北米やヨーロッパなど世界中の絵本がずらりと並ぶ「いたばしボローニャ子ども絵本館」。外国語は読めないから……なんて思わず、ぜひ訪れてみてください。書いてあることが分からなくても楽しめるのが絵本の魅力。絵本の素晴らしさは世界共通です!
およそ100カ国の絵本と触れ合える貴重な場所
東京都板橋区本町24番1号
【電話番号】
03-3579-2665
【開館時間】
午前10 : 00~午後5 : 00
【休館日】
毎週月曜(祝日と重なるときは、直後の平日)
月末日(土・日・祝日と重なるときは直後の平日、ただし3月31日は土・日・祝休日でも休館)
年末年始 (12月29日~1月4日)
海外の絵本の魅力は?どうやって楽しむ?
「赤ちゃんは文字を読めないですよね。でも絵本を見るととても楽しそうに笑います。大人はつい文字を読んでしまいますが、読めない言語だからこそ、絵に集中して絵を楽しむことができる。海外の絵本の面白い点のひとつはそれで、赤ちゃんが絵本を楽しむ感覚に似ていると思いますよ」
そう話すのは、絵本館館長の内海和久さん。
気になる絵が描かれている本があれば、まずは手に取り、ページをめくってみてください。「何の絵だろう、どういうお話だろう」。子どもと一緒に質問しあって、親子でお話を作ってもいいですし、絵の感想を話し合ってもいいですね。楽しみ方は自由。それが絵本のいいところです。
絵本から学ぶ海外のこと
たとえば、エジプトの絵本では、ラマダンをテーマにしたものがあります。その絵本の中には、ラマダンに出てくるファヌースというランプがいくつも登場します。「ラマダン」や「ファヌース」なんていう言葉は、日常会話ではなかなか出てきませんよね。でも、こうして絵本の中に出てくることで、どういうものなのか興味が湧き、調べてみるきっかけになります。
絵本は、子どもたちが海外を知るいいチャンスになります。
日本の絵本にはないストーリーは親子で考えるきっかけにも
パパとママが離婚(離婚を絵本で扱うことにも驚き!)、そしてパパには彼ができて……!日本と比べて性の多様性がはるかに先を行く海外の絵本ならではのストーリーはとても斬新に感じます。いろんな人がいて、いろんな生活があって、それぞれを尊重して認め合うことは、これからを生きる子どもたちにとってとても重要な道徳観念です。絵本を通して親子で考えるきっかけを作ることもできますね。
同じ絵本でも、国によって題名が違う?翻訳って面白い
「最近はスマホをかざすと翻訳して表示してくれるアプリもありますので、そういうものを活用して、外国語と日本語の違いを見ている方もよくいらっしゃいますよ」と内海さん。
教えてくれたのは、「すてきな三にんぐみ」(偕成社)という絵本。昔からある絵本なので読んだことのある方もいるかもしれませんね。フランス生まれの絵本作家トミー・アンゲラーの絵本で、ドイツ語、英語、中国語、フランス語、韓国語など、世界の言語で出版されています。
「タイトルは、英語ではThe Three Robbersと付けられていて、3人の強盗という意味です。どの国の絵本を見ても、強盗とか、悪者という意味の言葉が使われているのですが、日本語訳の絵本では『すてきな三にんぐみ』となっているんです。お話を読むと、その理由はわかるのですが、翻訳の面白さが感じられますね」
3人は強盗には違いないですが、日本で絵本に題名に使うには言葉のイメージがよくないし、3人は本当に悪い人だったのか、というとそうではない。そこで「すてきな」と付けたのかもしれない……。外国語訳の絵本と比べることで、そんな翻訳の醍醐味を味わうこともできます。こういう楽しみ方は、少し大きくなった子どもや大人にむいてそうですね。
赤ちゃんから大人まで楽しめる絵本館
「私が最初にこの絵本と出会ったとき、主役はエドワードだと思ったんですよ」と「汽車の絵本」(ポプラ社)を親しげな眼差しで見る内海さん。
「初期のころは結構顔が怖くて(笑) いつの間にかトーマスが主役で、顔もかわいらしくなりましたよね。そんな、今は子どもたちに人気の絵本のルーツを紹介したり、英語が話せなくても読み聞かせできるおもしろい絵本を披露しています」
どんな読み聞かせをしているのか実演していただきましたが、声の出し方や表情の作り方など、英語がわからなくても引き込まれる内海さんのテクニック、素晴らしかったです!どなたでも予約などしなくても参加できるので、お近くの方はぜひ訪れてみてはいかがでしょう。きっと、新しい発見や感動があるはずです!