小中高・公立で東大に現役合格できた娘ですが、小さい頃は「図鑑」をよく見ていました。絵本と違い、図鑑は「お勉強」のイメージが強いですが、写真やイラストがいっぱいなので、好奇心を持って自ら読んでくれます。図鑑のメリットやオススメを紹介します。連載8回目です。
娘の意外なお気に入りは『植物の図鑑』
娘には幼い頃からさまざまな絵本を与えてきて、筆者の思惑通り(笑)、とても本好きな子に育ってくれました。最近になって「小さい頃、特に好きな絵本って何だった?」と聞いてみたら、『もこもこもこ』『ぐりとぐら』など定番の人気絵本に混じって、意外にも『植物の図鑑』という答えが返ってきました。
「写真がきれいで、いろんな花の写真を見るのが面白かったんだ。一人で部屋にいるときによく見てたから、今でも結構覚えてるよ。世界最大の花、ラフレシアとか」と楽しそうに話す娘を見て、驚いてしまいました。なぜなら、筆者自身は、よく図鑑を見て欲しいとは意識していなかったからです。
確かに、娘が幼い頃、身近な自然に興味をもってほしくて『植物の図鑑』と、季節の行事なども載っている『きせつの図鑑』を買った覚えはあります。でも、特に読み聞かせもせず、本棚に入れておいただけ。それでも思い返してみれば、娘はよくその図鑑をパラパラと眺めていました。
東大生を育てた母親の体験記などを読むと、図鑑はシリーズで全巻揃えた、という話もよく出てきます。娘から同級生の話を聞いてみても、「家に図鑑がたくさんあった」というご家庭が少なくないようです。
そういえば、筆者の幼なじみで、家に百科事典の全集が揃っていた男の子がいたのですが、彼も東大に進学しました。
図鑑が子どもの知的好奇心を育む
著者:瀧 靖之
出版社:文響社
『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』の著者、瀧靖之教授は、図鑑のメリットとして「現実とバーチャルの結びつけがしやすい」ことを挙げています。
たとえば、虫の図鑑や星の図鑑を見て、外に出ればその図鑑で見たものがすぐ目の前に広がっている。虫を実際に触ることもできる。すると、子どもは目の前の世界にどんどん興味を持つようになるんだそうです。
「賢い子に育てたいなら好奇心を育てる、好奇心を育てたいなら目の前に広がっている世の中に興味を持たせることが大事なんですよ」と瀧教授は言います。好奇心が高い子は、好きだから、知りたいから勉強するようになるので、ずっと伸び続けることができるんだそう。親がうるさく言わなくても、「自分から勉強する子」になるんですね。
その入り口になるのが、図鑑というわけです。
脳医学者が16万人の脳画像から見た「賢い子」に育てる究極のコツとは? – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
図鑑をうまく使って、子どもの無限の力を引き出そう
図鑑は「動物」「魚」などのテーマごとに詳細な情報や豆知識などがまとめられているので、興味を深く掘り下げていくのにも大いに役立ちます。
お子さまが興味を持った分野があったら、思い切って、その分野の図鑑を複数揃えてみるというのも面白いでしょう。たとえば「宇宙」が好きなら、いろいろな出版社から出ている「宇宙」をテーマにした図鑑を片っ端から買ってみるのです。
テーマが同じでも、図鑑によって切り口やまとめ方はさまざまです。その違いが、さらにお子さまの知的好奇心を刺激してくれるかもしれません。子どもは自分の好きなことにハマると、大人の想像をはるかに超えるような力を発揮するもの。娘の友人で「飛行機」にハマっている男の子がいましたが、彼は機体のパーツに至るまで何でも知っていて、先生にも一目置かれていました。
最近は図鑑ブームもあり、昔ながらの「調べる図鑑」だけでなく、斬新な切り口で「読んで楽しめる図鑑」も増えています。書店に行けば話題の図鑑が平積みになっていて、大人でも思わず手に取ってみたくなりますよね。「娘が小さい頃に、こんな図鑑があればよかったのに!」と思うこともしばしばです。
もっと図鑑を活用すればよかった、という筆者自身の反省もこめて、オススメしたい図鑑シリーズをピックアップしたので紹介します。
「小学館の図鑑NEO」シリーズ
著者:門田裕一(監・文)、 畑中喜秋(執筆)、 和田浩志(執筆)、 岡田比呂実(執筆)、松岡真澄(画)、斎藤光一(画)
出版社:小学館
「3歳から高学年まで、長く使える本格図鑑」というキャッチコピー通り、写真やイラストが豊富で小さいお子さまでも楽しく眺めることができますし、情報量も多いので高学年のお子さまが調べ物をするときにもしっかり対応できます。筆者が娘に購入したのもこちら。
DVD付が全12巻、図鑑のみが全11巻とラインナップも豊富で、「危険生物」「科学の実験」など、ちょっと変わったテーマがあるのも楽しめます。
著者:白數哲久(監)
出版社:小学館
さらに小さなお子さまと親子で楽しめる「プレNEO」シリーズも、わかりやすい解説で定評があります。
「ポプラディア大図鑑WONDA」シリーズ
著者:寺山 守(東京大学農学部講師・博士[理学])(監修)
出版社:ポプラ社
全国の小・中・高等学校約35,000校で採用されている総合百科事典「ポプラディア」から派生した図鑑です。文科省の新学習指導要領にも準拠しており、調べ学習や自由研究などでも使いやすいよう工夫されています。
シリーズは全16巻。ラインナップは定番ですが、類書と比較して掲載種類数が多いのが特徴です。
「新ポケット版 学研の図鑑」シリーズ
via amazon.co.jp
著者:藤井旭(監修)
出版社:学研
「図鑑をそろえたいのはやまやまだけど、置き場所に困る……」という方にオススメなのが、こちらの学研のシリーズです。約19×12cmとコンパクトで、1,037円とお手頃価格。シリーズは全部で21巻とラインナップも充実しています。
お子さまが興味を持つかどうかをとりあえず試してみたいという方も、これなら手に取りやすいでしょう。
コンパクトサイズなので、旅行やお出かけに持って行きやすいのも魅力的。お子さまと一緒に、気軽に自然観察が楽しめそうです。
「くらべる図鑑」シリーズ
著者:加藤由子、林 一彦、冨田幸光、渡部潤一、室木忠雄、江口孝雄、中村 尚、横倉 潤、木津 徹、小松義夫(全て監修・指導)
出版社:小学館
近年、新しい切り口が魅力の「テーマ型図鑑」が人気を博していますが、その先駆けとなったのがこの「くらべる図鑑」です。上にも紹介した小学館の図鑑NEOの関連シリーズのひとつです。
さまざまなもののサイズや能力、特徴を比較し、それを迫力あるビジュアルで見せる斬新さが話題となり、シリーズ累計120万部超という異例のベストセラーとなっています。大人もハマる面白さで、図鑑初心者のご家庭にもオススメです。
家族みんなで楽しもう
図鑑といっても、それぞれに違った特長や魅力があります。
お子さまを図鑑好きにしたいと思ったら、まずは親自身が図鑑を楽しむのが一番の早道です。親子で楽しめそうなテーマを探して、一緒に図鑑を眺めてみてください。
ストーリー性のない図鑑だからこそ、開いたページの内容をネタに、さまざまな会話を繰り広げることもできます。ぜひ、ご家族みんなで気軽に楽しみながら、お子さまの知的好奇心を育んでいってくださいね。