東京都は、食中毒予防に関する認知や実践の実態調査を実施。その結果、普段の食事で、食中毒を気にかけている人は少なく、予防法を誤解している点も多いことが明らかに。また、子どもへの食中毒予防の教育も不充分ではないかという指摘があります。注目点を解説します。
「家庭における食中毒予防に関する調査」とは
【調査対象】
都内在住の20歳~79歳の男性女性
【調査方法・回答者数】
・予備調査・・・3,000人、Webアンケート
・グループインタビュー・・・各グループ(20~30代、40~50代、60~70代)男性2名、女性4名の計6名で構成
・本調査・・・週に1回以上自宅で調理をする1,000人、Webアンケート
「家庭における食中毒予防に関する調査」の結果|東京都
どのくらいの人が家庭で食中毒にかかっているの?
また、本調査(週に1回以上自宅で調理をする人対象)で、食中毒の経験があると回答した人のうち、最も多かったのは「飲食店での外食・出前」で44.6%。ですが、「家庭で調理したものが原因」と回答した人も、30.5%にものぼりました。
厚生労働省が発表する食中毒統計資料によると、報告されている年間食中毒件数は、平成29年度は1014件、患者数16464人、そのうち家庭で起きたのは100件で9.9%です。が、死者も出ているのでけして軽視はできないのではないでしょうか。
日本で食中毒にかかる人は年に何人?:農林水産省
普段の食事で「食中毒」を気にかけている人は少ない!?
また、「賞味期限」を常に見ている人は 82.9%、「消費期限」では 80.2%ですが、それを守っている人 は「賞味期限」で 26.3%、「消費期限」で 42.6%という結果なのも気になりますね。
カレー等が残った場合、家庭で調理している人の40.5%が「小分けして冷蔵又は冷凍」で、28.3%が「鍋のまま冷蔵」を答えていますが、「鍋のまま常温」で保管するという回答も17.9%あります。
さらに「作った鍋のまま、常温保管」する人のうち、29.6%が少なくとも3日後まで食べていたそうです。
「生もの」「夏場」が食中毒の重要ポイント?
しかし、「食中毒は、夏場の発生件数が多い」は、必ずしも正しいとはいえない情報ですが、正しい情報であると回答した人が50.8%となりました。
昔は、寒い季節は食中毒が発生しにくいという認識が一般的でしたが、寒い方が起こりやすいウイルス性の食中毒もあることが明らかに。また、冬でも暖房で室内が温かければ、細菌が繁殖しやすいので、細菌性の食中毒にも注意が必要です。春や秋でも、自然毒の食中毒が多く起こっているので、年中警戒は必要なのです。
若い年代ほど食中毒への意識が低い傾向にあり!
一方、40~50代では「賞味期限を確認する」「衛生基準が厳しそうな店で買う」となり、60~70代では「食品の管理が安心できる店で買う」「賞味期限・消費期限をみる」という回答が得られています。
年代が高くなるにつれて、深く多角的にみていることがわかりました。
誤解多し!食中毒予防に効果があると思っていること
「酢や梅干しを入れることで食中毒予防に効果がある」「刺身を食べるときは、殺菌のため、わさびをつける」と認識している人は約80%ですが、効果を過信しすぎている可能性があるのでは、と指摘されています。
また、「残った食品を温め直す時は、食べごろになるまで加熱する」について、食中毒予防に絶対に必要と誤解し、実践している人は全体の49.2%にものぼるそうです。
家庭での食中毒予防は「トイレの後に手洗い」が最も多い!
食品の購入時では「消費期限・賞味期限を確認する」、弁当は「変な臭いがしたら食べない」、外食時は「おいしいと評判の店でも不衛生に見えたら入らない」がそれぞれ最も高い結果になっています。
性別でみると、男性よりも女性の方がすべての項目で取り組んでいる割合が高く、特に「トイレの後に手洗いをする」は、男性約60%に対して、女性は約80%と大きな差がありました。
手洗い以外に家庭で教えたい食中毒予防とは?
しかし、菌を増やさない、やっつけるための対策(冷蔵や冷凍の必要な食品は冷やして保存する、肉は中心までよく加熱する)を教えているのは、約30%にとどまりました。
ただし、少なくとも、子どもに教えていることは、親自身も必ず行っている割合が高いことがわかりました。
最後に……
東京都福祉局では、食中毒を予防するための情報をWebサイトで公開しています。大切な家族を守るために、食の安全により一層注意し、健康な食生活を送りたいですね。