2017年8月11日 公開

時間割もテストもない!西宮サドベリースクールってどんな学校?

多様な学び方を実践するオルタナティブスクールやフリースクール。近年、新しいタイプの学校として、認知度が高まってきています。そのひとつ、兵庫県西宮市にある「西宮サドベリースクール」を訪れ、どのような方針でスクールが運営されているのかお話を伺ってきました。2回に分けてご紹介します。

西宮サドベリースクールとは?

サドベリースクールをご存知ですか? 授業や時間割がなく、学年も分かれておらず、在籍する子どもたちが主体性を持って自由に学ぶという独特の方針で運営されています。

今回は、兵庫県西宮市にある「西宮サドベリースクール」を訪れ、どういった教育が行われているのかその特色を取材してきました。
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西宮サドベリースクールの子どもたちお手製の看板とスタッフ。
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【特色1】何をするのも、子どもたちの意思を尊重

西宮サドベリースクールには、時間割も決まったカリキュラムもテストもありません。子どもたちが自分で日々の活動を決めて過ごしています。

一日6時間の学校生活をどうデザインするかは本人次第。

「自由といえば聞こえはいいけれど、実際は厳しい環境。子どもたちに好きなことをやっていいよと伝えても、普通であれば3日も持たないのではないでしょうか」そう話してくれたのはスタッフの阪上さん。

特に入学したての子は、はじめは自由な時間に困惑し、暇を持て余すように過ごすそう。しかし、少しずつ環境に慣れていき、自分で何かとっかかりを考えて、動き出すようになると言います。自由を通して、自分で考える力を養っていくのです。

【特色2】プロジェクトで自分の活動を決める

photo by 西宮サドベリースクール (57997)

via photo by 西宮サドベリースクール
子どもたちは自分の興味・関心のあることを見つけて「プロジェクト」を立ち上げます。お金や場所を要する活動は、この学校では子どもたちとスタッフの承認が必要です。自分で企画書を書き、みんなが集まる会議でプレゼンをし、承認されてはじめて活動をスタートできるのです。

最近では、山梨県にある八ヶ岳サドベリースクールへの国内留学がプロジェクト案に上げた子がいて、何度も何度も予算などの見直しを重ねてやっと実現したのだそう。一般の学校で宿泊行事に参加することと比べると、相当な重みがあるように感じました。

【特色3】「子どもだからできない」はない

西宮サドベリースクールでは、子どもと大人(スタッフ)の間に線引きはありません。スタッフは、先生のような「導く存在」ではなく、あくまで子どもたちをサポートする立ち位置です。

子どもと大人はフラットな関係で、スタッフは「子どもだからできない」と考えずに、やりたいことがあったらどうすれば実現できるのかを一緒に考えます。

たとえば、幼い子どもが、自分たちだけで釣りやサーフィンに行ってみたいと言いだしたら、「危ないからやめておきなさい!」と止めてしまうことはないでしょうか。あるいは「やりたいなら一緒に行ってあげるよ」と大人が誘導する提案をするかもしれません。

しかし、この学校では子どもたち自身が「危険があるなら、どうすれば安全面の確保ができるのか?」という方向で話し合いをし、

誰かに一緒について行ってもらうのはどうか?

それは誰がいいのか?

海に詳しい人なら安心だ!

というように、「子どもでもどのようにすれば実現できるのか」を自ら具体的に考えていきます。

スタッフは同じフィールドにいながら、大人の目線でそっと確認する役割も担っています。

【特色4】子どもたちも学校運営の中心に

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スタッフと子どもたちのミーティングの様子。
via photo by 西宮サドベリースクール
この学校では、なんと学校運営まで、子どもたちが参加しています。子どもたちもスタッフと同じ権利を持っていて、学校の今後について真剣に話し合うのです。

学校の規則も自分たちで作ります。これも大人から何かを決めるように促されるのではなく、自分たちの学校生活で生じた問題点を中心に、みんながより良く過ごせるために取り決めをしておくというスタンスです。

さらに、子どもたちとスタッフは定期的に「ミーティング」の機会を設けています。

驚くべきは、このスタッフの任命・免職から、スクールの予算管理までも子どもたちが関わっているということ。この取材自体も、スタッフの方を通じて、子どもたちのミーティングにて承認を受けて実現しました。

【特色5】個人のベストじゃなくて、みんなのベター

多様な年齢・価値観を持った子どもたちの集団では、当然自分の意見とは違う意見とぶつかり合うこともあります。
「このスクールでは、何かを決める前には、皆でまずA案・B案・C案など様々な提案をしあって、それを皆が理解するまで質問してから”さあどれがいいか選ぼう!”というものです。本当の多数決とは、出た案についてああでもないこうでもないと話し合った後に、さてどれが総合的に考えて良い選択なのかを考えることではないでしょうか」と阪上さん。西宮サドベリースクールでは、皆が納得できるまで、しっかり議論した後に決を取るという方針を採用しています。

「自分のベストじゃなくて、みんなのベター。それを考えるのが、民主主義の本質だと思うんです」

子どもたちは学校運営を通して、社会に出た時に必要な力の素地も養っているのです。

「自由」の重さを感じつつ、自分で道を切り開く学校

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取材に伺って印象的だったのは、下校時間になった時に、子どもたちに「あーやっと帰れる」という雰囲気が全くなかったことです。子どもたちみんなが、大好きな日常の一部として学校生活を楽しんでいるように感じました。

時間割もなければ決まったカリキュラムもテストもない。そうなると、子どもたちはゲームや生産性のないことばかりをするのではないか、と私たち大人は心配してしまいがちです。

「実際、子どもたちはゲームが大好きだし、熱中することもある。けど、それ自体に全く学びがないかというと、そんなことはない。生活のすべての面には学ぶことがある。何から、何をどう学ぶのか。その全てを、子どもたちの力を信じ、委ねているだけです」

スタッフ阪上さんとのやりとりの中で、子どもたちがさまざまなことにトライする活動はもちろんですが、「自由」の良い面・悪い面の両方を感じつつ、何を学ぶかを日々考えて過ごしている時間そのものに大きな価値があるように感じました。

見学・体験入学に興味のある方は……

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西宮サドベリースクールの外観。
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大きなグラウンドや調理室、ホールなども近くにあり、他の教育関連施設にもすぐに行けるアクセスの良さは都会ならでは。興味のある方は、ぜひ一度見学に行ってみてください。

見学・体験・入学についての問い合わせは、webサイトからのメールや電話で受け付けています。

学校概要

【学校名】西宮サドベリースクール
【創立】2000年
【理念】子どもを100%信頼する
【対象】 4〜19歳(自分の行動に責任を持てる人)
【生徒数】29名(2017年6月現在)
【スタッフ】2名(毎年子どもたちが決定。ほかにスクールサポーターも在籍)
【開校時間】午前10:00〜午後4:00
【所在地】 兵庫県西宮市広田町2−15
【アクセス】 阪急神戸線・今津線西宮北口駅から徒歩15分 、JR東海道本線西宮駅から徒歩20分
【連絡先】 TEL/FAX 0798-70-0777

ホーム - 西宮サドベリースクール -街中の小さなサドベリー・バレー・スクール-

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この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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LOA

WRITER

山葵菜コウ 山葵菜コウ  関西在住の1男1女年子の母。教育や学び、子育てにアンテナがぴーん!大学は初等教育・教育学を専攻。身につけた知識や思想を子育てに活かせるように日々奮闘しています。