筆者の住むオーストラリアの現地校に日本から短期留学生がたびたびやってきます。子どもに早く海外留学を体験させたいと考えるご家庭は、最近増えているようですね。日本人の中高生が過ごすオーストラリアの短期留学の様子から、短期留学の意味や効果を探ります。
日本の中高生がオーストラリアで短期留学
筆者は西オーストラリア州・パースに、6年前から家族で住んでいます。筆者の長女が通っていたローカルのハイスクールには、たびたび日本からの中高生がやってきます。そのほとんどは、学校のプログラムによる交換留学生、もしくは一般の英会話教室や留学エージェントが行っている短期留学プログラムを利用してやってきます。
英語教育に力を入れる家庭が増えている昨今「いつか子どもに海外留学を経験させたいな」と考えるご両親も多いでしょう。
留学中の子どもたちは、現地でどんなことをして過ごしているのでしょうか?日本から短期留学でやってきた中高生のこちらでの様子を、現地在住者の視点で紹介します。
ただし、ここで紹介することは筆者の周りでの体験談ですので、学校や参加プログラムによって違う点もあるかと思います。ご了承ください。
中高生のオーストラリアの短期留学内容は
滞在期間や服装は?
筆者の娘の学校に日本からやってくるのは、中学生・高校生の子どもたちです。日本の春休み・夏休み・冬休みの期間を利用した、1週間から2週間の滞在がほとんどです。
娘のハイスクールには日本語が話せる先生がいるため、日本語でレクチャーを受ける時間もあります。
ちなみにオーストラリアのハイスクールはユニフォームがありますが、日本の学生たちは代わりに自分の学校の制服を着て登校しています。
オーストラリア留学のバディとは?
娘が通っているハイスクールは、日本のある高校と姉妹校提携をしているため、その姉妹校から定期的に交換留学生がやってきます。留学生の受け入れ期間は、ハイスクールの学生から一人ずつ「バディ」が割り当てられます。日本の学生はそのバディの家にホームステイし、学校では主にバディと共にこちらの英語環境の授業を体験します。
放課後には、バディやそのお友だちとショッピングセンターに行くなど、自由に過ごしています。週末はバディの家族と観光に行くこともあります。
留学エージェントによる留学プログラムの場合は、個別にホームステイ先が手配されるようです。
日本の中高生がオーストラリアの学校で驚くことは?
娘の話によると、日本の子どもたちがオーストラリアの学校に来てまず驚くのが、グラウンドが全面芝生なこと、そして広いことです。こちらのハイスクールは、中高一貫ということもありますが、どの学校にも広々とした運動場があり、さらにテニスコートやネットボール等の競技場があります。
また、オーストラリアのハイスクールは、生徒たちが主に過ごす教室(ホームルーム)はありません。授業の科目ごとに学生たちが教室を移動します。そのシステムの違いに日本の中高生は戸惑うようです。
その他、授業中に生徒の発言が活発なこと、先生が髪を(赤やピンクなどに)染めていることなども驚くことが多いようです。
留学を活かすには授業への積極的な参加を
貴重な留学の機会。英語ネイティブの仲間と接することで自信を得たり、課題を見つけたりしてほしいものです。国際交流なので視野がひろがることも。留学は短期ですが、友だちができれば交流は続きます。
ぜひ、積極的に授業に参加して、交流も楽しんでほしいところです。
ただ、こちらの学生から見ると、日本の生徒はおおむね「おとなしい」イメージなのです。授業中は、クラスルームの端の方で、黙って静かにしていることが多い様子。
たとえばダンスのクラスでは、先生が「あなたもやってみない?」と誘っても、断って見ているだけの生徒が多いとか。
中には、クラスにいながらディスカッションに加わらず、日本の夏休みの宿題をやっていた子もいたようです。留学という貴重な体験よりも、宿題が気になってしまったのでしょうか。
英語力の有無もあるとは思いますが、日本の中高生はオーストラリアと比べると、学校の中で「自分を出さない」ように見えてしまいがちです。
短期留学はその後の英語学習や本格的な留学につながる?
1~2週間の短期留学の場合、英語力アップなどの実質的な成果より、異文化体験が大きな目的になります。
英語が話せなくても、知っている単語を並べてコミュニケーションを取り、楽しんで帰っていく子もいれば、異なる環境にストレスを感じて「早く日本に帰りたい」と言う子もいるようです。
短期留学の体験が、その後の英語学習や本格的な留学へのモチベーションとなるかどうかは、お子さま次第といえるでしょう。
しかしながら、百聞は一見にしかず、です。日本のやり方とは違う社会があると実感するだけでも、お子さまにとっては大きな収穫ではないでしょうか。
小さいお子さまのいるご家庭では、異なる文化について普段から家庭で話し合うことで、海外への興味を育てていくとよいですね。