子どもが「夜泣きしない」「何でもよく食べる」などと、育児書で取り上げられることも多いフランスの子育て。では、叱り方についてはどんな方法がされているのでしょうか?フランスの学校で行われている、先生の叱り方について現地からご紹介します。
代表的な叱り方「ピュニ」とは?
学校でいけないことをした生徒への対処法で、最も知られているのが、「Puni=ピュニ(罰・お仕置き)」です。英語ではPunishment=パニッシュメントに当たりますね。
下校時には、子どもから「今日ピュニされた」先生から「今日ピュニしました」などと聞くことがときたまあります。
ピュニは「Au coin=オ・コワン!(隅へ行きなさい!)」と言われ、教室の片隅や先生の横などの場所(コワン)に一定時間立たされ、頭を冷やす時間を与えられること。アメリカなど英語圏の「タイムアウト」に近いですね。
学校だけでなく、家庭でもよくこの叱り方が使われます。わが家でも、悪いことをしたら廊下や違う部屋に連れて行き、数分一人にさせ落ち着かせることがあります。
フランス人がよく使う「権利がない」という叱り方
日本では叱る際に、禁止を表す「○○しないで」「ダメ」「いけません」などがよく使われますよね。フランスでも、禁止を表現する「Non(ノン)」が使われますが、そのほかに頻繁に登場する表現のひとつに「権利」という言葉があります。
よく耳にするのが、「Vous n’avez pas le droit de ○○(あなたは○○する権利がありません)」という言い回し。自然な日本語に意訳すると「○○してはいけません」というニュアンスですが、「○○してはだめ」という否定よりも、「あなたは○○する権利なんかないでしょ」という意味合いの叱り方をするのです。
小さい子どもに対して「権利」という言葉を使っても、意味を理解できないのではないかな?と思ってしまうのですが、そんな心配はされないようです。わが家のまだ言葉もうまく喋れない0歳の息子ですら、「あなたには○○に入る権利はない」などと、保育園の先生に諭されていました。
「革命を起こして、自分たちの「権利」を守ってきたフランスならではの表現・叱り方だなあ」とつくづく感心させられます。
理詰めな叱り方
たとえ子どもだとしても、理由を説明すれば理解することができるとして接します。
「どうして叱られているのか」「何がいけなかったのか」を、理路整然と伝えるのです。「子どもだから仕方がない」という容赦はありません。もちろん、幼い子どもだから間違ったことをしたり、判断を誤ったり、イタズラしたくなったりするということは承知の上。ただし、叱る際は子ども扱いせずに大人と同様に扱うのです。
フランスでの子どもへの叱り方は、まるで大人に対して諭すような、論理的な叱り方をしている印象を受けます。
大人も冷静でいられるフランス流叱り方
これ、実は大人が冷静になれるというメリットもあります。叱らないといけない状況では、大人もイライラしがち。
いったん子どもと距離を取ることで、【頭にカーッと血が上ってしまって大声で怒鳴り散らしてしまう】といったことも防げるのです。
最後に
感情的な叱り方はあまり効率的ではないし、親が冷静になって叱る方が子どもも何がいけなかったかということがわかるものなのに……。
フランスの先生たちの叱り方を参考に、子どもにとっても親にとってもWin-Winな、【叱らずに叱る】方法を身に付けている最中です。みなさんも、フランス流叱り方を参考にしてみてくださいね。