2016年8月29日 公開

現地リポート!日本と似ているようで違うフランスの保育事情

先進国の中でも高い出生率を維持しているフランス。出産後も仕事を続けるママが大多数ですが、都心部では日本同様、保育園に入るのが困難なのも事実。では、どうやってフランス人ママたちは育児と仕事を両立しているのでしょうか?そんなママたちをサポートするシステムを現地からお届けします!

社交性を養うのは0歳から!

フランスでは一般的に0歳から3歳まで、保育園(クレッシュ)に子どもを預けます。
そして3歳から5歳まで保育学校(エコール・マテルネル)、日本での幼稚園に入ります(場合によっては2歳から入校可能)。このシステムは日本と似ていますよね。

違いは、保育学校がお遊びの場というより、学ぶ場という要素が強い点です。
保育学校は、義務教育である小学校へ入る準備機関として位置付けられているのです。
そのため、保育料は無料。

保育園はというと、保育学校に入る前の早い時期から社交性を養う場として重視されています。またフランス人は子どもが産まれても、自分の時間を大切にするので、主婦・主夫であっても0歳から何らかの保育システムを利用することが多いようです。

いろいろな種類の保育園(クレッシュ)

フランスでもパリなど都心部で保育園に入るのは大難関。
日本同様、どうやって保育園を見つけるかは、ママたちの悩みの種です。
パリ市では保育園への申し込みは、妊娠6ケ月の時点で行うことを勧めています。

保活で最初にコンタクトをとるのが、保育園(クレッシュ・コレクティブ)。
日本の認可保育園に最も近いのがここ。私立もありますが、ほとんどは公立で、市町村によって運営されています。

保育園はCAF(家族手当基金)という公的機関から助成金を受けています。保育料は、ご家庭の合計収入、子どもの数に合わせて計算されます。また、所得税からの控除も受けられます。

世帯収入の手取りが4811,83€(約54万3,700円)以下の場合はその金額により計算され、それ以上の場合は一律になります。

例)
子ども1人、世帯収入の手取りが3,000€(約33万9,000円)の場合、月額約350€(3万9,550円)を保育園に支払います。所得税からの控除を受けると、最終的な支出は月額約254€(2万8,702円)になります。
子ども1人、世帯収入の手取りが4811,83€(約54万3,700円)以上の場合は一律、約534€(6万円)を保育園に支払います。所得税からの控除を受けると、最終的な支出は月額約458€(5万1,754円)になります。

いずれの場合も、保育園での食費、おむつ、その他は全て保育園負担です。
また保育料の計算はフランス国内どこでも同じです。

公立保育園の不足を補う形で最近増えているのが、ミクロ保育園(ミクロ・クレッシュ)。
公立だけでなく、民間企業、もしくは非営利団体などによって管理されています。一般的な公立保育園が30人から60人の子どもを預かるのに対して、ミクロ保育園はその名の通り、最大10人の子どもしか預かりません。

ミクロ保育園の中には、バイリンガル保育園や、モンテッソーリ保育園、オーガニック素材のみを使ったエコロジー保育園などオリジナルなコンセプトを掲げているものあります。

ミクロ保育園を利用する場合、保育料は全額保育園に支払いますが、家族手当基金に「保育方法自由選択補足手当」というものを申請できます。最終的な支出は、クレッシュ・コレクティブとほぼ同額のものから、かなりの差があるものまで、ミクロ保育園によって違います。

他にも、親参加型保育園(クレッシュ・パランタル)という面白い制度も。
近所の乳幼児を持つ親が一定数以上集まると、市町村から助成金を受けられるので、保育士を雇って共同で保育園を作ってしまおう!というもの。
親たちが交代で運営するので、育休でハーフタイムを選んだ場合や、仕事をしていない場合に使えるシステムですね。子どもとより多くの時間を過ごせるだけでなく、保育園への貢献度で保育料を抑えることもできます。

例)
子ども1人、世帯収入の手取りが3,000€(約33万9,000円)の場合、月額約292€(3万2,996円)を保育園に支払います。所得税からの控除を受けると、最終的な支出は月額約188€(2万1,244円)になります。

さすがフランス!ディオールの保育園?

