子育て中の家族にとって、引っ越しの際の大きな関心事は、お子さまの転園や転校ではないでしょうか?筆者の住むオーストラリアでは、日本以上に転校は珍しくなく、筆者の子どもも転校した経験があります。オーストラリアの学校では、転入生に対しどんな対応を取るのか?を紹介します。
海外では子どもの転園・転校は珍しくない?
お子さまのいる家庭なら、転園や転校がつきものですね。特に転校となると、「新しい学校の学習内容についていけるかな?」「持ち物は何を揃えたらよいのだろう?」「お友だちはできるだろうか?」など、親子共々心配ごとが多くなります。
ところで、海外では日本以上に転職が多いといわれますが、よりよいポジションのオファーを得たために引っ越すことは、さほど珍しくありません。筆者の住むオーストラリアでは、国内だけでなく、国外から仕事目的でやってくる移民も多いです。
そんなオーストラリアでは、転入生はどのように新しい学校になじんでいくのでしょうか?新しい環境に生徒がスムーズになじめるよう、特別なケアが行なわれているのでしょうか?
初日から普通に授業に入って行く
もちろん、アレルギーや家庭環境、持病などに対し、事前に学校と親で話し合いがあり、それに合わせた対応はしっかりと取られます。が、「転校生が慣れるため」に特別なことは行われません。初日から教室に入って普通に授業を受けます。
新しい環境に入る子どもは、誰でも不安や緊張を感じています。先生はそれを理解し、温かく迎えてくれます。通常のクラス運営をしながらも、新しい場所で戸惑う子をサポートできるのは、クラスの人数が少ないためでしょう。
オーストラリアの小学校では、1クラスの生徒数は20人前後、低学年の場合はさらにアシスタントの先生が付きます。
クラスの子どもたちも、新しい子には声をかけ、遊びに入れてあげます。新しいメンバーに対し、子どもは自然と好奇心を示します。また、転入生に限らず、「困っている子がいたら助けてあげる」ことが大切な態度だと、学校の中で日々教えられていることも大きいでしょう。
そのような環境が、結果的に転入生の不安を早く取り除きます。
同じ内容をくり返す学習カリキュラム
オーストラリアの学校教育の特徴として、「同じテーマを、次の学年でも繰り返し学ぶ」という点が挙げられます。
同じテーマについて、過去の内容を復習しながら、学年ごとに少しずつ難易度が上がっていきます。「習ったところ」と「習っていないところ」の境目がハッキリ分かれないため、学校が変わっても学習内容のギャップを感じることがあまりないのかもしれません。
また、過去の記事でも書きましたが、オーストラリアでは「国が決めた教科書」というものが使われません。そのため、「教科書のこの単元まで学習した」というようなものがなく、「遅れている」「進んでいる」といった考え方がありません。
オーストラリアの学校は教科書を使わない?日本の学校との違い
親が送り迎えをする文化
転入してきた場合も、慣れるまで親が送り迎えしてくれることは、子どもにとっては心強いことかもしれません。また、先生と親、互いに顔がわかればコミュニケーションも取りやすくなります。
このような習慣は、子どもの不安を和らげ、学校にとっても家庭にとっても「スムーズな転校」に役立っていると筆者は感じます。
最後に
日本の場合、転校は「子どもがかわいそう」などのネガティブなイメージでとらえられることもありますが、こちらではそういう意識は感じられません。
本来、生きる中で「住む場所が変わる」「所属する組織が変わる」ということは、誰にでも起こり得ることで、特別な出来事ではありません。そして、最初は誰でも不安ですが、必ず慣れるときがやってきます。
転校するお子さまに対し家庭でできることは、不安をありのまま受け止め、かつ「新しい世界が広がる」というポジティブな点を話してあげるとよいのではないでしょうか。
また、もしもお子さまのクラスで新しい転校生を迎えたときは、「親切にしてあげようね」と、親子で話しあえるといいですね。