作文が苦手、面倒くさいと感じているお子さまは多いかと思います。
特に学校行事ごとに書く感想文、長期休みの際の読書感想文などは、「400字詰め原稿用紙3枚以上」などの文字数指定もあり、その文字数に圧倒されてしまうことも。
また幼児期からパソコン、タブレットで学習をする機会が増え、鉛筆で書くことが減ったため、書くこと自体が疲れるという声も聞かれます。
文章を書くには、集中力、論理的思考力、記憶力、表現力など多くの能力が必要です。
小学校低位学年までは、「接続詞を連発」、「楽しかった、嬉しかったなどの感情表現の繰り返し」、「事実の羅列のみ」のような単調な作文が多く見られます。
我が子の作文を見て、「文章を書く才能がない」「地頭が良くない」などと落胆することはありません。文章を書く能力や知識が十分に育っていないだけです。
作文嫌いなお子さまも、読書や作文のトレーニングを行うことで「論理的でありながらも、感情が伝わる文章」が書けるようになります!
すべての学びに直結!作文力の重要性
ママパパ世代よりも、作文力が問われる学習が圧倒的に増えました。その背景には文部科学省が定めた学習指導要領で掲げられた「3つの柱」があります。
3つの柱とは?
■学んだことを社会や人生に生かそうとする「学びに向かう力、人間性など」
■実際の社会や生活で生きて働く「知識及び技能」
■未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力など」
グローバル化、技術革新にも対応できる「自ら学ぶ力」を育むために、自分の考えを書く、発表する学習が多く取り入れられるようになりました。
小学校の「書く学び」の一例
・物語文を読んで、あらすじをまとめる。(国語)
・社会である地域の気温と降水量を見て、気候の特色を書く。(社会)
・マグネットを使って、かけ算の考え方をみんなに説明する。(算数)
・単元まとめテスト(カラーテスト)で、単元の感想などを書く欄がある。教科によっては思考力が試される問題が出る。(全教科)
また中学、高校、大学受験においても記述式問題は大きなウェイトを占めています。
国語だけではなく算数、理科、社会などでも「なぜその解答に至ったのか?」過程やまとめ方を問われる問題が出題されます。自分の考えを文章にする、論理的な文章を書く、資料から読み取ったことを文章でまとめる・・・作文力は全教科に必須な能力です。
作文力を高める=集中力、論理的思考力、記憶力、表現力などの多くの能力に多角的にアプローチすることです。作文力が高いことは、地頭の良さにもつながります。
幼児期からできる!作文力をつけさせるトレーニング
早期英語教育で言われる、言語習得のコツ「インプット(Listening 聞く)とアウトプット(Speaking 話す)」は、作文力育成にも効果的。
文字が書けなくてもできるので、乳幼児期から作文力トレーニングはスタートできます。
親子のコミュニケーションが増えることで、脳が活性化され、自己肯定感も高められます。
やって損はなし!地頭を良くする読み聞かせ
0歳からできる読み聞かせ。これは先に述べた「インプット」にあたります。
乳幼児期に読み聞かせを行うことで、小学生以降の読解力、作文力が大きく底上げされます。ママパパの声で、読み聞かせることで子どもの情緒が安定し、学習効果もアップします。特に脳の発達が8割完成する「3歳まで」の読み聞かせは、言語能力全般を育てます。
絵本、本を読み聞かせることで、想像力・好奇心が育まれ、さまざまなことに興味を持つように。
自分から知りたい、学びたいと感じられることで、成績優秀な子に育ちやすくなります。
読んだ本の内容をママパパに伝える。
絵本、本を読み聞かせした後は本の内容について、親子で話し合いましょう。これは「アウトプット」になりますね。
「○○の場面、□ちゃんだったらどうする?」などと具体的に聞いても良いですし、
ざっくりと
「今のお話はどうだった?」
と質問しても良いですね。
お子さまの言葉が出てきたら、ママパパ必ず反応します。短い会話でもOK。親子でコミュニケーションすることが大切です。
または、
「ねこちゃんが穴に落ちた後、どうなったんだっけ?ママパパ忘れちゃったから教えて~」
などとお願いして、途中からのあらすじを言ってもらうのもおすすめ。
子どもの自尊心が刺激され、「ママパパに伝わるように」試行錯誤しながらお話してくれるはずです。あらすじプレゼンテーションで作文力、記憶力、論理的思考力が鍛えられます。
年齢・トレーニング内容 | 本から得た情報をアウトプットする方法 |
---|---|
2歳~4歳 ・短い話を聞き、理解する。 ・本の内容について、親と話し合う。 | 1.ママパパが読み聞かせをする。 2.絵本、本の内容について親子で自由に話し合います。 感想、意見が出ない時は、ママパパが誘導しても良いですが、基本親は聞き役に徹しましょう。 |
4歳~ ・本の内容を覚えて、ママパパに教える。 言葉が出ない時は、身振り手振りを使ってもOK。 相手に分かりやすく伝えることを目指します。 | 1.絵本、本を子どもが一人で読みます。 2.内容についてママパパにプレゼンテーションします。 3.親は教えてくれた内容にポジティブな意見を述べます。 【例】 「とてもわかりやすかったね、ママパパも本を読んだみたいに楽しかったよ!」 「○○の場面は怖かったね~ママパパもドキドキしたよ!」 |
【体験談】読み聞かせで育む「国語力」がすべての勉強の基本である理由
小学校低学年以降でも間に合う!作文力トレーニング
幼児期に読み聞かせができなかった、または読み聞かせしてきたのに本が嫌い・・・というお子さまも珍しくありません。
小学校入学前までに、あまり文章に触れる機会がなくても大丈夫。作文力はいつからでも伸ばすことができます。
自我も芽生え、友達関係の重要度が増す小学生。幼児期のように「親が主導する」作文トレーニングですと、反発を示すこともあるでしょう。子どもの自主性を尊重しながら、作文力を伸ばすトレーニングをご紹介いたします。
親子のコミュニケーション時間も増えますよ!
