百人一首の音読や暗唱を実践した小学校は、参加児童の記憶力や学力向上が報告されています。筆者は、息子が6歳のときに百人一首の朗詠を実践し、9歳の今は暗唱に取り組んでいます。今回は、その経験から幼児や小学生と百人一首を覚えるコツや役立つ本を紹介します。
6歳の息子と百人一首の朗詠に挑戦
著者:鈴木日出男、山口慎一、依田泰 共著
出版社:文英堂
息子が百人一首の朗詠をはじめたのは6歳3カ月ごろでした。カナダではすでに小学1年生でしたが、日本でいうと幼稚園の年長のときです。ただの音読や暗唱ではなく朗詠にしたのは、日本語の美しさやリズムに親しむことを優先するためでした。
朗詠をすることにしたので、CD付きの百人一首の本を購入しました。大人向けですが、歌にあった写真が掲載されているので、イメージがつかみやすい点がオススメです。
百人一首の朗詠や暗唱をはじめる前に
著者:講談社(編)、高田 文夫(監)、石崎 洋司(文)、金原 瑞人(文)、もとした いづみ(文)、令丈 ヒロ子(文)
出版社:講談社
筆者の息子の場合は、Eテレで放送されている「にほんごであそぼ」の歌で、「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは」を覚えました。さらに、絵本で落語「ちはやぶる」も読みました。
歌や絵本だけではなく、「坊主めくり」などのゲームで百人一首のことを知ってから朗詠や暗唱をするのもいいですね。
わが家の百人一首の朗詠:取り組みのポイント
1.その日の歌を音読する
2.朗詠のCDを聞く
3.本を見ながらすらすら朗詠ができるように練習する
4.間違えないで言えるようになったら、動画を撮影する
5.ご褒美のシールを表に貼る
慣れてきてからは、CDは聞かずにすぐに朗詠をはじめるようになりました。動画を撮影したのは、息子がビデオに映るのが大好きだったことと、記録として残しておきたかったからです。ビデオに撮られるのが苦手な場合はやる気がなくなってしまうので、無理はしないようにしてくださいね。
朗詠は基本的には1日1首でしたが、調子のいいときは何首か続けたことも。また、やる気が出ない日や忙しくてできない日もあり、結局100首終わるまでには1年以上かかりました。
百人一首を覚える(暗唱)取り組み
朗詠の経験から、10首暗唱するごとに小さなプレゼントをすることにしています。また、筆者も一緒に取り組むことで息子の競争心に火がつきました。現在も、1日1首、朝と寝る前に取り組んでいます。前日までに覚えた歌も毎日繰り返し、定着させるようにしています。息子が1首を覚えるまでの時間は日に日に短くなっています。
百人一首の暗唱で学力や記憶力が向上する?
著者:杉田久信
出版社:祥伝社
著者の杉田久信先生は富山市の五福小学校校長時代に、全校で百人一首の暗唱を取り組んでいました。百首暗記した児童は国語力が高まり、テストの成績が伸びたそうです。また、百人一首の暗記が記憶力の向上にもつながったとのことです。
百人一首を百首覚えた子どもたちの自信は大きく、実際に記憶力は飛躍的に鍛えられています。事実、国語の教科書に載っているような長文を、ほんの数回読むだけで暗唱できる子が、どんどん増えています。
百人一首の意味はわからなくても大丈夫?
著者:藤子・F・不二雄(原作) 進学教室 浜学園(監) 三谷幸広(画) 佐藤友樹(指導)
出版社:小学館
ただ、言葉の意味を聞かれたときには答えられるようにしたいですよね。そこで、オススメなのが「ドラえもんの国語おもしろ攻略 百人一首で楽しもう」です。幼児や小学校低学年の子どもに、親が噛み砕いて歌の説明をするのを助けてくれますよ。
おうちで百人一首は親子で一緒がポイント
1日にたくさんの時間をかける必要はありません。1日1首ずつ、日本語の響きを楽しみながら、ぜひ親子で百人一首の朗詠や暗唱に取り組んでみてくださいね。