大企業に勤めていると、企業内保育園という選択肢もあります。
公立保育園と同様のサービスに加え、預かってもらえる時間はより柔軟です。
ほとんどの場合は職場の近く、もしくは職場内にあるのも便利ですよね。

フランスの主要産業であるラグジュアリー・ブランドでは、女性社員が多いためか、特に保育施設が充実しています。
ディオールの香水部門を担うディオール・パルファムは2014年、オルレアン近郊におしゃれな保育園を設立したことが話題になりました。
民営の保育園ベビルー(Babilou)と提携して作られた「パルファム・ダンファンス(幼い頃の香り)」。ネーミングもディオールの香水の名前のようでとっても素敵。子どもが通うことはなくても、ぜひのぞいてみたいですよね!

保育サービスの7割を担う保育ママ

保育園が見つからなかった場合の最終手段として利用されているのが、保育ママ(アシスタント・マテルネル)。実はフランスの保育需要の7割が保育ママに依存しているという調査結果も!

保育ママは自宅で4人まで子どもを預かることができます。
パリの公園ではアフリカ系の女性が数人の子どもを遊ばせているのをよく見かけます。
彼女たちこそ、保育ママ。60-120時間の講習を受ければ認可がもらえるので、移民の女性などに人気の職業なのです。

保育園は一般的に午前7時半から午後6時半まで子どもを預かります。
でも午後6時半までに仕事を終わらせるのは難しいですよね。
保育ママは最大1日10時間まで子どもを預かることができるのも人気の理由。
保育ママを利用した場合も、「保育方法自由選択補足手当」がもらえ、所得税控除もあります。

例)
子ども1人、世帯収入の手取りが3,000€(約33万9,000円)の場合、月額約608€(6万8,704円)を保育ママに直接支払います。その後、「保育方法自由選択補足手当」として約291€(3万2,883円)給付金を受け取ります。所得税からの控除を受けると、最終的な支出は月額約220€(2万4,862円)になります。ただし、保育ママは自分で時給を決めることができるので、都心部ではこの金額以上支払うことがほとんどです。

また、保育園と保育ママの中間的存在である、家庭保育園(クレッシュ・ファミリアル)も人気があります。普段は保育ママの自宅で子どもを預かり、保育ママたちは週に2回ほど所属の保育園に集まります。子どもたちを交流させられるだけでなく、保育ママ同士の情報交換にも役立つというわけです。この場合、保育ママたちは保育園に雇用されていて、管理は全て保育園の管轄にあります。支払いも一般的な保育園同様、保育園に直接行い、所得税控除も受けられます。

誰でも子どもが3歳になるまで育休がとれる!

フランスでは1年以上勤務した人が出産したりや養子を受け入れたりすると、子どもが3歳になるまで短時間勤務か完全育休を選べるという制度が労働法で定められています。
短時間勤務であってもお給料以外の福利厚生は正社員と同じ扱いが受けられます。

育休中や仕事をしていないママ・パパでも一時託児所(アルト・ギャルドリー)などを利用して自分の時間を確保することが奨励されています。

フランスの幼稚園、小学校は水曜日がお休みです。子どもが3歳を過ぎても、ママたちは8割勤務を選ぶことができるので、水曜日は子どもと過ごしたり、お稽古に連れて行ったりするのが一般的です。

やっぱり日本と違う!フランスの子育て事情

フランスの子育て事情は、日本と似ているようで違います。

ここで紹介した保育料支援のほかにも、3歳までの子どもがいるご家庭には毎月、基本手当約184,62€(2万862円)が支払われます。

特に、フランスでは収入が少なくても子育てができるようなシステムが確立しています。
例えば、シングルマザーで世帯収入が少なく、子どもが3人いる場合。
保育料を抑えられるばかりか、家族手当(子どもが2人以上いるご家庭に支給)、片親手当、住宅手当、引っ越し手当、定年の前倒しなど他にもさまざまな社会保障が受けられます。収入の少なさを理由に出産を思いとどまる人がいないのも納得ですよね。

都市部では日本と同じく厳しい保活事情ですが、いろいろなタイプの保育園や保育ママたち、幅広い給付金のお陰で、ママが仕事と子育てを両立できる環境を実現していると言えるでしょう。
(本記事では1€=113円で計算しています。)
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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kaori kaori  在仏9年目、パリ在住。慶応義塾大学文学部卒業、フランスの大学院で日本語教育学を学びました。現在、フランスのラグジュアリー・ブランドに勤務しつつ、日本語学校を運営しています。現地からフランス流の子育て情報をお届けします!