子どもに愛情を伝える方法はさまざま。その中でも3つのことを行うことで、子ども自身が愛を実感でき、それによって自己肯定感が育まれ、右脳が発達するそうです。特に注目は、子どもの伝える力が育つ「やまびこ話法」と「毎晩の絵本習慣」。「七田式教育」の七田厚先生にお話をお伺いしました。
子どもに「愛」を伝える3つの方法
七田厚先生(以下、七田):子どもに愛を伝えるために大切なことは3つあります。
1つ目は、直接的なスキンシップを行うこと。
2つ目は、子どもの話にしっかりと耳を傾けてあげること。
3つ目は、絵本や児童書を読んであげることです。
親から愛されているということが実感できた子どもは、感覚脳、イメージ脳といわれている右脳が発達します。それによりやる気が出るのです。スキンシップをはかることで愛情が伝わり、心が豊かに育つのです。
子どもの伝える力が伸びる「やまびこ話法」とは
――「やまびこ話法」とはどのようなものですか?
七田:これは、子どもの発言した内容を繰り返し言葉で伝えてあげたうえで、新たな質問を1つ付け加える聞き方です。
たとえば、「お兄ちゃんが妹をたたいた~」と、妹が泣いて訴えに来たとします。そんなときは「ああ、そう。お兄ちゃんがあなたをたたいたの」と言って、いったん受け入れます。それから「どうしてお兄ちゃんはあなたをたたいたの?」と言うと、「私が○○をしていたらお兄ちゃんがたたいた」。「そう。あなたが○○していたらお兄ちゃんがたたいたのね。なぜあなたは○○していたの?」と、子どもが言ったことを繰り返しながら新しい質問を1つ加えて、掘り下げていきます。
こうすることで、子どもは自分の伝えたことを受け止めてもらえたと感じ、聞かれたことに対して、だんだん素直に答えてくれるようになります。また、毎日繰り返すことで、「次はこう聞かれるな」と思って、親が聞くよりも前に「こういう理由でこうした」ということをしたと、自ら説明できるようになるのです。
「やまびこ話法」を使って話をすることで、子どもは、「お母さんは自分のことをよく見て話を引き出してくれた」という感覚を持ち、非常に満ち足りた気持ちになります。
さらに、これを繰り返すことによって、わかりやすくまとめて話すことができるようになるのです。
絵本を読むのもスキンシップの1つ。小学校低学年まで続けよう
七田:小学校低学年くらいまでは続けた方がいいと思います。絵本以外にも児童書、図鑑などを読んであげるのもいいですよ。
実は、我が家でも子どもが小さい頃は、毎晩私が寝かしつけの時に絵本を読んでいました。読み聞かせを始めたのが下の子が1歳、上の子が7歳の時でした。息子に「あなたも好きな本を持っておいでよ」と言ったら、ゲームキャラクターの図鑑を持ってきたんです。「これを読むの? なにか別のお話の本を持っておいでよ」と言っていたら、そのうちに持ってこなくなってしまいました。
失敗したなと気づいたのは、その数年あとです。それまで子どもには本をプレゼントしていたのですが、それらの本をあまり読んだ形跡がないのです。それで「この子は本好きに育てることができなかったな」と反省しました。やはりあの時、図鑑でもいいから読んでやればよかったと思い、ストーリーの楽しさがわかる児童書の世界まで連れていくべきだったと……。
もう1つ記憶に残っているのが、夕食の時、息子を叱ったあとのことです。その時、息子はふくれっつらをしていたのですが、寝る時間になって絵本を読んであげることに。1冊目、2冊目と読んでいくうちに、息子の表情はみるみる変わり、3冊目を読み終える頃には幸せそうな顔で眠りについていました。
もしあの時、絵本を読む習慣がなかったらふくれっつらか、もしくは泣きながら眠っていたかもしれません。それが本を3冊読むことで、睡眠の質も朝起きた時の感じも、ガラッと変わります。
1冊読み終えるのに約5分。絵本を3冊読んでも、1日15分です。毎日たった15分の習慣で、子どもは本好きになり、親からの愛情をしっかりと感じることにもつながります。「毎晩、親に絵本を読んでもらった」という思い出は、親に大切にされたという意識にもつながります。それによって、自己肯定感が高まり、人生を切り開いて生きていく力になるのです。