2017年03月10日 公開

母子手帳の男性版!父子手帳の入手方法と使い方

「イクメン」という言葉もすっかり定着してきたとはいえ、まだまだ父親の育児参加率は低いです。子育てにもっと積極的に関われるよう、妊娠や出産、育児などの情報を父親のためにまとめたのが父子手帳です。父子手帳はどうやって入手するか、どんな風に役立つかをご紹介します。

「イクメン」という言葉もすっかり定着してきたとはいえ、まだまだ父親の育児参加率は低いです。子育てにもっと積極的に関われるよう、妊娠や出産、育児などの情報を父親のためにまとめたのが父子手帳です。父子手帳はどうやって入手するか、どんな風に役立つかをご紹介します。

母子手帳のパパ版!父子手帳とは

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takayuki / Shutterstock.com
「父子手帳」とは、その名の通り「母子手帳のパパ版」です。とはいえ、担う役割は母子手帳とはちょっと異なります。

母子手帳は妊婦健診の結果や子どもの乳幼児健診、予防接種など母子の健康を管理したり記録を残すためのものですが、父子手帳は「パパが知っておきたい妊娠・出産・育児」の情報が書かれているものなのです。

発行しているのは各自治体です。都道府県レベルのほか、市町村で発行しているところもあります。名称も「父子手帳」とは限らず、「父子手帖」「父親ハンドブック」などさまざまです。

妊娠すると「母親」になっていかざるを得ない女性と異なり、男性は父親としての自覚が生まれにくい人も少なくありません。知識がないために、妊娠中の妻に心ない言葉を投げかけてしまう……なんてことも。また、知らないがゆえに育児へのハードルを高く感じている人もいるでしょう。

父子手帳は、そうした新米パパたちに向けたマニュアル本として作成されたものです。

父子手帳の内容と使い方

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Olena Yakobchuk / Shutterstock.com
父子手帳は、発行元によって内容や形式が異なります。一般的なものでは、「オムツの替え方」「ミルクの飲ませ方」「お風呂の入れ方」といった赤ちゃん育児の基本事項や、妊娠中の女性がどういう経過を辿っていくのかがわかりやすく書かれています。

妊娠中の女性が感じる辛さやマイナートラブルは、男性にとっては未知の世界です。おなかが大きくなるまでは「ふつうに家事も仕事もできるでしょ?」と思い込んでいる男性もいます。でも、妊娠初期こそ安静にしなければいけない時期ですし、気持ちも不安定になりがちです。妊娠中の女性の様子がわかると、男性としてもサポートしやすくなりますよね。奥様が妊娠中である男性は、積極的に父子手帳を手に取ってみてください。

また、子育て支援センターなど出産後に利用できる公共施設のリストや、緊急時にすぐ知りたい地域の小児科情報も掲載されているものもあります。赤ちゃんと一緒にお出かけの際は、カバンに入れておくと安心できますよ。

そのほか、父親が育児に関わる大切さ、担える役割など、父親も母親と一緒に子どもを育てる当事者であることに触れているものもあります。「やり方がわからないから育児に携われない」「育児はママの方がむいている」と固定概念を持っている父親の助けや意識改革にも役立つことでしょう。

父子手帳の入手方法は

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Halfpoint / Shutterstock.com
自治体が父子手帳を発行している場合、母子手帳とともに配布されるケースが多くなっています。ただ、すでに育児中の方に配布されることはないため、欲しい方は役所に問い合わせをしてみましょう。

子育て支援センターなど、子どもに関わる公共施設で配布されているところもあります。配布窓口・配布場所は各自治体のWEBサイトに記載されていますし、電話でも確認できますよ。

最近では、PDF化されたデータ版をWEBからダウンロードできるものも多いです。仕事が忙しくて役所に取りに行けない場合でも入手しやすくなっています。

父子手帳を発行・配布している自治体は

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KannaA / Shutterstock.com
国が父親を応援するために立ち上げているWEBサイト「イクメンプロジェクト」では、父子手帳を発行している自治体を随時紹介しています。2018年7月現在、発行・配布している自治体は以下の通り。

・宮城県石巻市
・秋田市
・栃木県
・東京都港区
・東京都
・さいたま市
・千葉市
・埼玉県
・岐阜県
・三重県
・大阪府高槻市
・奈良市
・和歌山市
・鳥取市
・鹿児島県
・宮崎県
・大分県

このほか、内閣府は「さんきゅうパパ準備BOOK」をインターネット上で配信しています。こちらは名前の通り、男性の産休取得について、法律や体験談が詳しく書かれているものです。

各自治体が配布している父子手帳の例

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Africa Studio / Shutterstock.com
さまざまな地自体から父子手帳が発行されていますが、その一部をご紹介します。

東京都の例

東京都の父子手帳「父親ハンドブック」は、2016年度版をネット上で公開しており、PDFでダウンロードすることができます。製本版も出版されており、東京都庁の「都民情報ルーム 有償刊行物販売コーナー」にて購入可能です(1冊110円)。

内容は、赤ちゃんの24時間の過ごし方の例や、実際の父親の体験記といったものから、お金にまつわる情報やおむつ替えの方法、離乳食づくりといった育児方法まで盛りだくさんです。

三重県の例

三重県が発行している父子手帳「みえの育児男子HANDBOOK」は、育児本のようなマニュアル的なものではなく、実際の父親から失敗談や悩みを集めたものです。子育てに奮闘する新米パパのリアルボイスに、父親ならず母親もきっと勇気づけられるはずです。

WEB版も大充実。イベント情報やパパコーデなど、父親のお役立ち情報が満載です。

鳥取県の例

子育て支援として「とっとりイクメンプロジェクト」を平成23年度から実施している鳥取県では、父親向けにマンガ冊子「がんばるイクメンのリアルな日常」を制作しています。内容は父親の育児からワークライフバランスまで多岐にわたります。

マンガイラストの表紙は男性も手に取ってみやすいデザインですね。県庁で配布しているほか、ダウンロードも可能です。

フランスでも父子手帳が配布されている

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ilkercelik / Shutterstock.com
日本でも少しずつ周知されはめた父子手帳ですが、海外にも父子手帳があるようです。高い出生率を誇るフランスに目を向けてみると、なんと2002年より配布されているそうですよ。

内容は、父親としての心構えから、父親の権利や義務といったもの、知っておきたい親子に関する法律や公共機関のリストなどなど。このほかに、父親たちの言葉がたくさん掲載されているとか。

子どもができたから「自動的に父親になる」のではなく、父親にも父親になるべき準備期間が必要で、気持ちや知識のサポートが必要です。父子手帳はそのためにも重要な役割を担っているというのは、日本だけでなく海外でも同じなのかもしれませんね。

参考文献:浅野 素女 (2007年)『フランス父親事情』 築地書館

父子手帳が意識改革のカギ!?

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「夫の育児に対する意識が低い……」「家事育児の分担がうまくいかない」とストレスを感じる女性は多くいます。しかし、父親の意識の低さは、そもそも育児の大変さを理解できていない、知らないせいであることがほとんどです。

母親だって育児は手探りで慣れていくもの。父親にだって、その気になれば、自分なりの子育て方法を身につけられるはず。父子手帳には父親が育児を楽しんだり、悩みを解決するきっかけがたくさん詰まっています。

できるだけ早い段階から父親としての自覚を持つことは、その後の夫婦関係にもきっと良い影響を与えます。夫婦で協力して子育てしていくために、父子手帳を有効活用してみてくださいね。

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この記事のライター