小学校3,4年生のお子さまの”放課後の過ごし方”にお悩みのママパパは多いのではないでしょうか。
中間反抗期、ギャングエイジと呼ばれるこの時期は、友達との結束が固く、親や大人に対して反抗的な態度を取ることがあります。
自立心が高まり、低学年よりも行動範囲も広がります。仲良しの友達と一緒にいろいろな場所に出かけようとするでしょう。
・3年生までは学童で宿題をやっていたが、4年生になってからは親が帰宅するまでダラダラしていて宿題をやっていない。
放課後に宿題&勉強に取り組んで欲しい。
・友達と区域外まで遊びに行ってしまう。お友達の家庭が許してしまっている場合、どうつき合うべきか?
・低学年に比べて外で遊ばなくなってきた。友達と家でゲームをすることが多く、運動不足が心配。
・親が不在時に友達を家に上げてしまう。
この記事では、筆者の実体験を基に「ダラダラしない、有意義に過ごす放課後の過ごし方」をご紹介いたします。
【低学年向け】小学生は放課後どう過ごすの?よくあるお悩みとその解決法
「親<友達になる時期」親が放課後を監督するのは難しい
「親より友達」になってくる小学校中学年以降は、放課後の過ごし方に注意が必要になります。この時期は、友達と一緒にいることで強気になりがち。4,5人以内のグループを作り、仲間の言動や態度に強く影響を受けます。親の言うことよりも、仲間内の常識や流行りに左右されがち。
低学年の頃は、行動範囲や交友関係をある程度、親が監督できていたかもしれません。しかし中学年以降は自立心が育ち、友達とのコミュニケーションに重きを置くようになるので放課後の過ごし方を親がコントロールするのは難しいでしょう。
職場勤務、在宅勤務、専業主婦、主夫・・・親御さんが不在か在宅かに関わらず、放課後の子どもの過ごし方を完全に把握するのは不可能。
子どもと話し合いながら遊びと勉強、習い事をバランスよく取り入れた放課後時間を目指しましょう。
友達と遊ぶ時間は子どもの成長に不可欠!
学力格差が生まれ始めるこの時期、放課後に勉強する時間もとりたいところです。だからと言って、塾・習い事・家庭学習のスケジュールを詰め込み、友達との時間を減らし過ぎるのはNG。
共感性、コミュニケーション能力を育てるには友達づきあいが必要不可欠です。友達と遊ぶことは運動能力、学力の向上にも有効。
楽しく自由に遊ぶことで、脳内で神経伝達物質アドレナリンが分泌されます。アドレナリンは集中力、学習能力を向上させます。特に体を動かす遊びは学習効果をアップ。
遊んだ後に宿題や勉強に取り組むと、集中力が高く学習効率も良くなります。
どこで遊んでる?小学生の放課後の過ごし方
学研総合研究所による2022年度「小学生の日常生活・学習に関する調査」(調査対象:全国の小学1~6年生の男女100人ずつとその保護者、計1200組)で、「放課後で遊ぶ場所」について集計をとったところ、「自宅」で過ごすという回答が、全学年第1位でした。
全体集計第2位の「公園・運動場」は高学年になるほど、割合が低くなります。特に女子は小学4年生から、「友達の家」で遊ぶ割合が「公園・運動場」を上回りました。
第3位「友達の家」、第4位「習い事」、第5位「学童」、第6位「学校」、第7位「塾・教室」と、大人の監督がある場所で過ごす子が多かったです。
放課後に長時間「暇」な時間を作らない
小学3,4年生ですと、自分から進んで勉強や読書をすることが苦手な子も多いです。親から「○○しなさい。」と言われないと、ゲームばかりしている、外で遊んでばかりいる、という子は珍しくありません。
これはその子が、学習意欲が低いわけでも怠け者なわけでもなく、「自分で計画して行動する」習慣が今までなかっただけです。
小学校低学年までは、親が監督して生活規範や社会のルールを受動的に守っていく時期。自分の意思がはっきりして、自立心が伸びていく中学年以降は自己管理能力を育む良い時期です。
放課後に適度に「やるべきこと」を入れてあげることで、遊びの時間もより楽しく充実したものになります。
習い事、家庭学習、公的または私的な放課後教室、ボランティアなどを放課後に入れることで、ダラダラしている暇がなくなります。
放課後の習い事、何が人気?
