大人も子どもも、毎日、ネットやテレビなどのメディアを通して大量の情報を受け取っています。「窓をひろげて考えよう」は、わかりやすく情報との付き合い方を説明している絵本です。この絵本の内容から、情報に惑わされない親子になるポイントを紹介します。
情報と上手につき合えていますか?
子育てや教育で悩んだときなどに、ネットの情報に助けられたことがある人は多いと思います。その反面、日々、あまりにもたくさんの情報を受け取りすぎて、一体何が正しいのかわからなくなることもありますよね。そんなときに、情報との付き合い方のコツを知っていれば、気持ちがスッと楽になるのではないでしょうか。
絵本「窓をひろげて考えよう」を通して、情報の受け取り方を見直してみませんか?そして、子どもの情報について考える力を育ててあげましょう。
絵本「窓をひろげて考えよう」
著者:下村 健一・艸場よしみ(企画/構成)
出版社:かもがわ出版
「窓をひろげて考えよう」は、子ども向けのメディアリテラシーの説明をしているしかけ絵本です。著者は元報道アナウンサーの下村健一さん。
メディアリテラシーとは、流れてきた情報を自分でしっかりかみ砕いて受け取る能力のことをいいます。何だか難しそうと感じるかもしれません。けれども、下村さんは、小学校で何度も出張授業をしていることもあり、多少難しい部分もありますが小学校低学年でも楽しめる内容になっています。
本書は、8つの出来事をテーマにして構成されています。それぞれのページに「窓」のしかけがあり、それを開けることで同じテーマでも違った見方ができるようになっています。このしかけを使うことで、どのような視点で情報を受け取ればいいのかを読者が考えられるようになっているのです。
それではこの絵本で伝えている、情報の受け手が身につけたい力について、大きく2つに分けて説明します。
情報を読み解く力1:いくつもの視点から考える
テレビやネットでニュースを見聞きしたときに、ひとつの見方だけをしていないでしょうか?物事の側面だけを捉えてネガティブに感じていたことが、見方を変えることでポジティブになることもあります。
「窓をひろげて考えてみよう」では、人里にクマが出没したときなど4つのシチュエーションを例に、複数の視点から情報を見るためのコツを説明しています。
子育てをしていると「子どものため」は建前で、親の都合のいいように情報を受け取っていることがあります。本書を読んで、息子や夫など、さまざまな立場から考えてみることも大切だと改めて実感しました。
情報を読み解く力2:見えていない部分にも目を向ける
ひとつの情報に対して複数の見方をすることに加えて、本書では、切り取られて見ることができない情報を想像するコツも説明しています。
映像や統計のグラフなど、情報の一部だけで判断をしては正しく理解できないことがあります。たとえば本書では、過去の当選の記録がたくさん表示されている宝くじ売り場について取り上げられていました。当たりやすいといわれている売場で宝くじを購入すれば、当選への期待が膨らみます。けれども、たくさんの人が購入する宝くじ売り場は、当選した人以上に、はずれた人もたくさんいるわけです。
本当の情報にも見えている部分以外に、もっと重要なことが隠れているパターンがあるということを本書は教えてくれているのです。
子どもは一部の友達だけを見て「みんなが持っているからほしい」とか「みんながやっているからやりたい」と言うことがあります。筆者の息子も例外ではありません。この絵本を息子と一緒に読んで「みんな」について考えることができました。今後、息子が「みんなが……」と言ったときには、本書を例に出して「みんな」以外にも目を向けてみるよう促してみようと思います。
情報をしっかり受け止め発信できる親子に
ネット利用の低年齢化が進んでいます。本書を使えば、子どもにもわかりやすく情報やメディアの使い方を説明することができます。また、子どもが情報を発信する立場になったときに、他人を傷つけたり、嘘の情報を拡散したりするのを防ぐのにも一役買ってくれるでしょう。
本書で情報との付き合い方のコツを学んで、日常の子どもとの会話に応用していきましょう。