2018年02月12日 公開

ニキーチンの積み木を手作り!模様づくりとカードの作り方

ニキーチンの積み木は幼児教室でも人気の教材。販売もされていますが、実は提唱者ニキーチンは、積み木を含む用具の手作りを推奨しています。そこで100均で買える材料で、1歳からはじめられる「模様作り」と「模様作りパターンカード」を実際に作ってみました!作り方の手順を、コツやポイントを交えてご紹介します。

ニキーチンの積み木は幼児教室でも人気の教材。販売もされていますが、実は提唱者ニキーチンは、積み木を含む用具の手作りを推奨しています。そこで100均で買える材料で、1歳からはじめられる「模様作り」と「模様作りパターンカード」を実際に作ってみました!作り方の手順を、コツやポイントを交えてご紹介します。

ニキーチンの積み木とは

子どもに何通りもの遊び方を創造させる「ニキーチンの積み木」とその「知育遊び」は知育に大変効果的なものとして、長年多くの人々に愛されています。

親子で一緒に楽しく遊びながら、空間認識能力や問題解決力を養えるとして、「模様づくり」「ユニキューブ」「レンガ積み」「みんなの積み木」などのシリーズが幼児教室などでも薦められています。

発案者のボリス・パーブロヴィチ・ニキーチン(1916-1999)はロシアの教育学者。遊びを通じて、創造力を身につけることを目的とし、レーナ夫人と7人の子どもたちと一緒に、多数の遊び方や用具を考案しています。

親の親世代から愛され続けているニキーチンの積み木

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筆者の母が手作りしたニキーチンの積み木「ユニキューブ」
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ニキーチン夫妻が7人の子どもたちと一緒に編み出した遊び方や知育効果、積み木などの教材について書かれた複数の著作をまとめ、日本向けに捕捉も加えた「ニキーチンの知育遊び」が暮しの手帖社から出版されたのは1985年のこと。

本は、「知力ののびを助ける親の役割」からはじまり、「創造力とは何か」「最適の時期をのがさずにどのようにして子どもの才能をのばすか」などから、考案した10種類の知育遊びの種類と用具の作り方、遊び方も丁寧に解説しています。

たちまち日本でも話題となったその本を筆者の母が買い、感銘を受けたそうです。そして、筆者の弟の3歳の誕生日に「模様づくり」と「ユニキューブ」の積み木を手作りしてプレゼント。近所の日曜大工店で木を切ってもらい、夜な夜な着色したとか。当時9歳だった筆者も一緒によく遊んだものです。

その頃は、このような知育玩具の種類は豊富に市販されてはいず、作るしかなかったという事情もありますが、親が手作りしたおもちゃにはなんだか特別の愛着がわいたような気もします。

さて、ユニキューブは、それから約30年が経過しても問題なく使えていますが、「模様づくり」の積み木はかなり汚れてしまい、処分してしまったとのこと。

わが家の3歳の娘には、ユニキューブはまだ難しい様子です。そこで、ニキーチンの積み木の入門編ともいえる「模様づくり」用の積み木とカードを手作りすることにしました。

材料と用具

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<必要なもの>
・立方体の積み木(3×3cm)……16個
・絵の具(アクリル、水彩、水彩エナメルなど)……黄、赤、青、白の4色
・筆(平筆と細筆)
・紙やすり(本では180番推奨)
・ニス(透明マニキュア、クリアスプレーなどでも代用可)
・「ニキーチンの知育遊び」の本

<あると便利なもの>
・マスキングテープ
・新聞紙(下に敷くため。ビニールシートなどでも)
・ウエットシート
・筆洗い用の容器とボロ布など

立方体の木材は8個入りが108円でダイソーで買えてお得です。ただし、角が欠けているなど状態の悪いものもあるので一つは余分に買っておくと良いでしょう。ホームセンターで切ってもらったり、専用角材をWebで買うことも可能です。

