書籍『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』の著者薄井シンシアさんは、「専業主婦」をキャリアとして捉えて自ら選び、後悔のない17年間を過ごされた後、47歳から再就職し新たな人生をスタート。覚悟を持って取り組んだ専業主婦としての姿勢は、働くママも取り入れられるポイントがいっぱいです!
『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』
著者:薄井シンシア
出版社:株式会社KADOKAWA
フィリピンの華僑の家庭で育った薄井シンシアさん。20歳のときに国費留学生として日本へ渡り、東京外国語大学で学んだ後、貿易会社へ就職。27歳で日本人男性と結婚し日本国籍を取得してからは、ご主人の海外赴任で3年ごとに引越を重ねる人生へ。
そして、娘さんの出産後に「私の仕事はこの子を育て上げることだ」と啓示を受けたように直感し、専業主婦を【キャリア】にするという決意を固め、当時勤めていた会社を退職されています。
そんな覚悟を持って取り組まれた専業主婦生活には、【学ぶポイント】【新しい視点】がたくさんあります!
家事や育児も【キャリア】という捉え方
専業主婦の仕事を【キャリア】にするためにはどのように過ごせばよいのでしょうか。
・会社で仕事をするように一日の家事の手順を決め、期限を意識し、効率化を常に進める
・予算を組んで実行するように、費用対効果を考えながら、家計を回し、時には投資する
・仕事なのでその日の気分でやったりやらなかったりということはせず、規則正しく行う
現在の筆者の家事を振り返ると、とても仕事としては成り立たないレベルです……。
シンシアさんも、実は家事が苦手で嫌いなことだったという点にはびっくり。でも、専業主婦を【キャリア】にすると決めた覚悟もあって、基本から家事を徹底的に学び、できるだけ時間をかけずに、効率をUPさせる方法をあれこれ試して工夫したそうです。この姿勢は見習わなければと感じました。
家事の「ジョブ・ディスクリプション」
「ジョブ・ディスクリプション」の方法は、まずはじめに、小さなことも含めて必要な家事を朝から順に書き出します。次に、客観的に家事習慣を「仕事」として捉えなおす作業をして、仕事量を把握し、手順はこれでよいか、無駄な仕事をやっていないか、手間がかかりすぎていないか、などの家事の非効率なポイントを見つけていきます。
次に、見つけた非効率なポイントを、いかに効率的に行うか、あらゆる工夫を考えて、最も自分に合った合理的な方法を見つけていく作業をしていきます。
家事の効率化・合理化を図るポイント
1つ目は【時間短縮】
手順や手間を工夫する。たとえば、朝食はワンプレート、夜も丼ものを増やすと洗い物が減る、油汚れの皿をシンクに置いてから、その上で汚れの少ないものを洗うとその洗い水が油汚れの皿の予洗いの代わりになるなど、小さいことから無駄を省いた手順をつくる。
2つ目は【動きやすさの確保】
ものの位置を決めて、使ったら元に戻すことを習慣付けてとにかく散らかさない。自分に合った動きやすい導線を見つけて維持することも効率化を助ける。
3つ目は【家事のルーティン化】
家事をできるだけルーティン化し、その都度考えてやるのではなく、考えなくても身体が動けるようにしておく。労力的に無駄のないベストな手順を決めておく。そのため食事も「1カ月の夕食の献立スケジュール」を作成。曜日ごとにメイン食材を割り振って、それをもとに主菜、副菜を決めておき、効率よく買い物・料理を行う。
シンシアさんが家事を合理的に行うことに特にこだわったのは、家事をできる限り手早く済ませ、娘さんと過ごす時間を確保したかったからだという点に深く感銘しました。
・家事を手早く終わらせられれば、残りの時間は余裕をもって子どもと一緒に遊んですごせる。
・合理的な家事が時間や心の余裕を生む、余裕があると不測の事態にも対応できる。
まさに、その通り、ですね!
ママであることがキャリアに活かせるポイント
・買物、料理、洗濯、掃除、家計管理、子どもの着替えや連絡帳の記入、不定期の役所への諸手続き、PTA対応など、こまごまとしたタスクをマルチタスクにこなしている。
・全てのタスクをこなすために、日々の暮らしの中で、常に効率化・合理化を考え、よりよい方法がないかと工夫をして課題解決を進めている。
・家族への気遣いや接し方などのホスピタリティの高さは、仕事の場においても求められる。
いかがでしょうか。日々何気なくこなしている家事や育児でも、このような視点をもって見てみると、ママであることは仕事にプラスになると思いませんか?
シンシアさんは17年間全力で、【キャリア】としての専業主婦をしたことがゆるぎない自信に繋がり、その仕事で培った力は必ず仕事でも通用すると信じて、47歳から就職活動をはじめられたそうです。今では外資系ホテルの第一線でご活躍されています。
ワーク・ライフ・バランスの考え方
一日、一週間、一カ月単位で捉える考え方ではなく、一生をかけてワークとライフのバランスをとるという考え方があってもよいと思う
働くママにとっての30代、40代はどうしても子育て優先となり、思うように働けないもどかしさを感じ、自分が目指すレベルの仕事ができていないことに悩んでしまう方も多いでしょう。仕事も育児も家事もどれも中途半端だと自己嫌悪になってしまう……私もそう悩んでいた一人でした。
でも、このシンシアさんの言葉を聞き、子どもはいつか親から離れる、子育てには終わりがくる、そのときからまた思い切り仕事をして、一生かけてワークとライフのバランスをとるという考え方もあるんだ、と新たな視点をもつことができ、励まされました。
自分にとってのベストな「ワーク・ライフ・バランス」を見つけたいと願っている方に、ぜひおすすめしたい一冊です。