将来を見据えて子どもたちにはできるだけいい環境を整えてあげたい、と考える方が多いのでは。学校を選ぶにあたっては公立がいい、もしくは大学付属の一貫校がいいなど、さまざまな意見がありますが、実際に幼稚園からの一貫校で育った筆者が感じたメリット、デメリットなどをまとめてみました。
私立は学費が高い…それでも経済的なメリットも!?
小学校から中学校、中学校から高校…とあがる際に一応の試験はありますし、当然ながら普段の成績が一定の基準に達しない場合は進学が難しいため、予習・復習・宿題に小テスト…とそれなりに頑張ったとはいえ、いわゆる「受験」はしたことがありません。強いていえば、幼稚園入園時のお受験のみでしょうか。
また大学付属の学校ではなかったのですが、指定校推薦枠が多い学校だったため、筆者はそれを使って都内私立大学への進学を決めました。
そういう意味で、学生生活のどのタイミングにおいても、本命・すべり止めのように複数校受験する必要がなく、塾のかけもちや予備校通いをしなかったのは、経済的にもメリットだったといえるでしょう。
小学校から第2外国語、は自由なカリキュラムのおかげ
こうした外国語に触れる機会を低学年の頃からたくさん与えてもらえたのも、私立の自由なカリキュラムのおかげではないでしょうか。
水が合えば最高、な私立一貫校?
今はだいぶ校風も変わり「現代的」になってきた、とは母校に戻って教員をしている友人の言ですが、それでも「質実剛健」で「しつけにうるさい」というイメージはまだまだあるようです。
その当時、華美な持ち物はご法度、マンガやCDの貸し借りは厳禁。放課後にファストフード店に出入りしているのが見つかった日には反省文…といった校則の中で、それでも楽しくやっていける子どもであれば、しつけのしっかりした学校というのはメリットは多くあると思います。
常に先生たちが目を光らせている、というのは、それだけ守ってもらえているということ、とこの年になってから感じます。
ただまったく校風が合わない(母校はカトリックの教えがそこかしこに生きており、教員もシスターが多かったので宗教的な意味を含めても)場合、一貫校から出て別の学校へ転校することはどうしても「ドロップアウト」と見られがちな日本において、これは親にとっても子どもにとってもデメリットになるのではないでしょうか。
これぞ一貫校。 長く付き合える同級生や先生の存在
不惑目前の筆者ですが、同級生たちのSNSを見ると、懐かしい顔同士がそれぞれの子どもを連れて一緒に遊びに行ったり旅行をしたり…と変わらぬ友情で結ばれている姿をよく見かけます。
また公立と違い、先生の異動は基本的にないのが私立校。そのため、大好きな先生とは卒業後も学校に行けば会えます。
昨年の一時帰国時に2歳になる娘を連れて母校の親睦会へ足を運んだのですが、四半世紀ぶりにあう初等科時代の先生に「こりゃまた懐かしい顔だなあ~」なんて声をかけてもらえたり、「あなたを担任してたシスター、今、実はメキシコの修道会にいるのよ」なんてビックリな近況報告を聞けるのも、私立一貫校の大きなメリットです。
公立と私立、どちらを選ぶ?-メキシコの場合-
こちらの公立は「学区」という概念が存在しないそう。そこで、自宅近くや職場近くなどの親の生活スタイルやリズムに応じて学校を選ぶことは可能です。
ですが、日本では想像できないほどの格差が存在するこの国ですので、地区によってハード面・ソフト面ともに大きな差があり、また担当する校長先生の手腕と気質によってもかなり格差があるとのこと。
基本的に学費や教科書は無料ですが、コピー代・テスト代・PTA費などは有料という場合もあります。
「州政府がヘルプをしてくれないので、うちの学校は親への寄付金も募っています」(小学生男子・公立・地方都市)という声も。
そこで「私立の一貫校にメリットがあるから希望する、というよりは、公立を選ばないから私立になる、ということだろう」(中学生と小学生の男子・私立・メキシコシティ)という意見にはなるほど、と思わずうなってしまいました。
一貫校教育の概念なし?
日本の一貫校のデメリットでもある「中高一貫校へ入学=そこで高校まで合わせて6年間過ごすのが前提」ということはありません。
「ちょっと合わないな、と思えば次のインスクリプシオンで転校すればいいだけ。先生もしょっちゅう変わるし」(中学生女子と小学生男子・私立・メキシコシティ)や「形は一貫校だけれど生徒の出入りが激しいから、幼稚園からずっと一緒、というクラスメートばかりではない」(中学生と小学生女子・私立・メキシコシティ)という意見を鑑みても、イメージがまったく異なることがわかります。
どちらがいい、と一概にはいえないけれど…
近所に住む先輩ママさんから、何度か娘さんの学校の文化祭に呼ばれて遊びに行ったことがあるのですが、まさに私立のカトリック系女子校(近頃、高校のみ共学になったそうですが)でどことなく母校と同じ雰囲気。
そうするとやはり「娘はここに入れようかなあ」なんて気持ちが湧き上がります。
このように、感受性豊かな時代に多くの時間を過ごす学校は、長じてからの心の礎になるものと感じます。
公立がいい、いや私立のほうがメリットがある、という絶対的な良し悪しは存在しません。最終的には、雰囲気なり校則なりが「その子にあった」学校に子どもたちを通わせることができたら、それが彼らにとっても、親にとっても一番幸せなのではないでしょうか。