さくらももこさんは、愛される作品をたくさん生み出してくれました。今回は、パパママだからこそ楽しめる作品を5作ご紹介します。育児の息抜きとして、ぜひ読んでみてください。ちびまる子ちゃんはじめ、さくらももこさんの名作を、いつか子どもたちとも一緒に楽しみたいですね。
これを読まなきゃはじまらない『ちびまる子ちゃん』
著者:さくらももこ
出版社:集英社
さくらももこさん作品を語る上で外せないのが、彼女を代表する作品ともいえる『ちびまる子ちゃん』シリーズ。テレビアニメでもお馴染みの、ほのぼのとした世界観に加え、原作漫画ではまる子の「毒々しさ」も感じられる、味わい深い作品です。
第1巻の第1話は、1学期最後の日。第2話では夏休み最後の日が描かれていて、1学期最後の日に大荷物で帰ったり、夏休み最終日に宿題に追われたりする姿には、自分の子ども時代を思い出してクスッとしてしまうはず。近い将来、自分の子どもも同じ経験をするのかと想像する喜びもあります。
また、12巻には、人気漫画『コジコジ』のキャラクターがゲスト出演し、未来のまる子に会いに行く話があります。そこでのやり取りは、親となった今だからこそグッとくるもの。「おかあさんになるってどういう感じ?子供のために人生捧げるって感じ?」と聞かれた未来のまる子は、「冗談じゃないよ わたしの人生はわたしのものだよ この子の人生とは別モノだからね でも仲よくしていきたいね」と答えます。私は、親となって改めてこの言葉を見て、気づかされることが多かったです。
小さい頃はギャグマンガとして楽しく読んでいましたが、おとなになった今読むと、またたくさんの気づきがあるはずです。世代を超えて楽しめる名作なので、将来、自分の子どもも『ちびまる子ちゃん』を読むのかな…と思うと、それもまた楽しみですね。
初エッセイでベストセラー『もものかんづめ』
著者:さくらももこ
出版社:集英社
さくらももこさんは漫画家としてのイメージが大きいと思いますが、エッセイストとしても数々の名作を生み出しています。軽妙な語り口と、独特の視点で世界を切り取る発想力は、「現代の清少納言」と評されるほど。
といっても、堅苦しいものではなく、内容は抱腹絶倒。吹き出してしまうこと間違いなしなので、電車の中などで読むのはおすすめしません。「ちびまる子ちゃん」とは違う実際の祖父の姿など、ちょっとした毒っぽい裏話もありますが、それ以上にさくらももこさんフィルターを通して見る世界がおもしろいです。
今回読み返したところ、学生時代に読んだ記憶が蘇り、とても懐かしい気持ちになりました。さくらももこさんの作品を通して、過去の自分を振り返るパパママ世代の方も多いのではと思います。
ちびまる子ちゃんの裏側が見られる『あのころ』
著者:さくらももこ
出版社:集英社
数々のエッセイを出版されているさくらももこさんですが、幼い日々を回想した『あのころ』は、ちびまる子ちゃんのアナザーストーリーともいえるような位置づけ。ちびまる子ちゃんに出てきた数々のエピソードも登場するので、合わせて読むと一層面白いです。
ちびまる子ちゃんの時代(1974〜75頃が主)ですから、自分の子ども時代とは背景が違うのですが、家族で笑いあった記憶や、お祭りに行くときのワクワクした気持ち、夏休みの宿題で苦労した記憶、友だちと遊んだ思い出などが鮮やかに蘇ってきます。1話1話も短いので、移動時間や寝る前に読むと、癒やしの時間になるのではないでしょうか。
『まる子だった』『ももこの話』と、子ども時代を振り返るエッセイシリーズはどれも秀逸なので、ぜひ手にとってみてください。
妊娠出産を振り返る一冊『そういうふうにできている』
著者:さくらももこ
出版社:集英社
さくらももこさんがご自身の妊娠・出産の時期を記したエッセイは、読みごたえがあります。妊娠や出産に関するエッセイは、キラキラした内容のものも多いですが、そうではないのがさすが、さくらももこさん。どん底でバカバカしいギャグを考えてた悪阻期や苦しい便秘の話など、「あるある!」がたくさん詰まっています。
帝王切開による出産後、予想していたような「出産後の大感動」が起こらない自分に対しての冷静な考察は、同じ悩みを抱えた経験のある人には救われる部分もあるかもしれません。
誰が読んでも楽しめる作品ですが、子どもを持つパパママだからこそ共感できる1冊だと思います。私は妊娠中に読んだのですが、出産に備えて固くなっていた気持ちをほぐしてくれた思い出の1冊です。
さくらさんと旅へ『ももこの世界あっちこっちめぐり』
著者:さくらももこ
出版社:集英社
さくらももこさんが世界の各地を旅行したときのあれこれを綴ったエッセイ『ももこの世界あっちこっちめぐり』。スペイン、バリ島、アメリカ、ベニス、パリなどの面白おかしい旅行の様子が味わえます。
単なる旅行記ではなく、着眼点が面白いのも一読のポイントですが、イラストと写真が満載で、目でも楽しめるのが嬉しい!子どもが小さいと、なかなか海外旅行に行くのは難しいですが、このエッセイを読むと、一緒に旅行をした気分を味わえますよ。
パパママの息抜きにもぴったり
子どもや若い世代が楽しめる作品であるのはもちろんですが、親となった今だからこそ共感したり、楽しんだりできる部分も多いです。また、軽妙な語り口のエッセイは、気軽に読むことができますし、なにより笑える内容も多いので、育児や仕事の疲れを癒やしてくれるはずです。
今回ご紹介した本を中心に、さくらももこさんの著作に触れ、独特で温かい世界観を楽しんでください。私たちがさくらももこさんの作品を愛している限り、さくらももこさんは永遠に生きていらっしゃるような気がします。