また、「ニキーチンの知育遊び」の本には、作り方だけでなく、遊び方や意図、注意点などが詳しく書かれていますので、作る前に読んで理解しておきましょう。

積み木の作り方とポイント

1:紙やすりで整える

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100均の木材は断面がかなり荒いので紙やすりで滑らかにしました。

ポイントは
・角は丸くしない(色分けしにくくなり、また並べた時に美しくない)
・削り過ぎない(3×3cmの大きさより小さくしない)

最初は100番の紙やすりで粗をとり、240番で仕上げました。細く切って指に巻きつけるようにして少しずつこすると良いです。

隙間が気になる場合は、補修用のパテ、木工用ボンドを塗って乾かし、滑らかにしてから紙やすりで仕上げましょう。

最後にウエットシートなどで木屑をよく拭って乾かします。乾いた布などでこすっても良いでしょう。

2:着色する

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最初に、見本を作っておくと便利です。こちらでは、角が欠けた木材にクレヨンでざっくり色を塗って色見本作りました。側面は正面から時計回りに白、赤、黄色、青に塗りつぶし、上面は青と黄色、下は白と赤で斜めに半々に塗り分けます。

キレイに仕上げるポイントは
・白→黄→青→赤の順に塗る(薄い色から)
・一番キレイな面に白を塗る(粗が目立つので)
・マスキングテープを貼る(できれば専用のもの)
・絵の具は水分少なめにする
・乾かしながら2、3回重ね塗りする

しっかり塗りつぶさなくても木肌が見えても良いとは思います。色も多少好みの色にアレンジしても良いですが、見本とあまり違うものにはならないほうが良いです。

こちらでは、家にあったターナーのアクリル絵の具を使いましたが、100円ショップで手に入る水彩絵の具やアクリル絵の具などを使っても問題ないでしょう。

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最後に、はみ出た箇所を丁寧に修正します。2、3色目を塗る時にはみ出た分はすぐに拭くと取れる場合もあります。
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3:保護する

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耐水性のクリアラッカー、透明マニキュア、ニスなどで全体を保護します。乾かしている間にゴミが付着しないように気を付けましょう。

使った塗料によっては省いても良い手順ですが、コーティングしておけば、長持ちして汚れてもさっと拭けばキレイになるのでオススメです。

専用の箱を用意する

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125×125×30mm程度の蓋つきの箱が必要です。保管だけでなく、本に載っている4×4個の問題のCシリーズをやる時に役に立ちます。

お菓子など贈答品の空き箱で手頃なサイズのものがあれば良いですが、無ければ厚紙などで作ることが推奨されています。本には詳しい作り方と手順が掲載されています。

「模様づくりパターンカード」を作る

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「模様づくりパターンカード」とは、模様づくりの積み木を使って作る図柄が記された見本のような学習カードです。どんどん難易度が上がっていく課題のようなもので、まずはこれを模倣して図柄を作ることが推奨されています。
模様づくりカードは市販もされていますが、手作りもオススメです。

シリーズA、B、Cまでは実物大に作っても、一つの模様がちょうどA5サイズ内に収まります。A4サイズの上下に問題図を作成したら、半分に折ってA5サイズのクリアファイルに入れて管理し、問題を解くときは、その分を出してA5サイズのクリアホルダーに移し替えるのがオススメです。シリーズごとにクリアファイルも色分けしておくと便利です。シリーズDとEはA4サイズにするか、縮小しても良いでしょう。

<手描きする>
・5mm幅の方眼紙を使うのがオススメです。定規を使って枠線をサインペンで引き、色鉛筆などで色を塗ります。

年齢によっては、子どもと一緒に色を塗るのも良いかもしれません。いずれにしても5mm幅の方眼紙は子どもが積み木を見て模様を図に書き取るステップにも使用できるので用意しておくと良いです。A4サイズを二つ折りにして使うと使いやすいです。

3cm角の枠線を黒で書いたものをコピーして使うのも便利でしょう。

<パソコンで作図する>
・WordやExcel、PowerPointなどでも作図できます。筆者はApple OS付属のPagesを使用しました。正方形と三角形の組み合わせだけなのでパターンを最初に整えてテンプレートを作っておくと楽です。A4上下に問題図を順番に作って印刷します。

