2018年11月8日 公開

意外な出逢いも楽しいおすすめ新刊絵本4選(2018年7~9月発刊)

ママ絵本作家のほんえすんです。今回は2018年7~9月に発刊された新刊絵本の中から、「こんな絵本が!?」という驚きいっぱいの絵本を4冊選びました。どれも子育てをもっと楽しく、もっと面白くしてくれるおすすめの絵本です。連載『絵本はお友だち』Vol.06です。

2018年7~9月に発刊の絵本からピックアップ!

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本屋さんに行くと本当にたくさんの絵本が並んでいて、何を買ったらいいのか迷ってしまいますよね。そんな中、自分が子どもの頃にも読んでもらったロングセラー絵本は親しみがあって、つい手が伸びてしまうのではないでしょうか。

もちろん、何十年もの間世代を超えて愛されているロングセラー絵本はどれも素晴らしいものばかりですが、魅力ある絵本はそれだけではありません!

「今」の感性から生まれた新刊絵本にも、ステキな作品がたくさんあります。

今回は2018年7~9月に発刊された新刊絵本の中から、ママパパに特におすすめの4冊をピックアップしてご紹介します。

好きなもの×好きなもの=大興奮!

虫にんじゃ

虫にんじゃ | 大塚 健太, マスリラ |本 | 通販 | Amazon (116691)

タイトル:虫にんじゃ
著者:大塚健太(作)、マスリラ(絵)
出版社:パイ インターナショナル
最初にご紹介するこの絵本の主人公は、子どもが大好きな「ダンゴムシ」と「忍者」を掛け合わせた「ダンゴムシの忍者」なのです!

子どもって、どうしてあんなにダンゴムシが好きなんでしょうか。公園や散歩の途中で見つけたときには、もうそこで時間が止まることが確定し、「そんなにも!?」というくらい魅了されていますよね。

そして、私の独自の調査では「子どもの将来の夢に一度は登場する確率ナンバーワン」ではないかと思うくらい、子どもたちにとって憧れの存在である「忍者」。

「好きなもの」と「好きなもの」が組み合わさったこの絵本に、子どもたちはきっと大興奮することでしょう!

それにしても、「ダンゴムシの忍者」という発想は、どこからやってきたのでしょうか。作者の大塚健太さんのお話では、「頼りない忍者にしたかった」とのこと。「ダンゴムシは、得意技が『丸まることだけ』っていうのが面白いなと思ったんです」と話しています。

絵本では、「丸まる」ことしか得意技がないダンゴムシ忍者が、仲間を助けるために他の「虫にんじゃ」のもとで「必殺技」を修業し、さまざまな技を身につけていきます。たとえばナナフシやアメンボ、クモなどの虫が登場するのですが、それぞれの特徴を見ると「確かにこれって忍術っぽい!」と納得。
そしてダンゴムシ忍者は修業を通していろんな忍術を身につけていくのですが、オチがまた素晴らしいのです。

私は、ライターとして育児雑誌の仕事で専門家の先生に取材をしているのですが、取材の中で「今の子どもたちは、親から「完ぺき」を求められている。それによって息苦しい思いをしている子が多い」という話をよく聞きます。

この絵本は、一生懸命やってきたことが上手にできなくても失敗してしまっても大丈夫なんだ、と思えてくる、そんなストーリーです。息苦しい思いをしている子がもしいるなら、この絵本を読むことですっと心が軽くなるのでは、と感じました。
大塚さんも、「『めでたしめでたし』じゃない絵本があってもいいんじゃないかなと思っています」とのこと。とことん楽しくて深さも持ち合わせているこの絵本。今期一番のおすすめです!

発行日:2018年8月
縦25×横22.1cm/32ページ

まさかまさか、「魚の切り身」が絵本に

きりみ

きりみ | 長嶋祐成 |本 | 通販 | Amazon (116700)

タイトル:きりみ
著者:長嶋 祐成
出版社:河出書房新社
親としては、肉もいいけど魚も食べてほしいですよね。でも、「うちの子は魚が苦手で……」という方も多いのではないでしょうか。

わが家の上の子も例にもれず魚が苦手です。理由はよくありがちな「骨があるから」。

苦手を克服するためには、まずは知ること!
そんなときはやっぱり絵本です。

この絵本は、「身近な魚料理」→「その魚が捌かれた姿」→「もとの魚の姿」という順番で、サケやマグロ、ウナギなど、さまざまな魚を紹介しています。
料理から材料の魚へという逆転の流れも面白いのですが、なんといってもとても美しくてリアルな絵が魅力。もとの魚の姿はもちろんのこと、捌かれた姿も、そして料理になっている姿も、つやつやしていて思わず見惚れてしまうほどです。これはきっと、作者の「魚への愛」がなせる業なのでしょう。

この絵本の作者である長嶋祐成さんは、魚しか描かない画家である「魚譜画家」。幼少期から魚をはじめとする生き物の魅力にひかれて、コミュニケーション・プランニングのプロデューサーなどの仕事を経て画家を本業として石垣島に移住されました。

出身校は京都大学という異色の画家で、なんと一度も専門的に絵を学んでいないそうです。それでこの絵が描けるのだから、まさに愛のなせる業……。
(ちなみに魚についても専門的に学んでいないとのこと!)

