2018年11月19日 公開

くるみ割り人形のあらすじは?絵本の世界とバレエ組曲の違い

童話・バレエ組曲で知られる『くるみ割り人形』。あらすじを説明できる方は少ないのではないでしょうか。原作名は『くるみ割り人形とねずみの王様』。これを元にチャイコフスキーがバレエ組曲を作りました。くるみ割り人形のあらすじ・バレエ組曲との違いを見てみましょう。

くるみ割り人形とは?

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くるみを日常的に食べる習慣がない日本人にとって「くるみ割り人形」は馴染みが薄いかもしれません。
くるみ割り人形はドイツの伝統工芸品であり、クリスマスの装飾品。その歴史は古く、16世紀にはくるみ割り人形を贈り物にする習慣があったようです。

その名のとおり、くるみを割るための道具が人形になったもの。顎が開閉できるようになっていて、そこにくるみを挟み、背中にあるレバーを下げることでくるみが割れます。歯でくるみを噛み砕くように見えて、面倒な殻むきも楽しくなりそうです。

王様・兵士・警官など、人形は権威のある人物がかたどられているものがほとんど。一説では、庶民が支配階級へのうっぷんを晴らすために「お偉方モデル」のくるみ割り人形が作られたと言われています。

正式な題名は『くるみ割り人形とねずみの王様』

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絵本などで知られる『くるみ割り人形』の原作は、1816年に発表されたE.T.A.ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王様』というおとぎ話です。また同作は三大バレエ組曲のひとつ、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」(1892年初演)の原作にもなっています。

原作者ホフマンが幼い我が子を失ったあと、友人の子どもたちのために作ったお話です。作品のなかに出てくる、怖い外見だけど手先が器用で子どもには好かれる「ドロッセルマイヤーおじさん」は、ホフマン自身を投影しているとも言われています。

あらすじ

7歳の少女マリーは、医務参事官シュタールバウム家の3兄弟の末娘。クリスマスにはたくさんのプレゼントをもらいます。高価できらびやかなプレゼントのなかで、マリーが一番気に入ったのは不格好なくるみ割り人形。これはマリーの名付け親である、ドロッセルマイヤーおじさんからのプレゼントでした。

妹が大事にする様子を見ていた兄のフリッツは、固いくるみを無理やり人形に噛ませて壊してしまいます。壊れたくるみ割り人形を不憫に思ったマリーは、小さなベッドで人形を寝かせてあげようとしました。すると周囲の様子が一変し、突然7つの頭を持つねずみの王様とその軍隊が現れます。

驚くマリーの前で、くるみ割り人形と家じゅうの人形たちが力を合わせて、ねずみ軍と戦いを始めました。くるみ割り人形に危機が訪れた時、マリーはたまらず手を差し伸べようとします。その途端、彼女の意識は飛んでしまいました。

気がつくとマリーはベッドの上で、腕には包帯が。母親の話によると「夜遅くまで人形と遊んでいて、誤って戸棚のガラスに腕を突っ込んで怪我をした」とのことでした。
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この不思議な出来事を、マリーはドロッセルマイヤーおじさんに話します。するとドロッセルマイヤーおじさんは「くるみ割り人形にまつわる話」を教えてくれたのです。

あるところにピルリパートという美しいお姫様がいました。しかし、ねずみの呪いによって醜いくるみ割り人形にされてしまいます。そこで時計師のドロッセルマイヤーとその甥は、ねずみに戦いを挑み見事呪いを解くことに成功します。その結果、ピルリパート姫は元の美しい姿に戻れたものの、身代わりのような形でドロッセルマイヤーの甥がくるみ割り人形になってしまったのです。

呪いを解くには、2つの条件がありました。

・マリーが見た7つの頭を持つねずみの王様を倒すこと
・醜い容貌でも愛してくれる女性が現れること

マリーは、この話に出てくる時計師とその甥は「現実のドロッセルマイヤーおじさんと彼の甥」であると確信するのでした。
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それから毎晩、マリーの元にねずみの王様が現れて、くるみ割り人形の安全と引き換えに物品を要求するようになりました。人形を守りたい一心で、マリーは自分のものを次々引き渡してきます。

