日本人が苦手意識を抱きやすい英語の発音。発音を学習する際に「発音記号」を活用したことはあるでしょうか?英語にはカタカナでは表記できない音がたくさんあります。正確な音を知ることで、英会話力アップに役立てましょう。発音記号を知る利点と、その例をまとめてみました。
日本人は英語の発音が苦手?
【日本人にとって英語の発音が難しく感じる理由】
- 英語には日本語にない発音がたくさんあること (例えば「ア」の発音にも複数の種類があります)
- カタカナ英語(ローマ字読み)=英語と勘違いし、正しい英語の発音から離れてしまうこと
- 英語は綴りによって(後に続く文字によって)発音が変わる場合もあること
英語の発音記号とは
英語の辞書を引くと、英単語・単語の意味とともに、発音記号が表記されています。発音記号は、その英単語の正確な発音を示す記号です。たとえば「apple」は「ǽpl(ェアッポゥ)」です。
日本の辞書などでよく使われるのは、「Jones式」という発音記号。一方で世界的には「IPA(International Phonetic Alphabet:国際発音記号)」が広く採用されています。IPA式はJones式よりも音の種類を細分化しており、世界のさまざまな言語の音声表記ができるとしています。
Jones式のほうが簡単という点では、英語学習初心者には取り組みやすいでしょう。
英語習得に発音記号は必要?
発音記号を知ることは発音上達への近道
日本語に比べて、英語の母音・子音は種類が豊富です。そのため発音記号以外で正確な発音を表記することが難しいのです。実際に、カタカナ英語やローマ字読みを英語の読み方として誤って認識しているケースは多くあります。
またアメリカ英語とイギリス英語でも、発音が異なる英単語は少なくありません。両者の発音の違いは英単語の綴りからは確認できませんが、発音記号を見てみると一目瞭然。発音記号を知って正確な発音を理解することこそが、発音上達の近道と言えるでしょう。
さらに英語辞書には、英単語のアクセント記号も記載されています。アクセントが欠落した英語は伝わりにくく、発音記号とともにアクセント位置にも注意が必要です。
発音が上達するとスピーキングに自信がつく
発音上達=リスニング力アップ
代表的な発音記号
母音(vowels)の種類・発音・英単語例
①短母音:短く発音する母音(伸ばさない)です。
【発音記号】/ ʌ /
【発音の仕方】口を大きく開けずに、何か思いついたときに発する「あっ!」というイメージ。
【英単語例】but、cup、mother
【発音記号】/ æ /
【発音の仕方】舌先が下の歯つけ根に接触した状態で「ア」(エに近いア)と発音する。
【英単語例】apple、cat、hat
【発音記号】/ ǝ /
【発音の仕方】口をリラックスさせた状態で「ァ」と発音する。英語ではよく使用される音。
【英単語例】about、ago
【発音記号】/ ɑ /
【発音の仕方】大きく口をあけ、日本語の「オ」を発音するように「ア」と発声する。
【英単語例】box、hot、lock
【発音記号】/ ɪ /
【発音の仕方】舌先が下の歯つけ根に接触した状態で「イ」「エ」の中間のような音を出す。
【英単語例】hit、fill、think、sit、ship
【発音記号】/ ʊ /
【発音の仕方】唇を丸くし、前に突き出して「ウ」を発音する。短く発音する。
【英単語例】book、good、push、put
【発音記号】/ e /
【発音の仕方】日本語の「エ」のような音。日本語で発音する場合よりも口をあける。
【英単語例】head、bed、ten
②長母音:伸ばすような音
【発音記号】/ ɑ: /
【発音の仕方】大きく口をあけ、「アー」と長く発音する。/ ɑ /を伸ばした音。
【英単語例】father、class
【発音記号】/ ɑ:r /
【発音の仕方】口を縦に大きくあけた状態で喉の奥から「アー」と発音する。
【英単語例】arm、car
【発音記号】/ ǝ:r /
【発音の仕方】舌を喉の奥の方に丸めるイメージで「ゥアー」と発音する。
【英単語例】bird、girl
【発音記号】/ i: /
【発音の仕方】唇を左右に引き、強く「イー」と発音する。
【英単語例】eat、see
【発音記号】/ u: /
【発音の仕方】日本語の「ウー」のような発音。唇を前に突き出して発音する。
【英単語例】food、tooth
【発音記号】/ ju: /
【発音の仕方】日本語の「ユー」のような発音。唇を前に突き出すイメージ。
【英単語例】you、use
【発音記号】/ ɔ: /
【発音の仕方】日本語の「オー」のような発音。縦に口を大きくあける。
【英単語例】walk、tall、dog
③複合母音:複数の母音から成る母音
※以下は二重母音とよばれます。
【発音記号】/ ai /
【発音の仕方】「アーィ」のような発音。大きく口をあけて「ア」と言い、「ィ」を弱めに接続。
【英単語例】ice、fire
【発音記号】/ au /
【発音の仕方】「アーゥ」のような発音。大きく口をあけて「ア」と言い、「ゥ」を弱めに接続。
