フランスといえば真っ先に何が思い浮かびますか?パリ、エッフェル塔、ナポレオン、ファッション、フランス料理……。フランスを象徴するものや言葉はたくさんありますよね。今回は、子どもと一緒にぜひ読んで欲しい【フランスという国がわかる絵本】3冊をご紹介します。
フランスの絵本
絵本に登場するキャラクターが愛らしく、日本でもよく知られている「リサとガスパール」「バーバパパ」「ペネロペ」などご存知の方も多いのではないのでしょうか。また、絵本ではないですが、小さい子どもから大人まで、幅広い年代に読まれているサン・テグジュペリの「星の王子さま」も有名ですよね。
今回は、フランスという国をよく理解でき、象徴しているともいえる絵本を3つご紹介します。
マドレーヌシリーズ
著者 :ルドウィッヒ・ベーメルマンス (作・画)、瀬田 貞二 (訳)
出版社 :福音館書店
フランス、パリの景色に大人も子どももうっとり見とれてしまうこときっと間違いなし!なのが『マドレーヌシリーズ』の絵本ではないでしょうか。
パリの寄宿学校に暮らす、おちびさんで元気いっぱいのマドレーヌを中心としたお話。子どもが感情移入しやすく、とても読みやすいです。
そして何よりもフランスらしいのが、そのイラスト!エッフェル塔やノートルダム寺院、ヴァンドーム広場……。パリの有名な建物が、華やかでありながら人情味も感じさせるような、独特なタッチの絵で描かれています。
ずっと変わらないパリ旧市街の景色と空気感も堪能できる、まるでパリに旅行に出かけているような気分にさせてくれる絵本です。
まるまるまるのほん
著者 :エルヴェ・テュレ (作)、谷川 俊太郎(訳)
出版社 :ポプラ社
フランス発のとってもユニークな絵本が、『まるまるまるの本』。ポップな色づかいのまるをおして、こすって、クリックして……。ただ読むだけではなく、読者参加型の遊び心がたくさんつまった絵本。
レオ=レオニの絵本の翻訳などで有名な谷川俊太郎さんが編集、翻訳をしています。
筆者がとてもフランス的だと思う理由はふたつあります。
ひとつ目は、色彩、かたち、お話しがとても個性的だということです。フランスでは、ありきたりで大衆受けするような絵本よりも、独特な絵本の方が受け入れられることが多いです。個人主義のお国柄が絵本にも表れている、といってよいかもしれません。なので、フランスでよい絵本とされるのは、ほかの絵本にはない独創的な何かがある本です。
エルヴェ・テュレのこの絵本は、「まる」を通じて、思わず触れたくなる、遊びたくなる仕掛けが満載。次へ次へとページをめくりたくなります。「読む」だけにとどまらず、いろいろな感覚を刺激される仕掛けがいっぱい。フランスらしい絵本といえるでしょう。
ふたつ目の理由は、「なんだかよく分からない」からです。
語られる内容も少なく、語られていてもよく意味が理解できない。そして、あやふやなままで終わってしまう……。フランスで絵本を読んでいると、こういった絵本に出くわすことがよくあります。
フランスでは映画などでもよくあることなのですが、アメリカ映画などと比べて非常に曖昧で、ときに意味が分からないことが多々あります。
「まる」が出てきて、内容はもやもやしていて、理屈や大人の常識では読み解くことができないけど、「何かを感じる」ことができる絵本。
フランスらしい、子どもに想像力の余地を残す作品です。
ババールシリーズ
著者 :ジャン・ド・ブリュノフ(作) やがわすみこ(訳)
出版社 :評論社
フランスが世界に誇る名作「ぞうのババール」。
日本でもご存知の方は多いのではないでしょうか?フランス国立図書館に国宝と認定された絵本でもあります。
大きな森のぞうの国で生まれた小さなぞう、ババール。すくすくと育っていたけど、ある日悪い狩人におかあさんが鉄砲で撃たれ、自分も捕まりそうになって人間の町へ逃げ出しました。人間の世界ではじまるババールの愉快な冒険の物語。
読み物として十分に面白いのですが、視点を変えてみるとフランスの政治的側面が描かれていて、とても興味深いです。
人間の世界で教養を身に付けたババールは、ぞうの国へ戻り、戦いを収めて王様になります。そして、ほかのぞうに教育を施し、洋服を着させ、文明を築く……。
植民地を支配してきたフランスの一面が絵本から学べる一冊でもあります。文明化、植民地化などについて、それがよいことか悪いことかは別として、子どもと一緒に考えるきっかけになる絵本です。
絵本を通してフランスを感じる
フランスを描いた絵本、フランス人の描いた絵本には、日本の絵本にはない独特な魅力に包まれています。フランスに行かなくても、絵本を読むだけでフランスらしさに触れることができますよ。
絵本を通じて、親子でフランスを感じるボワイヤージュ(旅行)にぜひ出かけてみてはいかがでしょうか?