そろばんが子どもの習い事として再び注目されているのをご存知でしょうか。「IT化が進む現代にアナログなそろばんがどうして?」と不思議に思いますが、最近ではオンラインで参加できるそろばん教室もあるそう。また中学受験を見据えた家庭にも人気とのこと。これは何か秘密がありそうです。
今回はそろばん教室の最新事情、独学やオンライン教室の詳細や費用比較、いつ習うのが効果的なのか、そろばん教室のメリットとデメリットを紹介します。
【知ってる?】いまそろばんが再注目されている!
昔から学習の基礎を「読み・書き・そろばん」というように、「そろばん」は子どもの代表的な習い事のひとつでした。しかし電卓の普及やIT化が進む中そろばんを習う人口は減ってしまったそう。ところが最近になってまた、そろばんが注目されているんです。
ハッピー・ノート.com Weekly ゴーゴーリサーチ(第934回分析結果)
ハッピー・ノート.comの調査によると、小学校低学年までに習わせたい習い事の上位にそろばんがあります。学校教育にプログラミングが必須化されたりIT化も進む中、そろばんが注目されているのです。その理由は計算力がつくだけでなく、脳が活性化することで将来的に活躍できるような基礎を養えるからでした。
また、そろばんの科学的実証が進み、海外からの評価が高まって逆輸入的にも注目を集めているそうです。とはいえ、一番の要因は、実際にそろばんを学んだ人たちがその価値を強く実感しているからなのではないでしょうか。
わが家も実際に複数の先輩ママからそろばんがいいと聞き、未就学児の息子の習い事候補として考えています。
「知育としてのそろばん」に興味を持ったそろばん経験のない私が、なぜそろばんが人気なのかその理由を徹底調査しました!
そろばんで伸びる力とは?そろばんのメリットを解説
まず気になるのが、そろばんを習うことで身につく力です。日本珠算連盟ではそろばんによる効果を科学的な分析をし、6つあげています。
・注意深く観察する力
・イメージやヒラメキの力
・記憶する力
・集中する力
・情報を処理する力
・速く聴き・速く読む力
参考:日本珠算連盟
なかでも「ヒラメキの力」が身につくのは良いですね。小さい頃から発想力やひらめき力を高めておくと、将来AIに取って代わることのない安定した職業に就き、活躍できる可能性が高くなるのではないでしょうか。
わが家がそろばんに期待していたことは「計算が早くなる」ということでした。プラスして集中力が鍛えられたり、脳トレにもなりそう。つまり、算数が得意になるためのツールとしてそろばんを見ていました。しかしそろばんの効果はもっと奥深く、脳科学的な分野にまで及ぶそう。
また、そろばんを習うメリットだと思ったことが他にもあります。
・資格が取得できる
そろばんの検定試験を行っている大きな団体は「日本珠算連盟」と「全国珠算教育連盟」で、それぞれに暗算と珠算の検定試験があります。実はそろばんの検定試験は、漢字検定や英語検定と並んでアピールしやすい資格だそうです。「フラッシュ暗算」の検定試験も実施されています。
そろばん教室にはいつから通える?
気になるのがスタート時期ですよね。そろばん教室はいつからどのような条件で通えるのでしょうか。
そろばんを始められる時期
実はそろばんは未就園児でもできます!「100玉そろばん」という大きなそろばんがあるのをご存知でしょうか?くもんや七田式など幼少期の知育教材を多く扱う企業からも発売していて、対象年齢も2歳くらいからです。いわゆる小学校で習ったそろばんとは違う形のものですが、小さな子どもが数の概念を学ぶのにとてもわかりやすく、SNSでも知育に熱心な家庭にあるのをよくみます。小学校の低学年の算数の授業でも大きな100玉そろばんを使って授業をする学校があるそう。自宅でできる初めてのそろばんには、100玉そろばんがおすすめです。メーカーによっては専用のテキストもありかけ算も学ぶことができるそうです。
そろばん教室デビューの条件
一般的なそろばん教室に通う場合、多くの教室の対象年齢が「年長」や「5歳」からでした。年齢ではなく、できることで区切っている教室もあります。例えばそろばんで計算したら紙に数字を書いたり、そろばんの玉をはじくのに指先の訓練も必要です。またそろばんは「5」になると上段の玉をあげるなど「5のかたまり」や「10のかたまり」を理解する必要があるからです。このように数字の理解だけでなく、座学ができるかなども入会の条件に含まれるようです。
そろばんを習得するベストな時期は?
脳が大きく発達するのが5歳から10歳ころと言われており、この時期を推奨するようです。なかでも、まだ算数の知識の浅い年長から小学校1年生の頃にスタートするとより習得がしやすいそう。
その理由の一つに、まっさらな状態でそろばんの知識をいれていくのがいいという説がありました。確かに余計な知識があると混乱したり、集中できにくいからかも知れません。
中学受験を視野に入れていると、早い家庭では小学校2~3年年生から準備に入るそうです。反復が大切なそろばんと通塾を併用するのは難しくなるので、早い段階でそろばんを習得したいという声が多いのではないでしょうか。
最近では早期教育で数の理解も早まっているからか、年中から通える教室もありました。しかしそろばん教室の一連の動きを理解するにはまだ少し不安もあると思います。学年ごとや初心者向けに開催されるクラスがあるなら問題ないですが、一斉に集まるスタイルだと厳しいかもしれません。年中クラスがあっても最初はペーパーで数の基礎を学ぶ教室もあるようです。いずれにしてもスタート時期を焦る必要はないのかなと感じます。
そろばん教室は実際どんなことをしているの?
そろばん教室では具体的にはどのようなことをするのでしょうか。教室に通う場合、オンラインレッスンの場合、独学の場合に分けて解説します。
そろばん教室に通う
まず最初に考えるのが、そろばん教室に通うことですね。珠算教室は時間が決まっていて、定期的に通うのが特徴です。授業は1時間が多く、未就学児は45分と少し短い設定の教室もありました。小学生以上になると生徒に幅があり、中学生と小学校低学年の子が一緒に参加する姿も見られます。挨拶や礼儀を指導している教室もあり、ルールやマナーも身につくそうです。
授業では「読み上げ算」と言われる「願いましては~」の合図で、数字を先生や他の人に読み上げてもらってする計算がイメージしやすいでしょうか。最近では「フラッシュ暗算」も人気で、モニターに大きな数が次々に現れて、その合計を答えるというもの。天才キッズが挑戦しているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。これができるのはそろばんをやっているからという理由もありそうです。
オンラインレッスンを受ける
最近ではオンラインのそろばん教室も人気です。そろばんが海外から注目されていることもあり、現地に教室がない子どもたち向けにオンラインレッスンはすでにありました。コロナ禍で日本でもオンラインレッスンが普及し、近くに教室がない地域や、通いたい教室が遠くにある人を含め、受講者が増えているそうです。
実際、オンラインではどのように進むのでしょうか。教室により流れに違いがありますが、教室と変わらず、Zoomを利用して先生1人に対して3~5人の少人数、手元にそろばんを置いてというスタイルが多いです。オンラインレッスン用のアプリや、Zoom形式ではなく画面上にバーチャルそろばんが出るような本格的なオンライン授業に特化したものもありました。印象的だったのが、マンツーマンレッスンが多かったことです。
オンラインそろばんで大切なのが手元を写すことです。スマホで撮影をしたり、手元を写せるカメラをパソコンに取り付ける必要があります。また、オンラインと通学の併用ができる教室や、動画配信を利用して家庭学習ができる自由参加型の特典もありました。通学とオンラインで併用できる教室は、両方のメリットを生かせるので良い選択肢かもしれません。
独学
そろばんの経験がある人が身近にいれば、独学することは簡単かもしれません。いきなり教室に通わせるのは抵抗がある場合にも、市販のドリルが書店で手に入るので試してみるのもおすすめです。
わが家はカラーそろばんがついたこのドリルを購入しました。そろばん未経験の私がやってみましたが、つまずいてもその解決法がすぐに見つかり、非常にわかりやすい教材です。このドリルだけでも二桁の足し算まで学習することができます。
