アジアの中では休暇制度は充実している日本。でも、実際には、会社に迷惑をかけられないと気が引けて、なかなかお休みが取れないことが多いもの。他のアジア諸国はどうでしょう?家族との時間や地域のお祭りを最優先するアジア諸国の休暇事情についてお話します。
家族やお祭りを優先するのがアジアの基本
それが顕著に現れるのが、休暇の取り方。筆者の住むネパールでも、やれ、お祭りだ、やれ、親戚の結婚式だ、やれ、親が病気だと、当たり前のように休みます。まるで、冠婚葬祭の合間に仕事をしているといった方がいいのではないかと思うほどです。
でも、これはネパールに限ったことではありません。
ネパール、インドをはじめ、タイ、インドネシア、ベトナムと南アジア〜東南アジアで仕事をする知人によると、どの国も似たり寄ったり。突然のスタッフの休暇で納期に間に合わないなど悩みも多いようでした。
休暇制度はまだまだ整備されてないアジア
慶弔休暇はもちろんのこと、有給休暇や、産休、育休、フレックスタイム制度など、そういう制度が整っている会社はごくわずか。国際的なチェーン店や、大手企業に限られるでしょう。自営業的な店や中小企業では、だいたいそんな制度自体ないか、制度があっても運用されてないことがほとんどです。
つまり休みは取れるが、休んだ分の賃金の保証はされていないことが多いのです。それでも、冠婚葬祭や家族のことを優先するのが当たり前といった空気があるのがアジアです。
会社ではなく、家族に迷惑やしわ寄せがいかないように
その状況を、ネパールの銀行で働いているネパール人女性の友人に話したら、
「会社に迷惑をかけないという日本人の精神はすごいと思うけど、その分家族に迷惑やしわ寄せがいくのは良くないと思う」という意見が返ってきました。
なるほど、そういう考え方もあるのかと驚いたのですが、確かに、日本人はプライベートなことを犠牲にしてまで会社や仕事を優先するという傾向があるかもしれませんね。
会社に迷惑をかけていはいけないと思うのと同じくらい、家族や子どものことも気にかけてあげるべきなのかもと思わされる一言でした。
嫁の仕事はおろそかにできない事情
アジアの国では、結婚している女性は、まず嫁としての責務を果たしているかを問われます。特に冠婚葬祭では、嫁のすべき仕事がたくさんあり、それを放棄する嫁など許されない封建的な空気がまだまだあるのです。
しかし、そのような事情を抱えながらも、アジアでは、女性の社会進出が年々増えています。女性の人権や、待遇の改善という課題も抱えつつ、社会で活躍するたくましいアジアの女性たち。嫁として、母として、1人の社会人として、頑張る姿に、元気と勇気が湧いてきます。
肝心なのは、家庭と仕事のバランス
日本でも、ワークライフバランスを提唱する企業が増えてきていますよね。育児や介護のための休暇はここ数年でずっと取りやすくなり、自分の誕生日だけでなく子どもの誕生日休暇を設ける企業も出てきました。本当に日本は制度に恵まれていると感じます。
せっかく恵まれた環境にあるのですから、いつでも会社優先ではなくて、ここぞという時には、アジアの国々のように、家庭や家族を優先して堂々と休みを取ってもいいのではと、遠くネパールの地から日本を見ている筆者なのです。