2018年11月16日 公開

ローマ字と英語の違いとは?子どもがローマ字を学ぶ時の注意点

現在の公教育では、小3からローマ字の学習がはじまります。一方で、ローマ字を覚えると英語発音を習得しづらくなるという意見もあります。それはなぜでしょうか?ローマ字と英語の違いとは?英語学習との関連から、お子さまがローマ字を学ぶ時に注意すべきポイントを考えます。

なぜ学校ではローマ字を教えるのか?

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小学校の学習指導要領では、小学校3年生からローマ字の学習を行うことが定められています。文部科学省は、小3でローマ字の学習を取り入れている理由を以下のように挙げています。
日常の中でローマ字表記が添えられた案内板やパンフレットを見たり,コンピュータを使う機会が増えたりするなど,ローマ字は児童の生活に身近なものになってきています。また,小学校3年生から,総合的な学習の時間においてコンピュータを用いた調べる学習などを行うなど,キーボードを用いる機会が増えます。
一方、「ローマ字を最初に覚えてしまうと、英語の発音を正しく学べなくなる」「英語の正しい発音の習得のためには、ローマ字を教えることはむしろ有害である」といった意見も少なからずあります。

たとえば、アメリカで勤務経験があり、現在英語の指導を行っている方が書かれたこちらの記事は、筆者も共感する点が多いです。
筆者は、オーストラリア在住5年です。英語環境で生活し、英語発音を学んでいく中で、ローマ字を知ることによるデメリットもその必要性も、どちらも経験してきました。

今回は、「英語とローマ字の違いとは?」「ローマ字を学ぶ時に注意すべきポイントは?」について、考えていきたいと思います。

ローマ字とは?英語とどう違う?

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そもそも、「ローマ字」とは何でしょうか?

ローマ字とは一般的に、アルファベットと同義です。つまり、英語の文字である a, b, c …… のことです。しかしながら、日本で言う「ローマ字」には、もう一つ意味があります。それは、「日本語の発音をローマ字を使って表記する」ことです。日本の学校の「ローマ字学習」は、後者を学ぶことが目的です。

ローマ字の表記法では、日本語の「あ、い、う、え、お」(母音)という音と、アルファベットの ’ a, i, u, e, o’ という表記を一致させます。「かきくけこ」なら、「k + 母音」を組み合わせて ’ka, ki, ku, ke, ko’ と書く、「さしすせそ」なら、「s + 母音」を組み合わせて ’sa, si, su, se, so’ ……と、おおまかにはこのようなルールになっています(「し」は shi という表記もあります。詳しくは、本投稿の最後に紹介しているリンク先をご覧ください)。

日本語は、一つの文字の発音は「母音」または「子音+母音」で表現できます(「ん」など例外もありますが)。そのため、このようなローマ字表記のルールは、日本語の音の特性と合っているのでしょう。

しかし、英語のつづりと発音の関係は、このようにはなっていません。

英語の発音はローマ字とは無関係?

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英語のスペルと発音のルールは、ローマ字のそれとは異なります。それが「フォニックス」と呼ばれるものです。フォニックスでは、たとえば母音を表す『文字』は、a,e,i,o,u の5種類です。しかし、母音の『音』は、20以上あります(正確な数は、音の分類法によって異なります。また、アメリカ英語・イギリス英語・オーストラリア英語、あるいは方言などによっても、数は違ってきます)。

たとえば、a という文字が入っている単語でも、

cat(猫)= /kæt/
father(父)= /ˈfɑːðə(r)/
saw (見た・のこぎり)= /sɔː/
cake(ケーキ)= /keɪk/
machine(機械)= /məˈʃiːn/
rare(まれな)= /rɛː/

と、a の部分の発音は実にさまざまです。それは、前後に来る文字のパターンによって変わります。ローマ字の場合は、a は必ず「あ」の母音に対応しますが、英語発音は違います。

また、英語では、子音の使い方も日本語とは異なります。例として、先に挙げた cake では、つづりの最後の e は発音せず、 /k/ という子音で終わっていますが、これは日本語の文字にはできない「音」です。一方、ローマ字で ke という表記があった場合は、「k + e = け」という日本語の発音を表します。

フォニックスの一つ一つの解説は省略しますが、大切なことは「英語の発音とスペルのルールは、日本語とまったく違う」という点です。

ローマ字の表記と発音の関係性と、英語のつづりと発音の関係性は、異なる言語のルールだととらえることが大切です。

ローマ字が必要な場面とは?

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しかし、日本語を母語とする私たちや、日本語と関わる人であれば、多少なりとも「ローマ字のしくみ」を知っておくことは必要ではないか、と筆者は考えます。

例えば、英語の書類の中で、自分の名前や日本の地名など、固有名詞を書く時には、基本的にローマ字表記をすることになります。海外に郵便物を送ったり、海外通販で購入する際は、日本の住所をローマ字で書く必要もあります。

ローマ字の書き方をまったく知らないと、海外との関わりを持つ場面で困ることもあるでしょう。

また、コンピューターの日本語入力も、ローマ字のルールを使ったアルファベット入力が主流ですので、ローマ字学習はまったく不要、とはいえないのではないでしょうか。

最後に

Back To School Abc · Free image on Pixabay (119184)

ローマ字は、文字がアルファベットであるため、英語学習と混同してしまいがちですが、英語とはまったく別である、と理解することが大切です。

ローマ字と英語、どちらが正解、というわけではなく、ローマ字は日本語、英語は英語、なのです。そのことをしっかりと頭に入れ、英語の発音は「日本語にない音でできている」と意識して英語学習を行えば、ローマ字を覚えてもきちんとした英語発音が学べるでしょう。

お子さまにとって、ローマ字を学びはじめていきなりこのことを理解するのは、難しいかもしれません。が、家庭や学校での日々の学習を通して、繰り返し話題にしていくことで、だんだんとお子さまの理解を深めていけたらよいですね。

ローマ字についてより詳しく知りたい方は、以下のサイトをご覧ください。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

Chieko Chieko  高校生の女の子、小学生の男の子を持つ、二児のママ。2013年より西オーストラリア・パースに家族移住しました。オーストラリアの食・子育て・英語などをテーマに書いているブロガー・フリーライターです。