子育てをするうえで、必ずテーマに上がるのがこどもの好き嫌い問題。こどもが野菜を食べない、好きなものが偏っていて困っているというご家庭も多いのでは無いでしょうか?
今回は、偏食大国のイギリスに住む筆者が見た、好き嫌いの多いこどもの家庭と我が家で実践、成功した方法をご紹介します。
偏食さんがいっぱい!イギリスの好き嫌い事情
イギリスに住んでみて、文化の違いや勝手の違いで驚いたことがたくさんありますが、その中の1つが偏食。イギリスには本当に偏食さんがたくさんいます。
特定の野菜を食べないなんてまだまだ序の口で、野菜は一切食べません!炭水化物もパンしか食べません!という極端な偏食さんがたくさんいます。普段の食事を聞くと、毎日同じものだったり数種類のメニューを繰り返し食べるなんて家庭も少なくありません。
また、手作りの食事を作る家庭も日本に比べて少なく、冷凍食品をオーブンで調理して食べる、缶詰を温めて食べるだけという家庭もあるのが実情です。
実際に筆者のお義父さんは大の野菜嫌い。食べる野菜はきゅうりとパプリカ、じゃが芋ぐらいです。それに加えてパスタや海外の料理も好きではなく、いつも同じようなイギリスの料理ばかり食べています。
最初が肝心!離乳食期のルール3つ
食べることが大好きな筆者は、我が子にも同じように食べることを楽しいと感じて欲しかったので、離乳食が始まった頃からいくつか工夫して取り組んだことがあります。
主に3つのポイントを押さえてご説明します。
声掛けでこどもをその気にさせよう
一つ目は、私も母から教わった方法でとにかく離乳食を食べさせるときに「おいしいねー!」「あーおいしい!」と声をかけ、こどもをその気にさせる方法です。
母乳やミルクしか飲まなかった赤ちゃんが初めて離乳食を食べて違う味や食感を体験する時に、ママが食べてくれるかな?好きかな?と不安に思う気持ちはよく分かります。
でもそこでママが不安そうな顔をして食べさせると赤ちゃんも不安になってしまいます。なので、不安な気持ちはぐっと我慢。今からすごくおいしいものを食べようね!大好きになるよ!という姿勢で食べさせてあげることがポイントです。
特に離乳食が始まる5~6か月の頃は味覚の形成が生まれてすぐの頃より少し鈍感になっていて、いろんな味を受け入れらるようになっています。その時に食べることは楽しいこと、おいしいは楽しいとインプットさせて味覚の形成を助けてあげましょう。
なるべく一緒にご飯を食べよう
初めて離乳食を始めるときは一回食、二回食と段階を踏んで進めていきます。食べる時間を最初からほかの家族に合わせるのは大変ですが、大人が食事をするときは赤ちゃんも一緒に座って同じ食卓を囲みましょう。
実際に食べなくても、こどもは大人のすることは何でも真似したいもの。赤ちゃんに、私も食べたい!と思わせるのも大事です。
そして、イギリスで好き嫌いの多いこどもの家庭ではあまり食事をみんな一緒にとらない事が多い気がします。こどもはこどもだけで食べ、大人は別のものを違う時間に食べるといった感じです。ダイニングテーブルがなく、ソファーで食べるという家庭もあります。
こども一人に対して大人が淡々と食べさせるのと、食べるものは違っても一緒に食卓を囲んでみんなで同じことをしたほうがこどもにとって楽しいのは当たり前ですよね。食事を作業ではなく、食卓を囲んで過ごす家族の楽しい時間とインプットさせることが大事ではないかと思います。
パパもママも好き嫌いしない?!
こどもには好き嫌いなく何でも食べよう!とはいえ、パパもママも嫌いな食べ物があったりしますよね。それを無理に克服する必要はないと思います。
ただ、こどもの前でそれを絶対に言わないことはとても重要です。先ほども言った通り、こどもは大人の言うことや行動を真似します。普段は何でも食べる我が家のこども達ですが、以前お義父さんと食事を一緒にしたときにトマトに対して嫌いといったお義父さんの真似をして長女がトマトを食べなくなるということがありました。
今まで食べていたものを保育園でお友達が嫌いと言っていた、食べられないと聞いたりすると突然食べなくなったりということもあります。
もしパパとママが嫌いな食べ物、苦手な食べ物があってもこどもの前では絶対嫌いと言わない事です。食べて見せることができなくても、「美味しいよねー!」「きれいな色だねー」という声掛けが出来れば十分です。
子どもの好き嫌いは一種の防御反応
上記の対策で上手くいけば一番いいのですが、そうはいかないのが好き嫌い。それもそのはず。好き嫌いとは一種の防御本能でもあるからです。
特に酸味や苦みに対しては「これは毒かもしれない」という人間の防御反応が働いて受け付けない場合があります。子どもは大人に比べて味覚が鋭いので、酸味や苦みには敏感です。トマトやピーマンなどの野菜を食べないからといって深く心配する必要はないでしょう。
本能レベルで受け付けない物を無理に食べさせられた、という記憶が食事を辛いものに変えてしまう事もあるので、多少食べないものがあってももしかしたらそのうち食べるかもしれない、ぐらいに受け止めてあげてください。
嫌いと言われても繰り返し食べさせてあげると、これは食べても大丈夫だと認識して徐々に慣れて食べられるようになる、ということもあります。我が家ではこどもが嫌いな食べ物もほかの家族が食べるので食卓に出します。そうするとそのうち食べてみようかなという気になるのか、最初嫌いだったけどまた食べてみたら好きになったという事がしょっちゅうです(笑)
【参考】どうして人間には食べ物の好き嫌いがあるのですか?/公益社団法人日本心理学会
思いつめなくても大丈夫!諦めも肝心
ありとあらゆる手は尽くしたけど、本当に偏食で困った、好き嫌いが多い、調理の仕方が悪いのかな?と悩むパパとママをたくさん見てきました。それでも好き嫌いが原因で病気になったり学習に障害がでた、という話は聞いたことがありません。もちろん毎日食事を作る親御さんの苦労は計り知れませんが。。。
好き嫌いをする子であっても何も食べずに生きていくことは出来ないので、おなかがすいたら必ず何かしらは食べます。筆者のいとこは小さい時から好き嫌いが多く小食で、ほとんど牛乳で育ったといっても過言ではないほど。それでもなにか支障をきたすということはなかったと思います。
ピーマンが食べられなくても、ほかにもビタミンを補える食材はたくさんあります。その子が食べられるものを楽しく食べることが一番重要なので、あまり思いつめずに食事を一緒に楽しむことを目標にしてみてはいかがでしょうか?
無理なく食べる楽しさを体験しよう!
食べることは生きる事。一生続けていく食べるという事。大切なこども達を育てる上で親としては何でも食べて栄養をたくさん取ってほしい、と誰もが思いますよね。
好き嫌いなく何でも食べられれば一番素敵なことですが、そううまくはいかないもの。それでも食事を嫌いな食べ物がいっぱいでてきてそれを無理に食べなくてはいけない事とするか、嫌いなものがあっても家族と一緒に時間を過ごす楽しい事となるかで、食に対する意識が変わっていきます。
嫌いな食材に意識が向かないように、まずは親子でその日の出来事や楽しかった事を話すなど、会話をしながら食べる=楽しい時間という意識を与えあげることから始めてみてはいかがでしょうか?