本のジャンルは自由!親子で読書する。
読書感想文を書く、資料をまとめて文章で表す・・・これらは、作文力はもちろんですが、文脈の中で使われている語彙や背景知識を理解する力が必要です。こういった「作文を書くための能力」を総合的に伸ばすには、読書が一番!
「ゲームよりも本を読みなさい。」と子どもに言いながら、自分はスマホばかり見ているママパパは少なくありません。
子は親の鏡です。まずは親が本を楽しむ姿を見せましょう。ママパパが楽しそうに読書をしていれば、子どもも本を読むようになります。
読む本は難しい学術書や時代小説である必要はありません。ママパパが楽しめる本を集中して読めばOK。
お子さまの本も自由に選ばせてあげましょう。例え幼児向けの図鑑であっても、興味があれば問題ありません。
親子で静かに読書をする時間を作りましょう。作文力と知的好奇心を伸ばすことで、学びを楽しめる基礎力が育まれます。
友達、ゲーム、アニメ・・・何でも良いので子どもの話を聞く!
作文が得意な子は「頭の中で自分の考えを整理する力」があります。この力を育むには「親が子どもの話を聞く」ことが効果的です。
我が子に思うあまり、「叱ること、注意すること」が多くなりがちです。親が子どもに一方的に意思を伝えることが続くと、子どもの発想力、表現力、自主性、プレゼンテーション能力を伸ばす機会が減ってしまいます。
友達のこと、ゲーム、アニメ、恋バナ・・・子どもが話したいことを自由に話させてあげます。ママパパは、ひたすら聞くだけで大丈夫です。
低学年のお子さまで、ことばに詰まる、話題が途切れるようであれば、質問をして話をふくらませてあげても良いでしょう。
興味のあることを話すことで記憶力、作文力、論理的思考力、表現力、共感力(他人の気持ちを思いやる力)、プレゼンテーション能力などが育ち、結果的に「他者にわかりやすい」文章が書けるようになります。
作文力の高い子の親は聞き上手!
■話をしっかり聞く。→記憶力、作文力、論理的思考力、表現力、共感力(他人の気持ちを思いやる力)、プレゼンテーション能力、自己肯定感がアップ!
■親が話の内容について質問する。→質問について考えることで記憶力、論理的思考力がアップ!
親子交換日記
仕事が忙しく、なかなか子どもとゆっくり話せないママパパにおすすめなのが「親子交換日記」です。親子のコミュニケーションにもなりますし、作文力も伸ばせます。
長文でなくても良いので、「ママパパに伝えたいこと」を日記に書いてもらいましょう。その日のうちに親は返事を書いて子どもに渡します。毎日続けられるように、気負わずゆるく書きましょう。
イラストを書くのも良いですね。
0から始める作文の書き方
読書感想文、運動会や遠足の感想文、国語の物語文の感想文・・・自分の感じたことを「あらすじ(行事の時系列)」とからめながら書く感想文。
決められた字数の中で、自分の考えとあらすじを理路整然と書くことは大人でも難しいことです。あらすじだけで終わってしまう、「面白かった、すごかった。」などのありきたりな表現の繰り返し、やたらと接続詞が多い・・・などの作文になってしまうのは珍しいことではありません。
先にも述べたように近年、小学校では「作文力が必要な学習」が増えています。
国語はもちろん全教科において感想、考え方をタブレットに書き、全員の意見を電子黒板で確認する小学校も多いです。
正解、不正解だけではなく、問題を解く過程も問われるので知識+「思考力」が必要になります。
作文を書くことは特別な課題ではなく、毎日の授業で日常的に取り入れられています。
文章を書く技術を身につけることで、学校の授業も積極的に受けられるはず!
まとまりのある作文の書き方
例えば作文のテーマが「クラブ活動について」だったとしましょう。お子さまが音楽クラブだった場合の作文の書き方例をご紹介いたします。
「書きたいことが何にもない!」という場合も問題ありません。以下の手順で進めれば、具体的なエピソードや心情が浮かび上がってきます。
まずはノート、自由帳などメモができるものを準備しましょう。クラブ活動における自分の体験、思いを簡単に書き出していきます。
作文が苦手なお子さまでしたら、ママパパがお子さまにインタビューするように、意見を聞きだしましょう。伝えたいこと、文章の構成が必ず見えてきます。
STEP1. 作文全体の大意となる文を書く。(最も伝えたいこと) |
私の入っている音楽クラブのもっともよい点は、みんなで演奏することで結束力が深まることです。 |
STEP2. 大意と結びつく具体例と具体例に伴った感情を書く。 |
・みんなで合うまで協力して、放課後に練習しました。 ・クラブ活動のない日の昼休みも発表会に向けて、楽器別に練習しました。 ・間違えが多いパートの人を励まして、みんなで練習をしました。 ・みんなで練習した曲を舞台発表した時、達成感を感じました。練習が嫌な日もあったけど、頑張って良かったです。 |
STEP3.まとめを書く。 |
このように音楽クラブは励まし助け合いながら、演奏の練習をすることで結束力が深まりました。 |
STEP4.STEP1~3を基に作文を書く。 |
STEP1~3を膨らませながら、順番に書いていきます。 |
読書感想文の場合は、あらすじをSTEP1の後に入れても良いでしょう。入れる場合は全体の文字数の1割程度で、大まかなものでかまいません。
興味のないテーマ、良くわからないテーマの作文の場合
興味のないテーマや、未経験のことがテーマの作文は、何から書き出せばよいのかわかりませんよね。
そんな時はテーマを自分にとって身近なものに置き換えたり、「もし自分がその立場になったら?」と想像してみたりしましょう。
以下のような手順で考えていくと、今までの経験や知識を基にした「テーマに対する自分の考え」が明らかになっていきます。
STEP1.自分の身近なものに置き換えて考える。 |
近所の公園を思い浮かべて、「何が足りないか?」、「何があって嬉しいか?」などを洗い出します。 ・滑り台が難易度別に3種類あって楽しい。 ・ベンチが少ないのが残念。 |
STEP2. 1で出た感情の理由を書く。 |
【滑り台に関して】 ・滑り台が3種類あることで混まずに遊べます。 ・小さな子と小学生がぶつかったりしなくて安全で良い。 【ベンチに関して】 ・お年寄りがいつも座っていて、子どもは座れないのが残念です。 ・お年寄りも座れない人が多いと思うので、ベンチを増やしたら良いと思う。 |
STEP3.もし理想の公園を作るならどんな遊具や施設を置くかを具体的に考える。 |
・高低差のある鉄棒を増やして、全年齢の人が使えるようにしたいです。 ・ベンチを増やして、気軽に休憩できる公園にしたいです。 |
STEP4.その公園なら、どんな利点があるか?また自分が遊んだらどう感じそうかを書く。 |
・今までよりももっと遊びに行くと思うし、来たことのない友達も連れて来たいと思います。 ・小さな子も鉄棒の練習ができて良いと思います。 ・大人も筋トレができるので親子で来る人が増えそうです。 ・ベンチが増えたら平日、休日共にピクニックする人が増えそうです。 |
STEP4.STEP1~3を基に作文を書く。 |
STEP1~3を膨らませながら、順番に書いていきます。 |
作文力トレーニングで全教科の成績アップ!
作文力トレーニングを続けていくと、国語、算数、理科、社会、英語など全教科の成績が良くなります。文章を読むスピードが上がることで、学校や塾の授業に余裕を持って臨めるようになるからです。またテストの問題文を読んだときに「何を問われているのか?」を瞬時に理解できるようになります。
読み聞かせ、読書、親子のコミュニケーションなど、作文力が育つ機会は日常生活の中にあります。
子どもの話を聞き、興味のあることを探してあげましょう。「面白い!楽しい!」と感じられる本、行事、遊びにたくさん触れさせることで知的好奇心も大きく育ちます。
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