ラーニングピラミッドという言葉をご存知ですか?近年の教育現場でも盛んに取りざたされている、アクティブラーニングとも密接に関係した考え方です。今回はラーニングピラミッドとはどのようなものか、お子さまの知育や学習にどのように活かせるかをご紹介します。
ラーニングピラミッドとアクティブラーニングの違い
アクティブラーニングとは、講義のみの授業ではなく、子どもたちが主体的に授業に参加できる教育手法のことをいいます。一方、ラーニングピラミッドはさまざまな学習方法ごとの知識の定着率を、ピラミッドの図であらわしたもの。これはアメリカ国立訓練研究所の研究結果によるものです。
アクティブラーニングは、講義型の授業よりも効果的だといわれており、その根拠のひとつにラーニングピラミッドがよく取り上げられます。じつはこのラーニングピラミッドには、私たちの常識を覆す驚きの事実が示されていました。
ラーニングピラミッドで取り上げられた7つの学習法
・講義(授業をきく)
・読書(本・参考書などの書籍を読む)
・視聴覚(動画や音声等を利用する)
・実演を見る(実験などを見る)
・グループ討論(授業の中で話し合いをする)
・自ら体験する(自分で実験などをしてみる、問題を解く)
・他の人に教える(わからない友達に勉強を教える)
そしてこれらの項目を効果のないものから順に並べると、以下のようになります。横に示した数字は、学習の定着率です。
1.講義 5%
2.読書 10%
3.視聴覚 20%
4.実演を見る 30%
5.グループ討論 50%
6.自ら体験する 75%
7.他者に教える 90%
学校などで当たり前に行われている、講義形式の授業は学習の定着率がたったの5%という驚きの研究結果。これはいったいなぜなのでしょうか?
7つの学習法の定着率に違いが生まれる理由は?
それに比べ、グループ討論、自ら体験する、他者に教えるの3つは、どれもコミュニケーションが必要な活動や能動的な活動です。定着率の違いは「受動的な活動か、主体的・能動的な活動か」「他者とのコミュニケーションの有無」で生じると考えられます。
アクティブラーニングは先ほどもご紹介したとおり、能動的な教育方法のことをいいます。そのためアクティブラーニングが効果的な根拠として、ラーニングピラミッドが示されることが多いのです。
ラーニングピラミッドを利用した効果的な学習方法
子どもの話をじっくり聞く
子どもが話をしているときは、スマホを置いて真剣に聞きましょう。そして「どうしてそうなったの?」「それで?」などと相づちを打つこと。すると子どもは「自分の話に興味をもってくれている」とうれしくなり、もっと話したくなります。
また話の中で「そのときどう思ったの?」などと、さらに突っ込む質問をしてみてください。そのつど思考をめぐらせることで、頭を使うことになります。
会話は自分の知っていることを「他者に教える」、またパパママと「討論する」機会を与えてくれます。パパママとの会話を通し、新しい知識も増えていくでしょう。これは子どもが小さなうちから取り入れられます。お子さまと会話をするときには、意識してみてはいかがでしょうか。
今日やった学習内容を説明させる
このときも、時折質問を加えるのがポイント。質問に答えられなかったところは、パパママと一緒に調べてみると新たな知識を得ることにもつながります。また学習内容を説明させることで、理解していないポイントの確認にもつながるはずです。
パパママがお子さまの学習に興味を示すことで、「パパママにもっと教えてあげたい」と感じるお子さまもいるでしょう。この気持ちが、学習へのモチベーションアップにもつながるかもしれません。
インプットは楽しい方法で
お子さまが楽しんで学習できるよう、学習アプリや学習マンガを利用するなど工夫してみてはいかがでしょうか。学習意欲が増し、より主体的に学習に取り組むことができるかもしれません。
知識を得たあとは、問題集をやってみるなど能動的な活動をセットにすることで、より定着率を高める効果が期待されます。
ラーニングピラミッドを学習に上手に取り入れて
どんな学習方法も人によって相性があり、ラーニングピラミッドもまた、人によっては異なる結果が生まれるかもしれません。ただどんな学習方法を行うにしても、子どもの「やってみたい」という気持ちを引き出すことが重要です。
お家で知育や学習をするときは、お子さまのやってみたい気持ちを促す工夫をしてみてはいかがでしょうか。