2017年11月05日 公開
ユーモアを育てよう!おすすめの落語絵本と読み聞かせのコツ
伝統的な日本の話芸である落語。寄席に行くのは難しくても、実は、絵本で気軽に楽しむことができます。ユーモアを育てるのに最適な落語には、その他にもたくさんのメリットが。落語の読み聞かせ歴5年以上の筆者が、その魅力や読み聞かせのコツ、おすすめの絵本を紹介します。
伝統的な日本の話芸である落語。寄席に行くのは難しくても、実は、絵本で気軽に楽しむことができます。ユーモアを育てるのに最適な落語には、その他にもたくさんのメリットが。落語の読み聞かせ歴5年以上の筆者が、その魅力や読み聞かせのコツ、おすすめの絵本を紹介します。
落語絵本の読み聞かせをはじめたきっかけ
カナダで長年暮らす筆者は、英語が上達しても英語のジョークで笑うことがあまりできません。コメディは文化や生活習慣など、その土地にまつわる、いろいろな知識がないと面白いと感じないのです。
英語のジョークで笑えないという経験から、息子と日本語で笑い合うためには何をすべきかを考えました。その中で、日本の笑いを知るには落語が最適だと気がついたのです。
ユーモアを育てるだけではない!落語絵本のメリット
「日本のユーモアのわかる子に育ってほしい」という思いからはじめた落語の読み聞かせ。息子が3歳ごろからはじめて5年以上が過ぎました。彼の中に日本の笑いの文化は確実に育っています。落語の読み聞かせには、ユーモアを育てる以外にもメリットがあるので、主なものを3つ紹介します。
1.シニア世代と子どもに共通の話題ができる
息子の落語好きを特に喜んでくれるのは、筆者の父や母などのシニア世代です。ビデオゲームやアニメのキャラクターのことは知らなくても、落語の有名な噺は多くの人が知っています。息子が小噺を披露したり、寿限無の一説を聞かせたりすると会話が弾みます。
2.日本の歴史を自然に学ぶことができる
落語が生まれたのは江戸時代。落語は、江戸時代の町人、商人、侍、殿様など、さまざまな身分の人々の暮らしを面白おかしく表現しています。ですから、勉強しているという感覚がまったくないまま、自然とその時代の暮らしを知ることができるのです。
3.日常生活であまり使わない言葉が覚えられる
落語には、日常の親子の会話ではあまり使わない言葉が出てきます。その中には、江戸時代の言葉だけではなく、現代の会話にも使えるものがたくさん。筆者は、落語の中の言葉でいいなと思ったものは、どんどん会話に取り入れています。
はじめての落語を聞く子どもにおすすめの噺は?
落語には、子どもがオチを理解するのは難しい噺もあります。読み聞かせ中に、すべっている雰囲気が漂うのはとても切ないです。そこで、はじめての落語は、子どもが好きなもの、興味を持ちそうな題材のものを選びましょう。はじめて落語を聞く子どもにおすすめの噺を3つ紹介します。
1.まんじゅうこわい
友達同士で怖いものについて会話をしています。その中の1人が怖いといったものは「まんじゅう」。さて、まんじゅうが怖い人なんて、本当にいるのでしょうか?
息子が3歳のときに落語を好きになるきっかけとなった噺です。「まんじゅうが食べたい」と言った息子に、「まんじゅうはないけれども、まんじゅうのお話なら読んであげられるよ」と読み聞かせをしました。
2.んまわし
しりとりは、言葉の最後に「ん」がつくと負けです。反対に「んまわし」は、「ん」がたくさんつく言葉を言う遊びです。商品をもらうために「ん」のつく言葉がどんどんエスカレートしていきます。
言葉遊びに興味を持ったころにおすすめです。読み聞かせて終わるのではなく、親子で「んまわし」を楽しみましょう。
3.小噺
長い落語を集中して聞けない場合は、小噺からはじめてみてください。小噺の中には、二言で終わってしまう短いものもあります。子どもが何回も同じ小噺をしてほしいとせがむかもしれません。親は「また?」と思ってしまいますが、同じ部分で笑う子どもの姿を、ぜひ楽しんでください。
おすすめの落語絵本3選
1.はじめての落語におすすめ
タイトル:CDつき おもしろ落語絵本 えほん寄席 満員御礼の巻
著者:桂 文我(文) NHKエデュケーショナル(CD録音、編集)
出版社:小学館
さきほど紹介した「まんじゅうこわい」と「んまわし」を含む5本の落語が収録されたCDつき絵本。子どもでもオチを理解しやすい噺が多いので、落語の導入に適しています。「えほん寄席」はシリーズで出版されているので、気に入った場合は他のものもどんどん読み聞かせしてくださいね。
2.たくさんの落語を読み聞かせたい
タイトル:決定版 心をそだてる はじめての落語101
著者:講談社(編) 高田 文夫(監) 石崎 洋司(文) 金原 瑞人(文) もとした いづみ(文) 令丈 ヒロ子(文)
出版社:講談社
さまざまなタイプの落語が収録されているので、子どもが落語を好きになってから重宝します。小噺も多数収録されているので、あまり読み聞かせの時間がとれないときにも、さっと読んであげることが可能。息子がとくに気に入ったのが、お調子者の与太郎が主人公の噺の数々。一時期、わが家では毎日「与太郎ごっこ」が繰り広げられていました。3歳ぐらいから小学生まで楽しめる1冊です。
3.創作落語の読み聞かせに挑戦
タイトル:らくごで笑児科
著者:斉藤洋(作)陣崎草子(絵)
出版社:偕成社
古典落語に慣れてきたら、創作落語の読み聞かせにも挑戦してみましょう。「らくごで笑児科」は、「ルドルフとイッパイアッテナ」など多くの児童書を生み出している斉藤洋氏の創作落語です。
小児科を舞台とした話で、ゲラゲラと笑ってしまう要素がたくさん。小学校中学年からとなっていますが、読み聞かせであれば低学年でも充分楽しむことができます。
落語の読み聞かせは噺家になったつもりで!
読み聞かせは、あまりオーバーにしないほうがいいという専門家もいます。けれども、落語は噺家になったつもりで読み聞かせてみましょう。もちろん、プロの噺家のようにはできませんが、リズムや間も子どもに伝えたいですね。落語を聞いたことがないという場合は、「えほん寄席」のように、CDつきの絵本も多く出版されているので試してみてください。
物語の絵本とは違った落語の読み聞かせ。親子でぜひ笑いのある時間を過ごしてくださいね。