小学校入学前から数を言える子どもは少なくありませんが、「数を言える」ことと、「数の概念を理解している」ことはイコールではありません。「数の概念」を幼児にもわかりやすく伝えるには、おはじきを使うと便利です。具体的な方法をご紹介します。
「数を言える=数の概念を理解している」ではない
小学校に入学すると、まずは10までの数について、個数の数え方や構成などを理解し、「数を用いる」ことができるよう、算数の授業がはじまります。子どもが前向きに算数に取り組めるよう、就学前に「数字の概念」に触れる機会を作れると良いですね。
「数字の概念」を幼児に教えるときは、おはじきが役立ちます。家庭で簡単にできる、おはじきを使った数遊びには、次のようなものがあります。
数を正しく数える
いろいろなやり方がありますが、簡単なのは紙に数字を書き、その上におはじきを1つずつのせ、子どもと一緒に「いち、に、さん」と数をかぞえる方法です。数詞とおはじきが1対1で対応していることを、目や耳、手の動作で学ぶことができます。
余っているカレンダーがあれば、その日付の下におはじきを並べていくのも良いですね。
もっと数遊びらしくするには、卵パックを利用するのがおすすめです。
10個入りの卵パックのフタを取り、卵を入れる場所に1から10までの数を書いた紙を貼ります。「いち、に、さん」と子どもと一緒に数を数えながら、おはじきを卵パックの数字の順に入れていきます。
慣れてきたら、「おはじきを5個入れて!」と頼んでみたり、親がおはじきを入れたあと、「何個入ってる?」と子どもに聞いてみたりしましょう。「物を数える」良い練習になりますよ。
どちらが多い、少ない?
例えば、子どもが4個で四角を作り、6個を一列に並べていたら、「これはどちらのおはじきが多いかな?」と聞いてみましょう。
子どもは見た目の量で惑わされがちです。「なんとなく大きく見える」集合体の方を「多い」と感じてしまうこともあり、形が違ったままだと、正確に答えられないかもしれません。
その場合は、「それなら、どちらも一列に並べてみようね。これならどちらが多い?」と、数の大小がわかりやすくなるよう並べ替えをします。「きれいにそろったね。まずはこっちの列のおはじきの数を一緒に数えてみよう」と片方を指し示しながら、それぞれの列のおはじきの数を数えましょう。
2つの集合体の量を比較したいときは、物を1対1で対応させるとわかること、個数は数で表せることなどを遊びながら学べます。
いくつといくつ?
おはじきを並べて、子どもに数を数えさせます。最初は2〜3個から、慣れてきたら数を増やしてもかまいません。
親は両手でおはじきを持ってシャカシャカと振り、子どもにおはじきの数が見られないよう、両手に分けて持ちます。
片方のてのひらを開いて、子どもにおはじきの数を数えてもらいます。「開けていない方のてのひらには何個あるかな?」とたずねて、子どもにおはじきの数を考えさせましょう。
このゲームを繰り返すことによって、「数の構成」を実感できるようになり、また瞬間的に数や量を把握する力も養われます。
半分こにしよう!
最初のうちはざっくりと目分量で分けて、「できた!」と言われてしまうかもしれません。その場合は、分けてもらったおはじきをそれぞれ一列に並べて、前述の「どちらが多い、少ない?」をやってみてください。
コツがつかめてきたら、「ママと、パパと、3人でわけっこしようか」と分ける人数を増やしてみましょう。何度もやっているうちに、「ママ、パパ、自分」と1つずつ順番におはじきを置いていけば平等になる、という考え方にも気付けるかもしれません。
これは「等分する」という割り算の基礎ですが、日常生活で頻繁に使われる考え方です。おはじきで慣れておくと、お菓子やケーキなどを分けるときにも、「お菓子は全部で7つあるから、3人で分けたら1人2つずつ食べられる。最後に1つ余る」という数字を用いた考え方ができるようになっていきます。
赤のおはじきは何番目?
数は、ものを数えるときだけでなく、順序や位置を表すときにも使われるということを学ぶことができます。
おはじきを縦に並べたり横に並べたりすれば、「上下左右」の感覚も鍛えられます。
「5つ」は量、「5番目」は順番、ということは、言葉だけで説明すると難しいですが、おはじきを使うことで理解しやすくなりますよ。
おはじき遊びは小学校の算数の準備になる!
おはじきで自由に遊びながら、少しずつ数遊びを取り入れてみると、子どもも自然と数に親しむことができます。キラキラと光るおはじきを並べたりはじいたりするのは、親も子どもも、どこかわくわくするものです。一緒に楽しみながら、子どもの数のセンスを鍛えてあげたいですね。