2019年09月01日 公開

【体験談】海外留学は語学学校と交換留学、どれがおすすめ?メリットや効果の違い

グローバル化が進み、将来、子どもの海外留学を考えている人も多いでしょう。留学のタイプや計画の立て方、それぞれの留学の効果、幼少期からの準備、陥りやすい失敗など、語学留学を経験した筆者が体験を交えてご紹介します。

グローバル化が進み、将来、子どもの海外留学を考えている人も多いでしょう。留学のタイプや計画の立て方、それぞれの留学の効果、幼少期からの準備、陥りやすい失敗など、語学留学を経験した筆者が体験を交えてご紹介します。

海外留学のメリット

 (117959)

TAGSTOCK1 / Shutterstock.com
さまざまな英語学習法がありますが、極論すれば英語力は英語に触れている時間の長さに比例します。ちょうど赤ちゃんが日本語を修得していく過程と同じ、と考えるとわかりやすいでしょう。

その意味では、最近人気のスカイプを使った英会話教室でも、英検受験のための勉強でも効果はあると思います。とはいえ、そうした学習法を、モチベーションを高く保って継続することはなかなか難しいもの。

その点、一定期間、海外で生活し、英語漬けになることで英語の思考回路に切り替えることができる海外留学は、やはり英語習得のための最もてっとり早く、効果的な手段です。言語は人が社会生活をするための道具である以上、英語が使われている国で生活しながら、その国の文化の中で英語に触れ、「こういうときはこう言うんだな」「こういう人がこういう言い回しをするんだな」ということを肌で感じられるのは大きなメリットといえます。

お子さんが英語習得を目指しており、それができる環境にあるならば、一度は海外留学を経験してみることをおすすめします。

【3つのタイプ別】海外留学のポイント

 (117960)

TierneyMJ / Shutterstock.com
留学には、大きく分けて3つのタイプがあります。一つは、海外の高校や大学を受験して入学するもの、もう一つは、日本の学校に通いながら、その学校の交換留学プログラムを利用するもの、最後に、日本で通っている学校を休学するなどして現地の語学学校に通う語学留学です。それぞれの主な特徴はこちら。

【海外の高校や大学に入学】
・国際社会で活躍するときに役立つ学歴や仲間が手に入る
・まとまった期間、留学することで確かな語学力や海外で通用するコミュニケーション力が身につく
・入学には高い英語力が求められるため、しっかりとした準備が必要

【日本の高校や大学の交換留学プログラムを利用】
・日本の学校に通いながら、サマースクールや1学期、1年間など、決められた期間で比較的手軽に留学できる
・必要な学費は日本の学校分だけで、提携校への学費は免除されることも多い
・単位の互換性があれば、留年せずに日本の大学を卒業できる場合もある
・学校代表として派遣されるため、英語力にも学内の募条件が決められている

【語学学校】
英語に自信がない人でも挑戦できる
・学校は英語のレベル別のクラスなので、語学力不足による脱落はしにくい
・さまざまな国籍や年齢の留学生と一緒に学ぶことができる
・途中で学校やクラスを変更するなど、自由度が高い

海外の高校や大学に入学したいなら計画的な準備が必要

 (117961)

Rawpixel.com / Shutterstock.com
子どもに海外の高校や大学に入学してもらいたいという場合は、学校の情報集めをはじめ、英語での授業についていけるだけの語学力を身につけ、TOEFLなど英語試験を受けるといった、計画的な事前準備が必要です。いきなりアメリカやイギリスの大学に入学するとハードルが高いので、その前のステップアップとして短期でサマースクールや語学学校に通い、海外生活に慣れておくという人もいます。学習計画、資金計画を含め、親が関わりながら年単位の事前準備を進めていく必要があるでしょう。

日本の学校に入学し、交換留学プログラムを利用するなら、長くても1年程度なので、海外生活の経験まではなくてもがんばれるかもしれません。交換留学プログラムはすべての大学にあるわけではないので、大学や学部を選ぶときに調べておくこと。つまり、大学での交換留学プログラムに参加したい場合、具体的な準備は遅くとも大学受験時から始められるとベストです。

語学学校のメリット

 (117962)

ANNA MURASHOVA PHOTO / Shutterstock.com
筆者は大学2年生のときに叔父がイギリス赴任となり、頼れる人がいたタイミングで、下準備が少なくて済む、語学学校への留学を経験しました。親子ともに昔から留学希望があったわけではないのですが、大学の国際文化学部に入り、社会学や文化人類学などを学び始めたことで、外国にはどんな文化があり、そこに住む人はどんな考え方をするのか、とても興味が沸いた頃でもありました。国立大学に通っていたため、休学中の学費は払わなくてよかったことも後押しに。

語学学校の一番のメリットは、子どもが「行きたい!」と思ったときにすぐに行ける、自由度の高さです。叔父の赴任先の近くで語学学校を探し、ファックスで申込みをして、大学に休学届けを出し、あっという間に留学が決まりました。

楽しいほうが英語は学べる!

