漢字ドリル、計算ドリル、自主学習・・・小学校ではほぼ毎日宿題が出ます。
基礎学力と家庭学習習慣の定着、集中力と忍耐力の向上などの効果がある宿題ですが、「面倒くさい」、「嫌い!」だと感じているお子さまは多いですよね。
特に、宿題の「漢字ドリルと計算ドリル」は、単調、退屈、手が疲れる、などの理由で嫌がられがち。ママパパの中でも「テレビを見ながら嫌々やっていた」、「宿題をためてしまって先生と親から怒られた」などの思い出をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。
保護者が聞き、評価をつける「音読」も宿題の定番です。音読力、語彙力、読解力、表現力などを伸ばす優れた学習法ですが、仕事や家事などで忙しい時は負担に感じることがあるかもしれません。
一定期間、同じ文章を読むことが多いので、「聞くことに飽きてしまう」、「子どもへのコメントが尽きてしまう」、などの親側の悩みを良く聞きます。
とは言え、コツコツ取り組む「小学校の宿題の大切さ」を、大人になった今、実感されているママパパは多いはず。
我が子には自発的に宿題に取り組み、主体的に学ぶ姿勢を身につけて欲しいものですよね。
ただ、授業と遊びで疲れて帰宅した子どもに、スムーズに宿題をやらせるのは至難の業。
「親が言わないと宿題に取り組まない。」
「学習アプリなどは意欲的に取り組むが、学校の宿題になると途端に消極的になる。」
「宿題をした後見直さない。(誤字・計算ミスを放置)」
「宿題をしなくても平気になっている。」
など子どもの宿題について悩みを抱えるママパパは多いと思います。
この記事では「宿題を嫌がる子、宿題に時間がかかる子への対処法」をご紹介いたします。
「宿題でつまずいた時」こそ、親が口うるさく言わなくても、自分から勉強する「自学力」を大きく伸ばすチャンスです。
宿題をする時間を子どもと相談して決めよう
「おやつの後、16:00~」
「夕飯前18:00~」などと
宿題をする時間を決めて、生活リズムの中に宿題を組み込みます。手洗い、歯磨きのようにルーティン化させることで「やらないと気持ち悪い」感覚が生まれます。
時間設定は子どもと相談して決めます。子どもが自分の意思で時間を決めることが重要です。自分で決めた時間だからこそ、守ろうとする気持が芽生えます。
親が勝手に決めてしまうと、他人事に感じてしまい「時間を守る意識」が薄れます。責任感も育ちづらいです。
曜日ごとに違う時間設定なってもOK。
遊び、習い事の予定を見ながら子どもが取り組みやすい時間帯で決めましょう。
就寝時間から逆算した学習スケジュールを
小学生でしたら9時間~10時間の睡眠時間は欲しいですね。低学年は10時間取れるとベスト。
適切な睡眠時間は勉強した内容を長期記憶として定着させます。良く寝る子ほど学習効果が高いと言えるでしょう。
まずは「十分な睡眠時間」を確保した上で、宿題、家庭学習のスケジュールを立てましょう。先に就寝時間を決めて、そこから逆算しながら決めるとスムーズ。
実際にスケジュールをこなしてみて、睡眠時間が短くなる場合は宿題以外の勉強量を減らすことも検討しましょう。
学習意欲を育てるチャンス「親の添削がある宿題」
低学年の時に特に多い、親が”丸つけ”する宿題。漢字、アルファベットの書き取りや計算問題の添削は、ママパパにとっては面倒かもしれません。しかし、「やった宿題(成果)を、すぐに添削(承認、評価)すること」こそ、宿題のモチベーション維持のコツです。
親が子どもの勉強の成果を確認して、評価することで、学習意欲が育ち「能動的に学ぶ姿勢」が身につきます。
正解できたことは、もちろんですが不正解でも「考えた過程」を褒めてあげましょう。何度も書き直した文字やひっ算の跡などを、見つけて頑張りを認めることが大切です。
