
学校・幼稚園などにおける取り組み
小学校以降は、子どもが生涯にわたって読書に親しみ、読書を楽しむ習慣を形成するために大きな役割を担う場所です。そのために、全校一斉の読書活動や子どもによる図書紹介など、読書の機会を確保し習慣を形成することや、学校図書館の整備や充実が求められています。
図書館における取り組み
図書館は、読み聞かせ会や展示会の実施や、インターネットなどを活用した情報提供が求められています。そのためには、図書館資料や施設のより一層の充実とともに、司書や司書補の適切な配置や研修の充実が必要となります。
まずは家庭でできることを
そのためには、さらに、国・都道府県・市町村が学校・図書館・ 民間団体・民間企業などさまざまな機関と連携し、子どもの読書環境を充実させることが求められています。
また、この目標の達成に向けて、改めてそれぞれの役割をしっかり認識し、取り組む必要があるのではないでしょうか。まずは家庭でできることを意識してみると良さそうですね。