長嶋さんは、ご自身のwebサイトの中でこのように書いています。
食用魚でも観賞魚でも、
あるいは人の暮らしに直接かかわりのない魚でも、
かれらの美しさや愛らしさ、格好良さ、気高さを、
絵という形にして表現してゆくこと。

そうしてもしも、絵に触れることで
ほんの少しでも魚というものを見る目が変われば、
スーパーの鮮魚コーナーを覗くのが楽しみになったり、
水族館が癒しだけでなく好奇心を満たしてくれる空間になったり、
電車の窓から見える波打ち際を泳ぐ魚の姿を想像するようになったり、

日々の暮らしの中に、小さくとも新たな豊かさを得る
きっかけになると信じています。
子どもは誰でも、「もっと知りたい!」という知的好奇心を持っています。この絵本は、長嶋さんの愛ある美しい魚の絵を通して子どもたちの知的好奇心を刺激しながら、命の美しさと美味しさを教えてくれます。

それぞれの魚について細かいところまで描きこまれているので、絵の隅々まで親子で一緒にお楽しみくださいね!

発行日:2018年7月
縦26.7×23.2cm/32ページ

こんなにも長ーいしかけ絵本があったでしょうか?

なが~くのびる しかけえほん とんでった

なが~くのびる しかけえほん とんでった | たかい よしかず |本 | 通販 | Amazon (116711)

タイトル:なが~くのびる しかけえほん とんでった
著者:たかい よしかず(作・絵)
出版社:株式会社KADOKAWA
新刊絵本のいいところは、「新しいアイデアに出逢える」ことです。

絵本作家さんにお会いすると、「いい絵本のアイデアは、ロングセラー絵本で出尽くしている。これから出版して支持を得るには、今までにない新しいアイデアを考えなくてはならず、それがどれだけ大変か」というお話をよく聞きます。

確かに、「ホットケーキの絵本」といえば「しろくまちゃんのほっとけーき」(わかやま けん著・こぐま社刊)。赤ちゃん向けのしかけ絵本といえば「いないいないばああそび」(きむらゆういち著・偕成社刊)。同じ分野でロングセラーの大定番絵本を超えるのはとても難しいものです。そのため、今の絵本作家さんたちは、「今までにない絵本」を考えます。

3冊目に紹介する本作は、「新しいしかけ絵本のアイデア」が詰まった絵本です。

どんなしかけかというと、2段階に長く伸びるのです!
パタ、パタ、パタと開いていくと……な、長い!
この変化は、子どもたちの心をすぐに掴んでくれることでしょう。

さらに、絵本の中に出てくるキャラクターも魅力的。タイトルの通り「とんでった」をテーマに「小鳥が飛んでいく」「風船が飛んでいく」など6つの場面で構成されており、動物や乗り物、宇宙人やおばけ(!)など、子どもが好きなものばかり登場します。

また、「絵探し」も楽しめるようになっているので、それぞれの見開きで「何匹あるか数えてみようっか!」「この中でどれが一番好き?」など、親子のコミュニケーションを楽しみながら読むことができますよ。

発行日:2018年9月
縦15×横15cm/20ページ

みんな大好き「顔はめパネル」が絵本に!

かおはめえほん たすけてー!

かおはめえほん たすけてー! | 岡本 よしろう |本 | 通販 | Amazon (116729)

タイトル:かおはめえほん たすけてー!
著者:岡本よしろう(作)
出版社:あかね書房
子どもが無条件で大好きなものの一つに「顔はめパネル」があります。観光地や商店街などで「顔はめパネル」を見つけようものなら一目散でそこに行き、顔をはめて「撮って!」とアピール。

うちの子たちは、見つけたら100%やります。一度もやらなかったことはありません。もう一度言いますが、100%、顔をはめるのです(笑)
photo by author (116720)

顔はめパネルを見つけたら100%やります。1人でも、2人でも。
via photo by author
そんな、子どもたちを夢中にする「顔はめパネル」の存在に世間が気づいてきているのか、ここ数年で「顔はめ絵本」というジャンルが誕生しています。

4冊目に紹介するこちらは、「顔はめ絵本」に物語の要素が加わった、親子で遊べる絵本です。ワニに食べられそうになっているサル、桃太郎軍団に追いつめられる鬼、猛獣に囲まれる飼育員など、「たすけて!」と叫ばずにいられない11種のシーンを、顔をはめて楽しめる(笑)ようになっています。

親も子も、顔をはめて思い切り大きな声で「たすけてー!」と叫んで遊びましょう!

これ、ただ遊ぶだけでなく、「いざというとき」に助けを呼ぶときの練習にもなるのでは、とも思いました。遊びながら子どもを守る。絵本はそんなことまでしてくれる強い味方です!

最後に

こうやって見てると、今期の4冊は「こんなものが絵本に!?」というラインナップになりました。そんな「意外な」出逢いを楽しめるのも、新刊絵本ならではの魅力です。ぜひ、手にとってお楽しみください!
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

ほんえすん ほんえすん  1977年大阪府堺市生まれ。ライター/編集者。一女一男2児の母。ママ絵本作家。 出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。絵本の編集や絵本作家のアシスタントを通じて、絵本の世界の扉を開ける。2018年3月、ママ目線でつくったはじめての絵本「すき! I like it!」(教育画劇)を出版。