2017年10月11日 公開

小学校のプログラミング教育開始前に、親が心得ておきたいこと

2020年から小学校で必修化される方向で調整が進む、プログラミング教育。まだ詳しく知らない私たち親世代が心得ておきたいこと・知っておくべきことを、関西でプログラミング教室を展開する「ワオ・コーポレーション」で伺いました。

2020年から小学校で必修化される方向で調整が進む、プログラミング教育。まだ詳しく知らない私たち親世代が心得ておきたいこと・知っておくべきことを、関西でプログラミング教室を展開する「ワオ・コーポレーション」で伺いました。

小学校のプログラミング教育ではどんなことを習うの?

photo by ワオラボ (65504)

via photo by ワオラボ
今回取材したのは、関西でロボットプログラミング教室「ワオラボ」を展開するワオ・コーポレーションです。お話は、ワオラボの講師である栗谷真亮さんと開発室小林大陸さんに伺いました。

まずお聞きしたのは、小学校のプログラミング教育について。お二人によると、「小学校のプログラミング教育の目的は、技術の習得そのものではない」とのこと。

プログラミングを通して、主体的な学び方を身につけ、現代を支えているプログラミングの世界の一端を知る。それがプログラミング教育の真のねらいだそうです。

国として、「将来の有望なプログラマーを育てよう!」と意気込んでいるのではありません。もちろん、プログラミングの技術に長けた子がたくさん出てきてほしいという願いはあるのですが、必修化によって、より多くの子たちに「プログラミングっておもしろい!」と思ってもらうことに重きを置いているそうです。

必修化したら「プログラミングの時間」ができるの?

意外と勘違いしがちですが、必修化=教科になる、ではないようです。2020年予定のプログラミング教育必修化も、プログラミングを学ぶ授業が別途時間割の中に設けられるのではなく、今のカリキュラムの中に組み込んだ形で行います。

たとえば、算数の一環としてプログラミングの時間を設けたり、プログラミングと関係の深い音楽作りを、音楽や総合的な学習の時間に組み込んだり。さまざまな機会とプログラミング教育を結びつけて学習していきます。

親もプログラミングを学ぶべき?

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PR Image Factory / Shutterstock.com
栗谷さん、小林さんによると、「必ずしも親がプログラミングに詳しくなる必要はない」そうです。

「アクティブ・ラーニング」という言葉が最近盛んに使われていますが、これからは「教える・教えられるの関係性」がどんどん変わっていきます。これだけ情報が溢れた世の中では、子どもの方が長けている分野があるのも当たり前に。特にプログラミングは、それが起こりやすい領域です。

親も子も一緒になって考えたり調べたりして試行錯誤する。それが、プログラミング教育では求められているようです。

親に何かできることはある?

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via photo by ワオラボ

学びたい!と思えば学べる環境を

「親にできるのは、環境を用意してあげること」と、栗谷さん。子どもがプログラミングに興味を持ったら、プログラミング用の教材を一緒に用意してみたり、アプリを使ってみたり……。今どんどん増えてきているプログラミング教室では、体験会なども開催しているので、親子で参加してみるのも良いかもしれませんね。

親の意識改革も必要

先生の言うことをよく聞いて、言われた通りのことをしていればよかった時代は、終わりを迎えようとしています。新しい時代では、いかに自分の意見を持つか、やりたいことを実現させるかが大事。

「プログラミング分野においては、”先生の言う通りにしなさい”という指導をしないでほしいと保護者の方々にお願いをしている」という小林さん。小学校の授業で展開されるプログラミング教育でも同じことだとおっしゃいます。

おもちゃは作れるものや学べるものを

「おもちゃを与える時にも、既に完成されているものよりも自分で作ったり学んだりできるものを選んであげてほしい」と小林さん。

特別な教材だけでなく、普段使うおもちゃも同じように好奇心が芽生えるきっかけ。うまく活用したいですね。

子どもはどこまでできれば困らない?達成目標はある?

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Phil's Mommy / Shutterstock.com
どのレベルまで理解しておけば、子どもたちは将来困らずに済むのでしょうか。

もちろん、プログラムを自由に動かせるに越したことはありません。ただ、小学校でのプログラミング教育に限っていえば、「コンピュータに指令をすると、その通りに動かせる」という実感を子どもたち自身が持てればいいとのこと。

身近なものの中には、プログラムで動いているものがたくさんあります。

たとえば自販機。プログラミングを学んだら、だいたいの仕組みは見当がつくようになっていきます。でももし、江戸時代の人が見たら、魔術か何かだと考えてしまうかもしれませんね。

つまり、プログラミングを知っていると知らないとでは、ものの仕組みへの見方が大きく変わるのです。プログラミングの仕組みを学ぶことは、世の中の動きを理解することにつながり、あるいはもっと便利な世の中にするためにはどうすればいいかを考えるきっかけになるということです。

性別も年齢も関係なくプログラミングを学ぶ時代に

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Syda Productions / Shutterstock.com
今回の取材で印象的だったのは、ワオラボの教室に来ている子の3分の1は女の子で、しかも通塾者の平均年齢がどんどん低年齢化してきているということ。

これまでは理系分野のスキルという印象が強かったプログラミングですが、これからは、性別や年齢関係なく、大勢が必要なスキルの一つとして変わっていく予感がしますよね。

次回は「プログラミング教育の可能性」を探っていく記事をお届けします。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

山葵菜コウ
山葵菜コウ

関西在住の1男1女年子の母。教育や学び、子育てにアンテナがぴーん!大学は初等教育・教育学を専攻。身につけた知識や思想を子育てに活かせるように日々奮闘しています。