「褒める&認める」で解決!低学年の宿題の取り組ませ方
小学校3年生くらいまでは、親から褒められる、認められることがあらゆることの原動力となります。ママパパからの褒め言葉が自尊感情を育て、学習意欲も伸ばします。
その反面、褒められないと「やらない子」が多いのも事実。
親からするとやって当たり前の宿題。宿題をやらないことを怒ることはあっても、やったことを褒めることは少ないのではないでしょうか。
親から言われないと宿題をやらない、宿題をやらない低学年の子どもには「親の寄り添い」と「褒める声がけ」が有効です。
数分でも良いので宿題をしている様子を見て、一声かけてあげましょう。「宿題=褒められる時間」と感じることで、自分から取り組めるように変わってくるはずです。
なかなか宿題を始めない時の対処法
親子で約束した時間になっても、宿題をやらない子どもを見ているとイライラしてしまいますよね。
「宿題やりなさい!」
「自分で決めた時間でしょ!」
などと叱りたくなりますが、ここは我慢しましょう。
宿題をする時間であることを伝えて、子どもからの返答があれば静かに待ちます。
10分ほど待って、始める気配がないようであれば
「宿題の時間だから、ママ(パパ)と一緒にやろう!」と誘ってみましょう。勉強する場所に親が座って待機してしまっても良いですね。
決めた時間にどうしてもやりたがらない場合は、「やる気がでたら教えてね、一緒にやろう。」と伝えて子どものやる気に任せてみましょう。
「宿題に時間がかかる子への対処法」
「宿題をするのに時間がかかり過ぎる」というも良く聞くお悩みです。特に低学年ですと、集中力や時間感覚がない子も多いため、時計を見ながら計画的に宿題をすることは難しいです。漢字練習に1時間以上かかってしまうこともあります。また、握力が弱いので、鉛筆で字を書くこと自体に疲れてしまう子も多いです。
宿題の途中で家族にしゃべりかけてしまう、落書きを始めてしまうことで宿題時間が長くなることもあります。
そういった状態の子どもを見ると、ダラダラ怠けているように感じて、叱りたくなりますよね。しかし親が少しの環境サポートを行えば、宿題時間を短くできます。
以下のサポート例を参考に「宿題しやすい環境」を作っていただけたらと思います。
宿題に集中できる環境づくりの例 |
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■宿題をする場所の周りに「気を散らすもの」を置かないようにします。 机に置くのは宿題、筆記用具、その他宿題に必要なものだけ。 |
■文字練習など単調で手が疲れる学習は30分で一区切りします。(低学年は15分でも良い。) 一旦休憩を入れてから、残りに取り組みます。 |
■宿題をしている間は、親もテレビ、スマホなどを見ないようにします。(読書、事務仕事ならOK。) 子どもから質問があれば答えますが、監視したり、途中で口をはさんだりすることは控えましょう。 |
■「〇時までに宿題を終わせて、その後は一緒にゲームしよう。」などと宿題終了目標時間と終了後のお楽しみを知らせます。 目標時間を知らせるだけでも効果的。 |
5分でもOK!親子で一緒に宿題をする
わからない時、手が疲れて心が折れそうな時に、ママパパが側にいることは安心感を与えます。リラックス状態でもあるので、集中して取り組むことができます。
ずっと見ている時間が取れない場合は5分程度でも良いので、宿題をしている子どもに寄り添えると良いですね。
「わからないところは聞いて良いからね。」
「丁寧に書いているね。」
「慌てないで計算すれば大丈夫!」
などの前向きな声がけは、モチベーションを上げる効果大!