学研総合研究所による2022年度「小学生の日常生活・学習に関する調査」によると、もっとも人気のある習い事は水泳でした。第2位は「音楽系の習い事(歌や楽器など)」、第3位は「受験のための塾・学校の補修のための塾」。
水泳は東大生の3人に2人、音楽系の習い後であるピアノは東大生の2人に1人は習っていた「頭の良くなる習い事」の定番ですね。
塾は小学校5年生になると通う子がグンと増えています。
4位以下は英語塾(読み書き中心)・英会話教室、体操教室、習字・書道、そろばん、サッカー・フットサル、ダンス(バレエ以外)と定番の習い事が続きます。
親としては、成績に結びついたり、運動能力が上がったりしそうな、「スペックを高める習い事」を選びたくなりますが、子どもが楽しめるものを選びましょう。学習系、音楽系、運動系、芸術系どれでもOK。放課後が楽しみになるような、夢中になれる習い事こそが脳力と能力向上につながります。また好きなことを続けることで、自己管理能力も育ちます。
中学受験専門塾 伸学会代表 菊池 洋匡氏は著書『小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』の中で以下のように述べて、自由な習い事選びを推奨しています。
子どもは何をやっても、その経験を通じて成長していきます。ですから、これをやらせなければいけないというものはありません。
そして、能力が最大限伸びるのは、子どもが夢中になって何かに取り組んでいるときです。ですから、図鑑を買い与えるときと同じで、親がやらせたいと思ったことを選ぶのではなく、お子さんがやってみて気に入るものを選ぶことが、習い事選びで成功するコツです。
菊池 洋匡『小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』実務教育出版,P234-P235,2020年
親不在でも安心!オンラインの習い事
自宅からの距離、時間帯、持ち物などによって、送迎が必要な習い事もあります。1人で通う場合も、安全面、体力面から考えても、通う時間は30分以内に抑えたいところです。
習いたい習い事が近くにない、保護者が不在がちなど、習い事に通うことに不安があるならオンラインの習い事もおすすめ。
英会話、受験対策塾、学習塾、ピアノ、習字、絵画、イラスト、ロボット教室、プログラミング教室、習字、ダンス、ヨガ・・・学習系、音楽系、芸術系、運動系の習い事を自宅で、少人数またはマンツーマンで受けることができます。比較的リーズナブルな教室が多いのも嬉しいポイント。
先生との距離が近く、質問がしやすいので内気なお子さまでも気軽に受講できるはず。
ただし保護者が不在の場合、通信障害が出た際の対処方法を事前に教えておく必要があります。
※オンライン家庭教師のようなマンツーマン指導の場合、通信障害で受講ができない場合は、振替授業を行えることが多いです。
費用を抑えて体験学習ができる!放課後子ども教室
子供放課後教室とは文部科学省が推進する、地域や学校と協力して行う教育支援です。
文武科学省が定義する趣旨・目的は以下の通り
子供たちが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動ができるよう、地域住民等の参画を得て、 放課後等に全ての児童を対象として、学習や体験・交流活動などを行う事
参考資料:文部科学省『放課後子供教室の概要』
学校の空き教室、公民館などを使用して、さまざまな学習・体験プログラムを実施しています。活動を支えているのは地域ボランティア、大学生、NPOなど。
学習支援、スポーツ活動、芸術や農業等の多種多様な体験学習を、原則実費負担のみで受けることができます。
一般的に17時までに保護者のお迎えが必要となります。延長預かりはできないので、ご注意ください。
【体験談:筆者の娘が小3の頃】有意義な放課後にたどり着くまで
現在、中高一貫校の中学1年生の娘は、小学校3年生の頃は受験はまったく考えておらず、放課後はチャイムがなるまで遊んでいました。
私は在宅勤務がほとんどで、出勤することは月に数回でしたが、それでも娘の行動範囲を把握するのは難しかったです。
遊びに行く前に「どこに、誰と行くか」は教えてくれるのですが、途中で変更があることがほとんどでした。
例えば、家を出発する時に「○○公園(自宅から3分)で、Hちゃんと遊んでくるね。」と言っていても、帰宅後に話を聞くと「Mちゃんが途中から来て、Hちゃんと3人でMちゃん家に行って、Mちゃんママにホットケーキを焼いてもらった。」というようなことになっていたりします。
普段から、「事前に約束していない場合は、お友達の家には上がらない。行く場合は(キッズ携帯を持たせていました。)、私に必ず連絡する。」という約束はしていましたが、盛り上がっていると忘れてしまうようでした。
事後報告で友達と自転車で学区外の公園に行ってしまっていたこともありましたね。
「夏休み前の話し合いが転機」メリハリのある充実した放課後へ
3年生の一学期はとにかく友達が第一優先でした。習い事ぎりぎりまで帰ってこず、遅刻することもありました。注意しても、口ごたえや言い訳で返されて、親子でストレスを感じていました。当然、宿題や勉強は後回し。
このような自己管理ができないままでは、これからの学力が心配だと思いました。
夏休みを前に、娘と話し合い以下のような約束をしました。
・習い事の出発の30分前には帰る。 |
テキストや道具の準備、水分補給、トイレ・・・ 習い事に集中して取り組むための準備をするためです。楽しいことを切り上げて、時間を守ることで自己管理能力が育ちます。 |
・友達と遊んだ後はすぐに宿題&勉強に取り掛かる。 |
先にも述べた通り、運動後は脳が活性化されています。集中力・記憶力が高い状態で勉強できるので学習効率が非常に良かったです。 帰宅後、あまり時間を空けないことがポイント。遊びの疲れが出て来て、眠くなる前に勉強をスタート。 ただし、お子さまの体力、特性によっては帰宅後、休憩した方が良いこともあります。 |
・遊ぶ友達がいない場合は家にいる。1人で遊ばない。 |
これは親が在宅、不在に関わらずです。 私が家にいる場合は、バドミントンやフリスビーなどで一緒に遊んでいました。 |
・学区外に遊びに行かない。 例え友達と気まずくなっても、「家のルール」であることを伝えて流されないように。 |
他校の生徒がいる学区外の公園は子どもにとって新鮮。お友達によって、親公認で学区外で遊ぶ子もいましたが、我が家はNG。同様に近くのショッピングモールも子どもだけで行くことは禁止していました。 そのせいでお友達と別れて1人で帰ってくることもあり、気の毒に思いましたが、「決められたルールを守る」心の強さを育てたかったので、緩和措置はしませんでした。 |
娘と一緒に話し合いながら決めた「放課後ルール」。守れない日もありましたが、ルールがあることで習い事、勉強に取り組みやすくなりました。
近隣の保護者が連携して放課後を見守ろう
中学年の子どもはしっかりしているように見えても、危機管理能力が低い子も多いです。友達と一緒だと気が大きくなり、危険な遊びやルール違反をしてしまうこともあるでしょう。
高いところに上る、学区外まで自転車で遠征、ショッピングモールで遊ぶ・・・「やってはいけないこと」にワクワク感を感じてしまうギャングエイジ。
誰か止める子がいれば良いのですが、仲間の結束が強いため、雰囲気やノリを壊す発言がしづらいこともあります。仲間外れを恐れて、悪いこと、危険なことをしてしまう子もいます。
親の目が届きにくい放課後は、近隣の保護者同士が連携して、子どもを見守り、「危険や違和感(いじめ)」を見かけたら、声がけしてあげたいですね。
返事がなくても挨拶をする、近くを散歩する、など大人の視線があることで、事故や犯罪の抑止にもつながります。