 (117963)

Riccardo Piccinini / Shutterstock.com
語学学校がよかったなと思うのは、楽しかったこと。世界中から若者だけでなく、キャリアアップや生涯学習目的の人など、幅広い人が通っているため、会話するだけでも新鮮で楽しかった覚えがあります。大学と違って厳しい課題もない分、放課後には近隣の観光地に出かけたり、皆で地元のパブを訪れたりといった学校のイベントに頻繁に参加し、クラスの隔てなく友人を作り、いろいろな経験をすることができました。

筆者の場合、最初はイギリスの語学学校でしたが、旅行で訪れたアイルランドが気に入ってしまい、叔父の元を離れてアイルランドの学校に変更。今思えば、ずいぶん身勝手な話ですが、イギリスの語学学校の校長も「楽しいほうが英語は身につくよ」と言っていましたし、私もそうだと思います。友人ともっといろんなことを話したい、もっといろんな経験をしたいと思うことが、英語学習のモチベーションになるからです。

長期の語学学校は試験対策コースを選ぶ

 (117964)

Jacob Lund / Shutterstock.com
しかし、この自由度の高さこそが、語学学校のデメリットでもあります。語学学校の授業は、ロールプレイングゲームを通して会話を練習するといった、フランクなものが中心。若者は吸収が速いですから、こうした授業が刺激的なのはせいぜい3カ月程度でしょう。それ以上いるなら、試験対策コースを選ぶべきだと思います。

日本の大学生は文法力がありますので、筆者も一般クラスではすぐに上級クラスになりました。しかし、試しにケンブリッジ英語検定対策コースに変更してみると、一般クラスとはレベルが違うことに気づきました。進学や就職のために試験を受験する留学生が集まっていますし、学校側も実績となるため、真剣度が違うのです。試験対策をする中で、文法の理解度の甘いところや、英語での文章力の弱さに気づき、弱点をつぶしていく勉強ができたことで、レベルアップできたと思います。

語学学校VS交換留学、英語力の成果の比較

 (117965)

Pressmaster / Shutterstock.com
筆者と同じ日本の大学・学部で、交換留学プログラムを利用して1年間アメリカの大学に通った友人がいました。留学前の英語力はほぼ同じ。留学後の英語力を比較してみましょう。

【語学学校(筆者)】
・留学期間…約8カ月
・ケンブリッジ英語検定アドバンス(CAE) 合格
・帰国1年後のTOEIC 860点

【大学交換留学(友人)】
・留学期間…約1年
・帰国直前のTOEIC 920点

TOEIC、負けた…!と思いました。友人曰く「アメリカの大学に留学したら、このくらい普通だよ」 だそうです。当時のTOEICはアメリカ英語が主流でしたし、筆者が受験したのは帰国してから1年以上後で、対策もまったくしていませんでした。さらに、ケンブリッジ英語検定はマークシートではなく、文章構成やスピーキングも問われるので、レベルが高い試験だと思います。とはいえ、ちょっと悔しかったので、筆者は第二子を出産したとき、対策をしてTOEICを記念受験し、980点をとりました。そんな後日談付きではありますが、語学学校でも大学でも、本人が努力すれば、身につく英語力にそれほど大差はないといえるでしょう。

留学先はどこを選ぶ?

 (117966)

AnemStyle / Shutterstock.com
ちなみに筆者は、夏休みの短期をあわせると、マルタ共和国、イギリス、アイルランド、オーストラリアの語学学校に行った経験があります。それぞれ、英語のアクセントはかなり違いますが、個人的な意見を言えば、1年程度までの短期であれば、どこであろうと英語であることに変わりはありませんし、誤差の範囲です。

それよりも、お子さんが安心して通える治安のいい環境である、好きな国で楽しく過ごせる、頼れる親戚がいるなど、精神面をサポートできる国や場所を選ぶことをおすすめします。アメリカ、イギリスのほか、カナダやスイスも人気があるようです。

ホームステイがストレスになる生徒も多い

 (117967)

paikong / Shutterstock.com
短期では特によく利用されるホームステイですが、英語というハードルに加えて、他人と生活をすることが初めてである場合、生活自体がストレスになってしまう場合も多いです。「トイレの蓋は閉めるように」「お風呂から上がるときはシャワーで浴室を流してほしい」など、ホストファミリーから細かく生活習慣を注意されて、ストレスを抱えている友人もいました。ストレスがあると、英語力も身につきにくいですし、実力を発揮できません。

ホストファミリーとの相性が悪い場合は、ホームステイ先の変更もできます。しかし、基本的な生活習慣を身につけておく、何か言われても動じずに大人と交渉できる力をつけるなど、英語力以前の側面も日頃から鍛えておけるとよさそうです。海外では学生同士でアパートをシェアすることも多いので、あまりストレスになる場合は早めにアパートを検討してみるのもいいでしょう。

幼少期からの英語の早期教育は必要?

 (117968)

wavebreakmedia / Shutterstock.com
留学経験はあっても、筆者は自分の英語力をネイティブ並みだとは思っていません。ただ、自分自身を振り返ると、幼少期から英語の早期教育を受けていなくても、子どもが成長して、自分で興味を持って勉強すれば、ある程度までは身につけることができると言えます。ただ、日本語とまったく同じレベルで使える、完璧なバイリンガルを目指したいなら、幼児期から英語を勉強し続けていると違いが出るのかな、と思うことはあります。

とはいえ、子どもが自主性を持つ前から、どこまで親主導で勉強させるべきか、というと悩ましいところ。言語力は、使わないとすぐに落ちます。つまり、幼少期から始めても、やり続けないと意味がなく、そのためには子ども自身のやる気が不可欠なのです。

ちなみに筆者は、同年代にオーストリア人と日本人のハーフのいとこがいました。小さい頃に会ったのは数回ですが、一緒に楽しく遊べたことが、その後の英語への興味につながっていることは間違いありません。そういう意味では、早期教育とまではいかなくても、生きた英語に触れる機会を作ってあげることは大切だろうと思います。

留学は目的意識を持って計画しよう

 (117969)

Tom Wang / Shutterstock.com
英語はツールに過ぎません。大切なのは目的意識。教養として身につけたいのか、就職に役立てたいなら、どこでどんな仕事がしたいのか。子どもの成長とともに、英語より優先的に学びたいことも出てくるでしょう。

目的によって、留学の仕方も変わります。留学のタイプを理解した上で、お子さんと一緒に考えていけるといいですね。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター