緊急事態宣言や外出自粛などで、日本や世界各国にお住いのみなさまの生活にも、さまざまな影響が出ていることと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。英国すくすくレポを発信している、ここイギリスも、現在まだロックダウン継続中です。必要なとき以外の外出ができない、会いたい人に会えないなど、難しい日々が続いています。
しかし、3月に入り少しずつ春の訪れを実感するにつれ、気持ちが少しずつ上向きになってきたのを感じます。今回の英国すくすくレポでは、ロックダウンが続くイギリスでの子育てや教育現場の現状と、前向きに生活するための工夫でうまくいったものをご紹介していきます。
3回目のロックダウン中!イギリスの生活&子育ては…
イギリスでは、現在3回目のロックダウン中です。
スーパーマーケットや食料品店、薬局など生活必需品以外の店はすべて閉まっています。
洋服や靴などの店も開いていないため、ロックダウン中に子どもの靴がサイズアウトしてしまって焦りました!現在衣料品や靴が買えるのはオンライン、または一部のスーパーのみです。子どもの靴なので、「できれば履き心地が良いもの・サイズがきちんと合うものを試し履きしてから買ってあげたい」ということもあって、ロックダウンで店が閉まっていることは、子育てにも影響しています。
レストランやカフェも閉まっており、現在はテイクアウェイ(テイクアウト)またはデリバリーのみ。普段あまり外食をしない我が家ですが、過去1年の間に3回もロックダウンになったため、子どもたちの誕生日のお祝いの外食や旅行・外出など、家族のイベントが思いっきりできず…という状態です。
一緒に住んでいる家族以外とは会うことができないため、子どもたちはオンライン以外で友達や親族と交流することができない現状も続いており、イギリスでは子どもたちの心が不安定になっているそうです。また、孫に何カ月も会えない祖父母世代からも悲しみの声が上がっています…。
当初、ロックダウン中も学校はそのまま続ける!と言っていたイギリス政府でしたが、あまりにも国内での感染ケースが増えてしまったために、結局また学校も閉鎖になってしまいました。
イギリスもロックダウンで家庭はパニック!?子育て・学習の現状とは
再び突入した家庭学習は、前回とかなり違った!
2020年のクリスマス休暇前までは開いていた学校でしたが、2021年1月の新学期が始まる直前に、「非常に残念ですが、新学期からは期限未定で学校閉鎖になります。」と政府・学校からアナウンスがありました。
「お…恐れていたことが!!!」とショックや悲しみ、子どもの家庭学習が再び始まる不安で、SNS上は大騒ぎに。90年代に流行したM.C.ハマーの「U Can’t Touch This」の懐かしい歌を替え歌にして「Can’t teach this! (これ=勉強、教えきれない!)」と踊るママの動画が出て拡散されるほど、家庭学習に恐怖を感じた保護者は多かったようでした。
我が家も例にもれず「フルタイム家庭学習」の再来にはがっくり肩を落とした組です。前回は約半年の休校(長期休暇期間を含む)をなんとか乗り切ったと思っていたのに、またですか!?と泣きそうになりました。
かなり学習の遅れをとってしまっていることもあり、今回の学校閉鎖中の家庭学習は前回とは違い、学習内容が毎日きっちり決められています。すべての課題はGoogle Classroomを利用した出題・提出になりました。
ライブ授業(担任の先生とクラスメイトがひとつの画面に集まって授業をするもの)や、有名な公立小学校の先生方の授業を録画した動画を利用した学習など、各教科をしっかり理解できるようにと工夫されています。動画の授業を見て各課題をこなし、午後3時までにその日の課題すべてを提出しなければなりません。
家庭学習をすることには良い面もあります。イギリスの小学校には教科書がないので、学年ごとの学習内容の詳細や、今何を勉強しているのか?ということが普通はわからないのですが、現在は毎日の課題やオンラインレッスンを確認することで、子どもが何を学んでいるのかを保護者が知ることができます。
移民が多いイギリスでは、英語が母国語ではない保護者も多いです。家庭学習を子どもと一緒にすることで、知らない単語や言い回しを学ぶことができ、英語の勉強になるという声も複数の家庭から聞きました。また、算数などは特に、日本と教え方・習う内容が違っていて、学校教育の違いを知る良い機会にもなっています。大変な日々の中でも、「これには、こういうメリットがある。ありがたいな~!」と前向きにとらえてみると、気持ちが沈まずにいられます。
「自分だけの」が嬉しいお年頃!
我が家は学習机がまだありません。普段からダイニングテーブルで勉強するのですが、家庭学習中は、ずっと同じ場所で過ごすことになるので、だんだん集中力が続かなくなる…ということが発生してしまいます。前回の学校閉鎖時は春~夏だったので、庭に机を出してみたりと工夫していました。しかし今回は冬で、さすがに寒い!…ということで、今回は使わなくなったコーヒーテーブルや台を使って、娘たちに一つずつ机を用意しました。
コーヒーテーブルや、使わなくなった台を使って一時しのぎで設置した机でしたが、子どもたちには大好評!自分のテリトリーを持って、テンションが上がったようでした。自分の机を所有することで、子どもはこんなに特別感を味わえるんだなぁと、しみじみ。基本の家庭学習はまだダイニングテーブルですが、集中力が切れたときや、オンライン授業の時間が重なり、お互いの声をうるさく感じるときなどに、自分の机へ移動するようにしています。
自分の机を持つということの、もう一つのメリットは、責任感が育つということです。
娘たちはどちらも、あまり整理整頓が得意ではありません。残念ながらやる気もありません。(母さん撃沈!)
そんな2人ですが、狭い机の上が散らかっていると、ノートを置く場所がない→書けない→効率が悪い、というのが散らかった部屋よりも感じやすいようです。
それで、自然と机の上の整理整頓の大切さ、責任を持つことの意味を実感し始めたようです。まずは机の上を自分でメンテナンスしようという気持ちから始まって、部屋の中の整理整頓にも視野が広がってくれるように願っています。
健康のための散歩・運動、日用品の買い物以外は外出をすることができないため、何週間もの長い間を家の中で過ごさないといけない子どもたちは、正直言ってかわいそうだと思います。でも、嘆いていても現状が変わるわけではないので、家の中にいても気分転換ができるように、心の成長をサポートできるようにと工夫して過ごしています。
政府から、もうすぐ学校を再開するという発表があったので、もうすこしの辛抱です!
子どもの内面は、見た目よりも揺れていた…
先ほども書いたように、外出が自由にできない今、子どもたちの世界・社会は家の中がほとんど。交流する相手もほぼ家族だけという状況です。友達とふざけ合って遊ぶこともできないので、見た目よりも子どもたちのストレスは溜まっているのではないかと感じます。
実際に、家庭学習をしていても、すんなり始められる日もあれば、泣き出してしまったり怒ったり、気持ちの浮き沈みがある日も少なくありません。学校が再開するのが怖いという気持ちもあるようです。この心の問題は、子どもだけでなく大人にも起こっているそうで、英国全体でメンタルに問題を抱えている人が、ロックダウン中に増えています。
学校側からも「メンタルヘルス」のサポートについての案内が送られてきたり、親子両方の心の健康を保つための情報が共有されています。それほど、24時間体制で家庭のこと・仕事のこと・育児をこなさなければならない「親のストレス」と、長期間続く普通ではない生活に戸惑う「子どもたちの心のケア」の重要性が、国を挙げて重要視されてきています。
非日常的な日々の中、年齢よりも甘える内容が幼くなったり、親への理不尽な八つ当たりがあったりと、なんとなく「あれ?いつもと違うな…」と違和感を感じることも。そんなときは、抱きしめたり、大好きだよと伝えたり、何かお話したいことがあるかな?と声をかけると、子どもたちの表情がやわらかくなることも多いです。
逆に、親の私自身が現在の生活状況の中で余裕を失うこともあるのですが、子どもたちにハグをしてもらうことで癒されることも多々あります。お互いに思いやりのアンテナを張って、家族で心のケアを心がけつつ、この状況を乗り越えて未来へ進みたいと思っています。