困ったマリーがくるみ割り人形に相談すると、彼は剣を準備するように願い出ました。兄であるフリッツに頼み、マリーは兵隊人形の剣を手に入れ、くるみ割り人形に渡します。

その晩、くるみ割り人形がねずみの王様を倒し、マリーにお礼を言いに訪れました。そして人形の国へ遊びにくるように誘います。国民たちに歓待され、くるみ割り人形と楽しい時間を過ごしたマリー。翌朝、家族に人形の国の話をしますが誰も相手にしてくれません。

しばらくたったある日、ドロッセルマイヤーおじさんから素敵な少年を紹介されます。彼はドロッセルマイヤーおじさんの甥でした。彼はマリーと2人きりになったとき、「マリーによって助けられたくるみ割り人形の正体は、自分である」ことを打ち明け、マリーに結婚を申し込みます。人形の国の王様となっていた少年とマリーは結婚し、マリーは王妃となりました。

バレエ組曲『くるみ割り人形』とは?

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ヨーロッパにおいてバレエ組曲『くるみ割り人形』は、クリスマスシーズンに上演されることが通例となっています。ホフマン原作の『くるみ割り人形とねずみの王様』をフランスの小説家、アレクサンドル・デュマがアレンジ、翻訳し作られたものです。

限られた上演時間内で原作の世界観を出すため、その内容は簡略化されています。

あらすじ

主人公はシュタールバウム家の末娘クララ。彼女の家で催されたクリスマスパーティーの客人のひとり、人形使いのドロッセルマイヤーおじさんは子どもたちにクリスマスプレゼントを配ります。クララに贈られたのは、お世辞にも可愛いとは言えないくるみ割り人形。その不格好な人形を彼女は大変気に入ります。

兄のフリッツもそのくるみ割り人形に興味を持ち、クララと取り合いに。人形は壊れてしまいました。かわいそうに思ったクララは、自分のドレスのリボンで手当をしてやります。人形につき添っているうちに、夜中の12時の鐘が鳴りました。その途端、クララの体は人形サイズにまで小さくなります。

やがてクララの前で、ねずみの王様の軍隊とくるみ割り人形率いる人形軍の大戦争が始まりました。激しい戦いの末、大将同士の一騎打ちになります。ねずみの王様が優勢になったとき、クララの助けによってくるみ割り人形はピンチを切り抜け、見事勝利を収めました。

すると、くるみ割り人形の姿が美しい王子様に。王子様はクララをお菓子の国へ招待します。旅の途中の美しい雪の世界、お菓子の国の女王から受けた歓待……。夢のように楽しい時間を過ごしたクララ。夜が明ける頃、彼女は部屋のクリスマスツリーの下で目を覚まします。

幸せな気持ちで満たされたクララは、側に置いてあったくるみ割り人形を抱き締めました。

なお、お菓子の国に行ったところで終わる脚本もあります。

子どもに話すコツ

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謎めいたドロッセルマイヤーおじさんの存在、夢オチのような結末。くるみ割り人形はおとぎ話の中でも、子どもが多くの疑問を抱くお話と言えそうです。

「くるみ割り人形って何?」「なんで可愛くない人形なのに嬉しかったの?」「ねずみの王様は本当にいたの?マリーの夢の中のお話なの?」など、さまざまな質問が子どもから出ることでしょう。

読み聞かせをする際は、なかなか進まなくてパパママは大変かもしれません。特に幼児期の子どもは「ひとつの疑問が解決しないと、次へ考えが切り替わらない。」ことも多いもの。面倒ですがその都度、質問に答えるか、切りの良い場面ごとに質問の時間を設けるのがおすすめです。繰り返し読み聞かせるうちに、じっと耳を傾け物語の世界に入り込めるようになります。

ベストシーンを親子で話し合ってみよう

「お兄ちゃんが無理矢理、くるみ割り人形を使うところが面白かった」「見た目にこだわらず、くるみ割り人形を愛し守り続けようとしたマリーに感動した」「人形の国に二人で行くところが楽しそうだった」。同じ作品を読んでも、心に残るベストシーンは人それぞれです。

くるみ割り人形を読んだ感想を、親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。それぞれの視点、大人と子どもの感性の違いを知ることで、くるみ割り人形をより深く楽しめることでしょう。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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aotanaoao aotanaoao  小学1年生の娘を育てる兼業主婦です。遊びながら知育できることを日々模索中。 英会話教材、学習テキストを使ってマイペースで家庭学習を楽しんでいます。