年少の息子は数のかたまりがまだ危ういところがあるので、先に紹介した「100玉そろばん」を購入しました。小学校低学年までの子どもには、10のかたまりや5のかたまりの確認ができる「100玉そろばん」がおすすめです。
そろばんのレベルがあがると難しいかもしれませんが、インターネット上にも学び方の情報は多く紹介されています。特に小学校高学年以降は、そろばんのゲームやオンライン競技会に参加するなど、独学で学ぶ方法は様々ありそうです。しかし、習得に至るまでは長い期間を要しますし、低学年以下には親やそろばん経験者のサポートや知識も必要です。可能であれば、そろばんを教えることをきちんと学んでいる方にお任せするのが安心ですね。
【徹底比較】そろばんを習うのにかかる費用と詳細
そろばんのメリットには「費用が安い」こともあげられています。確かに他のお稽古と比較すると通いやすく感じます。ところが調べたところ、特に都内ではそこまで安いようには感じませんでした。昔ながらの近所の珠算教室以外に、学童やスイミングスクール、カルチャースクールに併設された教室や有名な講師に習えるそろばん教室もあります。通う回数が多いと、1回あたりの単価は良心的だったり、生徒と講師の質とバランスをよく比較する必要があります。
オンラインも安いかと思えばそうでもなく、Zoomだと受講できる人数に限りがあるからのようです。特にマンツーマンになると月4回で12,000円というところもありました。このようにそろばんは地域や団体によって幅が広い料金設定になっています。あくまでも目安になりますが、通学・オンライン・独学の費用やメリット・デメリットを比較してみましょう。
そろばん教室に通う
同じ地域の通学タイプの教室で比較をしました。
教室タイプ | 費用 | 回数 | 人数など |
---|---|---|---|
珠算教室 | 入学金 6,000円 授業料 7,000円 | 月・火・水・金・土 (週 3日制) | 1回1時間、年長から |
学童のそろばん教室 | 入会費 5,500円 月会費 8,800円 年長月会費 4,400円 | 月曜~金曜の週5日 年長は週2回 | 1回1時間、年長から小学生 レベル別・10~30人 |
全国展開している そろばん教室 | 入会費 5,500 円 月会費 4,400 円 | 水曜 週1回 | 1回1時間 年長から小学生まで 年少・年中 30分の準備コースあり 専用テキスト、検定受験あり |
スポーツジムの カルチャークラス | 月会費 7,480円 | 土曜 週1回 | 1回50分 年中から小6まで定員10人 |
入会金はそろばんやテキスト・通学バックとして支給されたり、別途教材費や施設使用料がかかる教室もあります。お月謝としては安くても回数で換算すると割高だったり、逆にあまり通えないなら最初から週1と決めるとよさそうです。
・メリット
①大勢で学ぶので他の子どもから刺激をうけたり、学年を超えた交流ができる。
②対面なので先生から直接指導を受けられ、わからないこともその場で解決できる。
・デメリット
①週に2回以上通う場合、他のお稽古との兼ね合いや通学時間や交通費がかかる。
②サポートがしっかりしている教室を選ばないと子どものやる気が失せて継続が難しい。
③教室の全体的なレベルの高さによって、習得レベルも変わる。
オンラインそろばん教室
授業形式 | 時間・回数 | 費用 | |
全国展開そろばん教室 オンライン版 | Zoomレッスン ①マンツーマン ②1:3まで | 月4回 1回40分 | ①12,000円 ②8,000円 |
関西エリア通学型① オンラインコース② | ①教室型 ②Zoom(10名程度) | ①週1~週3コース ②週1~週3コース | 初期費用 4,000円 ①4,000円~7,000円 ②3,200円~6,000円 |
オンラインに特化した教室や、通学型の教室が作ったオンライン教室がありました。英語でレッスンできたり、時差に対応している教室もあります。
・メリット
①海外に住んでいたり近くに教室がなくてももそろばんが習える。
②いろいろなメソッドの教室から共感できる教室を選べる。
③通学時間が削れ時間や交通費の節約になる。
・デメリット
①手元が見えにくいので工夫や操作する知識が必要になる。
②仲間との交流が少ない。
独学
独学の場合は、市販のテキストとそろばんがあればできます。テキストも1冊500円程度からあるので、家でできるか試しながら進めるとよいですね。
・メリット
①好きな時に好きなだけできる。
②初期費用だけでコストがかからない。
・デメリット
①教える人が経験者じゃないと難しい
②幼少期はひとりでは難しい
そろばんの習得法を比較した結果
そろばんを学べる環境を比較しましたが、選び方はそろばんを習う目的によって大きく変わると思います。先に紹介した「宮本式そろばん徹底反復ドリル」の中で、宮本裕史先生がそろばん教室の選び方のコツについて、以下のようにおっしゃっています。
・そろばんの上達には高度な指導技術が必要とされる
・最上級クラスの見学をして中高生が多く在籍していたら長く続ける意味のある教室
・大会に参加しているか
・暗算有段者が多く在籍しているか
そろばんにはたくさんの教室があり、その指導方法や目的も様々です。ご家庭で何を目的にしているかを明確にすると、その指導内容に共感できる教室が見つかると思います。昔は段を取ることが目的だったり、暗記など計算力が目的という人が多かったそうですが、最近では知能指数をあげることを目的に習う人が増えているそうです。
そろばんを習っている子どもにはこんな変化が!
そろばんを習うと、どのような変化がみられるのでしょうか?そろばん教室の体験談を読むと、挨拶や礼儀が身についたというものを目にします。確かに、幅広い学年や違う学校の子どもたちが週に何度か顔を合わせることもあり、自然とコミュニケーション能力も高まるのはわかる気がします。
子どもがそろばんを習った変化に興味を持ったら、親が期待する効果「集中力がついた」「計算力が高まった」を実感した体験記が読めます!
https://chiik.jp/articles/zHrnm/
中学受験の準備にそろばんが人気な理由
計算のスピードの速さと正確さは受験にとって必要な力です。通塾中の先輩ママに聞いたところ、公文式かそろばんで計算力をつけている家庭が多いそうです。実際、難関中学の受験を終えた先輩ママから「算数が得意な成績上位の子どもたちはそろばんを習っていた」と聞きました。御三家に合格した子のママからも「算数で苦戦したから(算数の得意な子がやっていた)そろばんをやっておくといいよ」と言われました。
・暗算ができ計算のスピードが速くなる
・資格がとれて頑張ってきたこととしてアピールできる
私が思っていた中学受験に備えたそろばんの役割はこの2つだと思っていました。しかしもうおわかりかと思いますが、そろばんの効果はもっと深いところにあり、その効果を長い目でみることが大切だとわかりました。日本珠算連盟によると、東大・京大生の80%がそろばん学習経験者と言われているそうです。
そろばんで心身ともに鍛えられる
そろばんが人気の理由、いかがでしたか。 子どもの教育に親はどうしても結果を早く求めがちです。計算力に特化して短期間で習得するのもよいですが、そろばんは長く続けることが大切です。ちいさな挫折を積み重ね、壁を自力で乗り越えていく。その先には頭の中に計算機をインストールしたみたいに「頭の中のそろばん」ができるそうです。
そして大きな数字を暗算できたり、思考力やイメージ力が発達して人工知能に負けないしっかりとした脳が育っていく。受験対策として考える以上に、そろばんには生きる力に大きな効果と影響がありました。
大人になると残念ながら前頭葉の働きが衰えるそうですが、そろばんで手指を動かし脳を活性化させると若返りにも効果があるといわれています。アナログなそろばんでデジタル化した進化型のそろばん教室を利用し、家族みんなでそろばんを日課にしても楽しそう。海外からの注目も高まる歴史あるそろばん、要チェックです!
参考 : Gチャイルドそろばん教室