グローバル化が進み、将来、子どもの海外留学を考えている人も多いでしょう。留学のタイプや計画の立て方、それぞれの留学の効果、幼少期からの準備、陥りやすい失敗など、語学留学を経験した筆者が体験を交えてご紹介します。
海外留学のメリット
その意味では、最近人気のスカイプを使った英会話教室でも、英検受験のための勉強でも効果はあると思います。とはいえ、そうした学習法を、モチベーションを高く保って継続することはなかなか難しいもの。
その点、一定期間、海外で生活し、英語漬けになることで英語の思考回路に切り替えることができる海外留学は、やはり英語習得のための最もてっとり早く、効果的な手段です。言語は人が社会生活をするための道具である以上、英語が使われている国で生活しながら、その国の文化の中で英語に触れ、「こういうときはこう言うんだな」「こういう人がこういう言い回しをするんだな」ということを肌で感じられるのは大きなメリットといえます。
お子さんが英語習得を目指しており、それができる環境にあるならば、一度は海外留学を経験してみることをおすすめします。
【3つのタイプ別】海外留学のポイント
【海外の高校や大学に入学】
・国際社会で活躍するときに役立つ学歴や仲間が手に入る
・まとまった期間、留学することで確かな語学力や海外で通用するコミュニケーション力が身につく
・入学には高い英語力が求められるため、しっかりとした準備が必要
【日本の高校や大学の交換留学プログラムを利用】
・日本の学校に通いながら、サマースクールや1学期、1年間など、決められた期間で比較的手軽に留学できる
・必要な学費は日本の学校分だけで、提携校への学費は免除されることも多い
・単位の互換性があれば、留年せずに日本の大学を卒業できる場合もある
・学校代表として派遣されるため、英語力にも学内の応募条件が決められている
【語学学校】
・英語に自信がない人でも挑戦できる
・学校は英語のレベル別のクラスなので、語学力不足による脱落はしにくい
・さまざまな国籍や年齢の留学生と一緒に学ぶことができる
・途中で学校やクラスを変更するなど、自由度が高い
海外の高校や大学に入学したいなら計画的な準備が必要
日本の学校に入学し、交換留学プログラムを利用するなら、長くても1年程度なので、海外生活の経験まではなくてもがんばれるかもしれません。交換留学プログラムはすべての大学にあるわけではないので、大学や学部を選ぶときに調べておくこと。つまり、大学での交換留学プログラムに参加したい場合、具体的な準備は遅くとも大学受験時から始められるとベストです。
語学学校のメリット
語学学校の一番のメリットは、子どもが「行きたい!」と思ったときにすぐに行ける、自由度の高さです。叔父の赴任先の近くで語学学校を探し、ファックスで申込みをして、大学に休学届けを出し、あっという間に留学が決まりました。
楽しいほうが英語は学べる!
筆者の場合、最初はイギリスの語学学校でしたが、旅行で訪れたアイルランドが気に入ってしまい、叔父の元を離れてアイルランドの学校に変更。今思えば、ずいぶん身勝手な話ですが、イギリスの語学学校の校長も「楽しいほうが英語は身につくよ」と言っていましたし、私もそうだと思います。友人ともっといろんなことを話したい、もっといろんな経験をしたいと思うことが、英語学習のモチベーションになるからです。
長期の語学学校は試験対策コースを選ぶ
日本の大学生は文法力がありますので、筆者も一般クラスではすぐに上級クラスになりました。しかし、試しにケンブリッジ英語検定対策コースに変更してみると、一般クラスとはレベルが違うことに気づきました。進学や就職のために試験を受験する留学生が集まっていますし、学校側も実績となるため、真剣度が違うのです。試験対策をする中で、文法の理解度の甘いところや、英語での文章力の弱さに気づき、弱点をつぶしていく勉強ができたことで、レベルアップできたと思います。
語学学校VS交換留学、英語力の成果の比較
【語学学校(筆者)】
・留学期間…約8カ月
・ケンブリッジ英語検定アドバンス(CAE) 合格
・帰国1年後のTOEIC 860点
【大学交換留学(友人)】
・留学期間…約1年
・帰国直前のTOEIC 920点
TOEIC、負けた…!と思いました。友人曰く「アメリカの大学に留学したら、このくらい普通だよ」 だそうです。当時のTOEICはアメリカ英語が主流でしたし、筆者が受験したのは帰国してから1年以上後で、対策もまったくしていませんでした。さらに、ケンブリッジ英語検定はマークシートではなく、文章構成やスピーキングも問われるので、レベルが高い試験だと思います。とはいえ、ちょっと悔しかったので、筆者は第二子を出産したとき、対策をしてTOEICを記念受験し、980点をとりました。そんな後日談付きではありますが、語学学校でも大学でも、本人が努力すれば、身につく英語力にそれほど大差はないといえるでしょう。
留学先はどこを選ぶ?
それよりも、お子さんが安心して通える治安のいい環境である、好きな国で楽しく過ごせる、頼れる親戚がいるなど、精神面をサポートできる国や場所を選ぶことをおすすめします。アメリカ、イギリスのほか、カナダやスイスも人気があるようです。
ホームステイがストレスになる生徒も多い
ホストファミリーとの相性が悪い場合は、ホームステイ先の変更もできます。しかし、基本的な生活習慣を身につけておく、何か言われても動じずに大人と交渉できる力をつけるなど、英語力以前の側面も日頃から鍛えておけるとよさそうです。海外では学生同士でアパートをシェアすることも多いので、あまりストレスになる場合は早めにアパートを検討してみるのもいいでしょう。
幼少期からの英語の早期教育は必要?
とはいえ、子どもが自主性を持つ前から、どこまで親主導で勉強させるべきか、というと悩ましいところ。言語力は、使わないとすぐに落ちます。つまり、幼少期から始めても、やり続けないと意味がなく、そのためには子ども自身のやる気が不可欠なのです。
ちなみに筆者は、同年代にオーストリア人と日本人のハーフのいとこがいました。小さい頃に会ったのは数回ですが、一緒に楽しく遊べたことが、その後の英語への興味につながっていることは間違いありません。そういう意味では、早期教育とまではいかなくても、生きた英語に触れる機会を作ってあげることは大切だろうと思います。
留学は目的意識を持って計画しよう
目的によって、留学の仕方も変わります。留学のタイプを理解した上で、お子さんと一緒に考えていけるといいですね。