東京都が、都内に住む子育て世帯の実態を明らかにするための調査を行いました。その結果、家事と育児の分担に不満を持つママが多い一方で、6割以上のパパがもっと家事育児に関わりたいと思っている現実が明らかになりました。その原因と今後の課題について、調査結果とともにご紹介します。
東京都による「福祉保健基礎調査」とは?
【調査期間】
2017年10月11日~11月10日
【調査対象者】
東京都内6,000世帯の親や祖父母など、合計10,800人の養育者
【有効回答数】
3,861世帯(回収率64.4%)、6,730人(回収率62.3%)
共働き世帯が増加
ママの最も多い就業状態が「正規の職員・従業員」となったことから、女性の積極的な社会進出を裏付ける結果となりました。これに伴い、ママの就労時間が増えていることがうかがえます。
夫婦の家事・育児の分担割合~理想と現実~
「配偶者が子育てに協力してくれないと思う」の質問に対し、「よくある」「ときどきある」を合わせた割合は、パパが3.2%、ママは36.7%となり、ママの方が33.5%高くなりました。
理想と現実でギャップがあるという共通認識があるものの、パパに対して不満を持っているママが多いことがうかがえます。
6割以上のパパが「家事育児をもっとやりたい」
家事や育児を「もっとやりたい」「やってほしい」と回答したパパママにどうすれば可能かという質問に対し、「(父親の)勤務時間が短縮できれば」と回答したパパが67.7%、ママが56.9%といずれも最も高くなりました。パパが家事や育児ができないのは、長時間労働が原因であるところが大きいようです。
しかし、ママが回答した「配偶者自身(父親)の意識が変われば」も同率で1位だったことから、長時間労働だけが原因であるとは言い切れないことも事実です。
子育てには勤務時間の調整が必要
さらに、「調整は十分できたと思うか」に対し「いいえ」「どちらとも言えない」と回答したパパママは、その理由として双方ともに「勤務先で制度が整っていなかった(いない)から」の割合が最も 高くなりました。次いで「職場全体として、取りづらい雰囲気があった(ある)から」と続きました。
勤務時間の調整は、ママの方に負担がかかっている現状がうかがえます。また、調整が十分できたパパママは約半数にとどまり、勤務先での制度や職員の受け入れ態勢が不十分であることが浮き彫りになりました。
子育てをしやすくするために必要なもの
次いでパパママともに、「子育てに理解のある職場環境の整備」「仕事時間を短縮したりずらしたりする制度」と続きました。勤務時間を柔軟にするなど、「働き方改革」のさらなる推進を願う声が多いことがわかります。
早急に環境づくりの整備を……
積極的に関わりたいと思っているパパが6割以上を占めることから、勤務環境を変えるための施策づくりが急務となっています。もちろん、パパの意識を変えることも必要です。
東京都は調査結果を受け、子育て世帯の福祉施策を充実させることを目的としています。課題の多い実態をふまえ、各自治体と国などが連携し、子育て世帯が働きやすい環境づくりを早急に進めることを願います。
なお、東京都による「福祉保健基礎調査」では、今回ご紹介した内容以外にもたくさんの調査結果を発表しています。興味のある方は参考にしてみてください。