他に、実際に作ってみて上から写真を撮り、アルバムに貼る、ハガキサイズに調整して厚紙に印刷する、ラミネート加工するなど色々考えて試行錯誤しましたが、この方法がキレイで管理もしやすく、遊びやすかったです。

「模様作り」の遊び方

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最初に子どもの興味の引き出し方も重要

まず最初が肝心です。積み木は決して乱暴にせず、丁寧に扱うこと。

2歳前なら、積み木を揃えたり、道路や汽車を作って見せて興味をひきます。それからまず赤い面だけを揃えて箱にキレイに入れることからはじめるなどすると良いそうです。

2〜4歳なら、まず大人がシリーズBかシリーズEから綺麗なパターンを選んで前もって箱の中に作っておきます。そして、箱を一緒に開けて見せると効果的です。たちまち興味を引いて、自分からやってみたくてたまらなくなることでしょう。

教えないこと、叱らないこと

「ニキーチンの知育遊び」の本の中には知育遊びをする際の過程とコツ、進め方、問題が起きた時のさまざまな対処法が数ページに渡って丁寧に書いてあります。まずは熟読してからはじめると良いですが、大きなポイントは、決して先回りして教えないこと、世話焼きしたりしてコントロールしようとしないことです。

子どものやる気を尊重し、自主的にやるのを見守って、条件だけを整えるのが肝心だからです。大人は、子どもが自分で考えるのを妨げず、子どもが自分でできることを代わりにしないように注意する必要があります。

パターンカードの使い方

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実物大のパターンカードなら「見て作る」ほかに「上に乗せてみる」方法が使えます。
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本に記載されている、模様作りはシリーズAからEまで、全部で100以上の図柄(模様)があります。

一番簡単なものは、1歳半から2歳くらいでもできるそう。6面全て違う色で塗られていますが、必要な色を区別して選び、並べられればできます。

次第に問題の難易度が上がっていくので、順番に新しい問題を見せますが、1色だけから2色の面も使う模様に移るときなどは急に難しくなるので、助走期間を長くとるなど工夫する必要があります。すでにできた問題をまずやってから少しずつ取り組み、時には1、2カ月遊びのことを忘れて新しい力を蓄えるのを待つなども重要です。

さまざまなステップを楽しもう

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窓に見立て模様を作り、そのまま積み木を箱ごと立てて上にさらに煙突に見立てて他の積み木を重ね、「おうち」としていました。
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◆競争する
複数の人数、積み木が数セットあれば、模様づくりの早さを競う競争遊びもできます。

◆模様を書きとる
問題と同じ模様を作る遊びを続けたら、次は、積み木を見て模様を紙に書きとります。図を描く能力が伸びます。直線の引き方、定規の使い方も学べます。専用のノートを作り、そこに記録していくのも良いでしょう。

◆模様を自分で考える
自分でオリジナルの模様を考える創造的な遊びです。何かに見立てて名前をつけても良いですね。子どもの名前をつけたオリジナルパターンカード集を作るのも喜ぶでしょう。作ったパターンは、書きとるなどして記録すると良いですね。

最後に

三原色と白、正方形と直角三角形だけで実に多くの組み合わせができるこの積み木。ニキーチン夫妻によると、分析力と総合力が特に伸びるそうです。さらに、周りの環境に対する注意力・見る力・構成力・分類する力なども身につきます。

積み木作りは、なるべく簡単に作る方法を模索しましたが、結局かなりの時間を必要とし、毎日少しずつ1週間かけて作りました。手作りは、安くすむというメリットの他に、その玩具の適性をよく理解し、親の方にも愛着がわくという利点があります。また、娘も筆者が作っている途中から、早くそれで遊びたいとせがんで、興味津々。実際に渡した時には大喜びしていました。一緒に遊ぶために親の分も作っても良かったなと思っています。

ぜひ挑戦してみてくださいね。

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この記事のライター

志田実恵
志田実恵

エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。