スペインやメキシコをはじめ、世界21カ国で公用語とされているスペイン語。実は日本人が学びやすい言語という側面もあり、第2外国語を必修としている日本の中高校の数も増えつつあります。学問からビジネス、生活までスペイン語が役に立つ場面と、留学や職業における将来性など、筆者がスペイン語学習をオススメする理由をご紹介します。
スペイン語話者が一番多い国はスペインではない?
また、メキシコの他、ブラジルを除く中南米の19カ国+アフリカの赤道ギニア共和国で公用語として使われているこのスペイン語。母語話者や、第二言語話者、移民話者まで含めると、中国語・英語に続き「世界における話者数」の第3位につけています。
つまりスペイン人やメキシコ人に知り合いがいる人、スペインやメキシコに旅行する時だけに役立つ言語ではありません。スペイン語が話せればそれだけコミュニケーションできる人や国も多くなるのです。
将来、グローバルに活躍する子どもになって欲しいと願うなら、学んでおいて損はなさそうですよ。
メキシコで日本ブーム! ビジネスチャンスも拡大中
大手自動車メーカーの工場建設ラッシュが起こっていて、その関連企業が次々とメキシコに進出。更には増加の一途をたどる日本人駐在員たちをサポートする日本企業によるサービスや人員も増えているからです。
グアナファト州での日本企業誘致が牽引となって、2017年はじめにはメキシコにおける日本企業数は1000社を超えたとか。「グアナファト州は第2のデトロイト」という表現もオーバーではないのでしょう。
メキシコは英語も通じる場合もありますが、スペイン語は必須。スペイン語通訳者の求人も増加していて、雇用条件もどんどん良くなっています。
また、通訳に限らず、スペイン語を使って、起業・移民している人もたくさんいます。
まだまだ、ビジネスチャンスもあり、スペイン語ができるだけで、将来性や可能性がぐんと広がりそうですね。
アメリカでのスペイン語話者が3割に!?
そのため、英語が苦手でもスペイン語ができれば、アメリカに住んだり、旅行したりするのに困らないほど。
アメリカはメキシコと国境を接しているだけでなく、テキサス・カリフォルニア・ネバダ・ユタ・アリゾナ・ニューメキシコ・ワイオミング・コロラドは19世紀の米墨戦争での譲渡が行われるまでメキシコの領土だったという歴史的背景があります。
メキシコ以南のスペイン語圏各国からの移民が多いこともあり、これだけの話者数になっているのでしょう。
そのため、アメリカ国内には英語とスペイン語が併記されている看板が一般的な地域も数多く存在。
また、身近な言語ということで、第一外国語学習に、スペイン語を学ぶ学生が多数派という話も聞きます。特に、患者とのコミュニケーションが必要な医療従事者には重要な外国語になっているそうです。
将来、子どもに英語圏への留学や滞在を考えているなら、さらにスペイン語ができると、より交流の幅、学びの幅も広がります。
日本人が学びやすい&美しく発音できる
その理由のひとつは発音のしやすさと聞き取りやすさ。日本人にとって英語学習のネックとなりやすいのが発音ですが、それは人間がごく早い段階で母語にない音を聞き取ったり発音したりできなくなるためです。言語学を勉強している友人いわく、生後8カ月ですでに「脳が処理できる音」を決定してしまう、という研究報告もあるのだとか。
その点スペイン語は、日本語と同じく母音は「アイウエオ」の5つで、その母音をはっきりと発音する傾向があります。そのため、日本人が学ぶ際には、聞き取りやすく、発音しやすいのが特徴です。
ちなみに、これは日西バイリンガルの子どもを育てる際には逆にネックとなり、言語が混じりやすくなる、という話も聞いたことがあります。例えば、ネコという単語。英語ではcatという子音で終わりますが、スペイン語ではgato/ガトと日本語と同じ母音の「お」で終わるため、どちらがどちらの言語なのか、子どもが区別を付けづらいのだそう。
ただし、これはよほど混ざった環境でない限り、子どもがスペイン語を学ぶのに障害となる、わかりにくくするものではなさそうです。
また、発音と綴りが一致しているため、基本的にローマ字のように発音したままを書きます。つまり、はじめて目にする単語でも、それほど苦労することなく読んだり書いたりすることができるのです。
スペイン語がわかれば他の言語も理解しやすい
実際、それぞれの言語で会話していても、だいたいの話が通じることもあるそうです。第3、4外国語にも広がりを持てるのもスペイン語のいいところといえそうですね。