【英単語例】out、house
【発音記号】/ ei /
【発音の仕方】「エーィ」のような発音。日本語の「エ」より顎を下げた状態で発音し「ィ」を弱めに接続。
【英単語例】cake、face
【発音記号】/ ɔi /
【発音の仕方】「オーィ」のような発音。日本語の「オ」より口を縦に大きくあける。「ィ」を弱めに接続。
【英単語例】boy、join、toy
【発音記号】/ ou /
【発音の仕方】「オーゥ」のような発音。口の形を丸くし「オ(とアの中間のような音)」を発音し「ゥ」を弱めに接続。
【英単語例】home、nose
子音(consonants)の種類・発音・英単語例
子音には「有声子音」「無声子音」という区分があります。
L有声子音:声で出す音。発声するときに、声帯が振動する音(喉仏のあたりが震動する)。
L無声子音:息の音だけで出す音。発声するときに、声帯が振動しない音。
また子音の調音方法によって「破裂音」「摩擦音」に区別されます。
L破裂音:鼻腔・口腔内で閉鎖をつくり気流を逃さないようにしたあと、閉鎖を開放して出る音。
L摩擦音:声道内に狭い隙間をつくり、その隙間を流れる呼気によってできる音。
分類方法をざっと確認したところで、発音例をみてみましょう。
【発音記号】/ p /
【分類】無声子音・破裂音
【発音の仕方】唇を閉じた状態から急に開いて、「パッ」と破裂させるように息を出す。
【英単語例】pen、park
【発音記号】/ b /
【分類】有声子音・破裂音
【発音の仕方】唇を閉じた状態から急に開いて、「バッ」と破裂させるように声を出す。
【英単語例】book、boy
【発音記号】/ t /
【分類】無声子音・破裂音
【発音の仕方】舌先を上の歯裏のつけ根あたりにつけて、急に舌を離して息を出す。
【英単語例】test、tall
【発音記号】/ d /
【分類】有声子音・破裂音
【発音の仕方】舌先を上の歯裏のつけ根あたりにつけて、急に舌を離して声を出す。
【英単語例】dog、old
【発音記号】/ k /
【分類】無声子音・破裂音
【発音の仕方】舌の後方部分を上顎につけた状態から、急に舌を離して息を出す。
【英単語例】cat、book
【発音記号】/ g /
【分類】有声子音・破裂音
【発音の仕方】舌の後方部分を上顎につけた状態から、急に舌を離して声を出す。
【英単語例】dog、good、goal
【発音記号】/ f /
【分類】無声子音・摩擦音
【発音の仕方】上前歯を下唇にあてた状態で、隙間から息を出す。
【英単語例】food、safe
【発音記号】/ v /
【分類】有声子音・摩擦音
【発音の仕方】上前歯を下唇にあてた状態で、隙間から声を出す。
【英単語例】seven、very
【発音記号】/ θ /
【分類】無声子音・摩擦音
【発音の仕方】舌先を上下前歯で挟み、息を出す。「スー」のような音だが日本語にない音。
【英単語例】thank、think
【発音記号】/ ʃ /
【分類】無声子音・摩擦音
【発音の仕方】唇を丸くして突き出し、上下の歯は閉じた状態で隙間から「シュ」と息を出す。
【英単語例】sure、sugar
【発音記号】/ ʒ /
【分類】有声子音・摩擦音
【発音の仕方】唇を丸くして突き出し、上下の歯は閉じた状態で隙間から「ジュ」と声を出す。
【英単語例】pleasure、usual
発音練習のポイントと上達のコツ
上達のコツ
おすすめの発音練習アプリ
ゲーム感覚で楽しく練習できる「発音博士」
「発音博士」は、お手本の発音と自分の発音を比べて点数化するアプリです。英語の読み書きができないお子さまも挑戦できます。
【内容】
発音練習したい英単語を選ぶとお手本発音が流れ、発音記号が表示されます。スタートボタンをタップし、お手本に習って発声。自分が発声した英単語が発音記号・点数として表示されます。
【アプリの特徴】
・声に出した発音が発音記号で表示され、お手本発音と比較できる。正しく発音できている音・間違えた音を簡単に把握可能。
・発音が点数化されるので、単純に楽しめる。
・録音機能がついているので、自分の発音を確認できる。
・聞いた音を声に出すだけなので、読み書きできない小さいお子さまでもチャレンジできる。
読み書きできるお子さまには「英語発音速成攻略」
ふたつ目のアプリは、「英語発音速成攻略」です。
【内容】
基本的な文章、母音・子音の発音練習ができます。フォニックスの要素も取り入れられています。
【アプリの特徴】
・基本文例の一つひとつにイラストがついていて、わかりやすい。
・音声スピードがややゆっくりのため、英語学習初心者も聞き取りやすい。
・聞いた音を書き取るコンテンツがあり、ディクテーション訓練になる。
親子で発音練習の場を設けよう
日本の実生活で、英語を使う機会はなかなかありません。実践の場が少ないため、お子さまには意識的に英会話の機会をつくってあげたいもの。親子で一緒に発音記号をマスターして、発音アプリで勝負するなど、ご家庭のなかに英語学習の力試しの場を持てると良いでしょう。
発音に自信がつくと英語を話す意欲にも直結し、聞き取る力もぐんと上がって一石二鳥です。