漢字ドリル、計算ドリル、アルファベットの練習などは、単調で疲れる宿題です。親が励ます、褒めることで投げ出さずにやり切ることができるはずです。
1,2年生の内は宿題に30分以上かかってしまうことも珍しくありません。
勉強をする気力と体力を養うためにも、時間がかかっても良いので、宿題はやり遂げましょう。
長時間になってしまう場合は休憩をはさむと、子どもの気力が続きます。
宿題ができたら「見て→褒める」
まずは、宿題を全部できたことを褒めます。できれば完成した宿題を見て、良い点を見つけて具体的に褒めましょう。
「漢字のとめとはらいが丁寧だね。(漢字ドリルや書き取り練習など)」
「繰り上げが2回あるのにミスがなくてすごい!(計算ドリル、寺子屋プリントなど)」
「恐竜の進化について表がとてもわかりやすいね。(自主学習)」
のように、気づいた良い点をその場で伝えます。
間違っていたり、字が汚かったりしても、「叱る、けなす」ことは避けましょう。
答えが謝っている時は、正しい考え方を簡潔に伝えて、解き直しを一緒にします。
認めて、褒めることで宿題に対するネガティブな感情を減らします。
自主性を尊重してモチベーションアップ!高学年以上の宿題の取り組ませ方
小学校4年生以上になってくると、自立心も強くなり親への反発心も芽生えてきます。
宿題や勉強について親が口出しするほど、勉強嫌いになりやすい時期でもあります。
頭ごなしに「やりなさい!」と命令するよりも、、「宿題をやることのメリット」を簡潔に伝えて「やった方が得だな。」と感じさせると良いでしょう。
宿題以外の勉強も然り。子どもが憧れている職業、未来像があるようなら「そこに近づく手段や近道としての勉強の意義」を伝えてみましょう。
「親に言われるから、仕方なくやっている宿題(勉強)」から「自分のために取り組む宿題(勉強)」へ意識のシフトチェンジができれば、自ら勉強できるようになります。
宿題をやらない時の対処法
部活動、習い事、友達づきあいに忙しい高学年。宿題、勉強の時間のスケジュール調整は子どもに任せても良いかもしれません。
「やらなくてはいけない」ことはわかっていながら、先延ばししている子も多いので何度も注意するのは逆効果。
軽く声がけする程度で、後は子どもの様子を見守ります。
いつまで待っても取り組まないようであれば、あえてそのまま登校させるのも一つの手です。
「先生、友達の前で気まずい思いをする。」、
「後回しにした分、2日分まとめてやることになった。」など
実際に苦い経験をすることで、宿題をやらないデメリットを体感できます。
あれこれ口出しせずに、助言・アドバイスを少しだけして見守ることが自学力を育てます。
どうしても取り組めない場合は学校に相談
高学年になってくると個人の学習スタイルも確立してきて、「学力の差」が顕著になってきます。宿題に取り組めない、やる気がまったくない子もいます。
「宿題を出さなくても平気。」
「塾や通信教育の課題には意欲的に取り組むのに、宿題はやりたがらない。」
など、宿題に取り組めない状態が続くようであれば、担任の先生または学校相談員(スクールアドバイザー)に相談しても良いでしょう。
先生はさまざまな年齢、性格の子どもと接してきているので、子どもの特性に合わせた「勉強に集中させるテクニック」を持っています。
家での様子を話したうえで、どんな接し方・環境の整え方が良いのか相談します。
親が思いもつかない意外な突破口が見つかるかもしれません。
学校教員(担任)の回答例(小5、男子 勉強時に気が散ってしまう子のケース) |
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勉強する場所(子ども部屋、リビングなど落ち着く場所)を決めて周りに気が散るものを置かないようにします。 「このスペースにいる間は宿題、勉強に集中する」と親子で約束しておきます。 親はスマホ、テレビを見ないで、子どもの隣で本などを読んで、一緒に”集中”します。 「この場所に来たら集中する。」と脳に覚えこませ、”集中する癖”をつけることが大切。 |
親の聞く姿勢で学習効果アップ「音読」の聞き方
音読は先にも述べた学習効果以外にも、脳をリラックス状態にする効果があります。音読をすると、脳内ではストレスを抑制するホルモン「セロトニン」が分泌され、情緒が安定します。
また音読を聞く人がいることで、集中力がさらに高まります。音読の学習効果を高めるコツは「ママパパが子どもの音読を真剣に聞くこと」です。
子どもが音読をしている時は、できれば何もせず聞くことに集中してあげましょう。
聞き終わった後は、「良かった点」を最初に伝えます。改善点はその後で。
音読が苦手な子の場合、長文の音読は途中でくじけてしまうこともあります。
慣れるまでは、1文ずつ(または1段落ずつ)、親子で交互交互に読むのもおすすめです。慣れてきたら読む分量を増やしていきます。
自学力と探求心を育む「自主学習」とは?
学校によって名称は変わりますが「自主学習、自由学習」を宿題として出す小学校は多いかと思います。
これは名前の通り、自分でテーマを考え、それに自由に考察する課題です。
自分で学びたいことを決めノートにまとめることで、自学力、探求心、論理的思考力、文章力、表現力、知的好奇心、表現力など多くの能力を伸ばせます。
「好きなアニメについて」「海の凶暴な生き物について」「鉄棒で逆上がりを成功させるコツ」・・・など子どもが取り上げたいテーマで自由に書かせましょう。
興味のあることについて、集中して考えることで脳が活性化し、学習意欲も大いに高まります。
一見教科学習に関係のないテーマでも、子どもが熱心に調べているようなら、自由にさせます。熱中して掘り下げて考える時間は、地頭力を鍛えるチャンスです
子どもの自学力を摘むNG行動とは?
自ら主体的に学ぶ力「自学力」。宿題や家庭学習に取り組むことで、育まれる能力です。受験、就職試験、昇進試験など人生の岐路となる試験勉強をする際に、必須の能力となります。
家庭学習の重要さを知っているママパパは、宿題をやらない我が子に対して焦り、危機感を感じることでしょう。子どもを思うあまり厳しい注意をしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、親の何気ない一言や行動が子どもの自学力や学習意欲を削いでしまうことも。
以下のような行動・言動は避けた方が良いでしょう。
脅し、交換条件を出す。 | 見下して劣等感を植え付ける。 |
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■宿題が終わるまで、おやつを与えない。 ■宿題をやるまで、外遊びさせない。 ■宿題をやるまで無視する。 | ■「宿題さえできないなんて、○○だ!」などと言う。 ■「こんな問題に30分もかかるなんて!」などと言い、頑張りを認めない。 |
宿題以外の勉強ができない時の対処法
子どもの集中力持続時間は短いです。小学生低学年までなら年齢+1分程度。高学年になっても15分程度です。長く見積もって30分というところでしょうか。
そのため宿題をやり切った時点で、その他の勉強をやる余力がないお子さまも多いです。ただ親としては宿題+αの勉強もして欲しいですよね。
宿題以外に、塾の宿題、通信教育、市販のドリルに取り組ませる場合は、時間を分けて勉強する「コマ切れ学習」がおすすめです。
120分続けて勉強するよりも、30分×4回で勉強した方が、集中力がキープされ学習内容も記憶に残ります。低学年で30分が厳しい場合は、15分区切りでもOK。
子どもを信じて、意欲が育つのを待とう
宿題は親が叱咤してやらせるものではなく、自分のために取り組むものです。しかし小学生で目的意識を持ち、進んで宿題をやる子は少ないかもしれませんね。
嫌がる子に、日々宿題をさせることは親にとっても苦行です。親子のストレスを減らすには、感情的にならないことです。
宿題を始めるまで、しつこく急き立てるのはNG。
「宿題の必要性を短い言葉で伝えること」と、「○○(お子さまの名前)ならできるはずだよ。」などの前向きな声がけをするだけで十分です。
親が子どもを思ってかけ続ける言葉は必ず伝わるはずです。子どもの”自ら学ぶ力”を信じましょう。