これからの時代にますます必要となっていく「英語力」。大切なのは、英語を通して「自分の意見を伝える」表現力です。人前で自分の考えを話すことが苦手な人は多いですが、スピーチや議論をするときなど「人前で自分の意見を話すスキル」は、どうやって育てたらよいでしょうか?
英語文化では「言葉で伝える」ことが重視されている
筆者は西オーストラリア州・パースに家族で移住し、6年半住んできました。そういった状況下で、確かに英語文化の中では「自分の考えを言葉で表現すること」が、日本以上に重視されているなと感じています。
一方、日本人は「人前で自分の意見を言う」ことに苦手意識を持つ人が多い印象です。しかし、海外の人と接する機会が増えるほど、自分の考えを言葉で表現するスキルは重要になります。
では、「人前で話すスキル」を子どものときから育てるには、どうしたらよいでしょうか?
人前で話すことも「練習」が必要
もしも発言の機会があらかじめ決まっているならば、事前に「練習しておく」ことは大切です。話す内容を落ち着いて考え、それがすらすらと言えるまで、自分で何度も練習します。
当たり前のことのようですが、こうした地道な準備が、人前で話す時の自信につながります。最初から大勢の前で話すことが得意な人もいるかもしれませんが、きちんと準備をし、何度も内容を繰り返し練習した方が、聞き手に伝わりやすい話し方ができるものです。
お子さまにはうまく話せるかどうかよりも、自分が自信を持てるようになるまで何度も練習をすることの大切さを教えてあげましょう。
具体例を挙げると説得力が増す
日本人から見ると、「欧米では自分の意見を強く主張する」というイメージがあると思いますが、それは単に「頑固に自分の意見を押し通すこと」ではありません。自分の意見を持つことは大切ですが、それを裏付ける具体例を示すことの方がより重要なのです。
たとえば、現在小学校4年生の息子は、学校の授業で「犬と猫、どちらの方がペットとして優れているか?」というディスカッションを行ったそうです。もちろん、どちらが優れているわけでもありません。この授業の目的は、それが犬であっても猫であっても、自分の意見をサポートする具体的な事例を示すことでした。
たとえば、犬が優れている理由としては、「吠えて不審者から家を守る」「芸を覚えて飼い主を助ける(介助犬)」などが挙げられますし、猫が優れている理由は「ネズミをつかまえる」「散歩に連れて行かなくてよい」などが挙げられます。これらを実体験や参考記事などを示しながらまとめ、「~だから私は犬(猫)の方が、ペットとして優れていると思う」という結論を述べるものでした。
このように、自分の意見を考える際に、「なぜそう思うのか」を、簡単で身近なものでよいので、具体例を探しながら考える習慣を身につけるとよいでしょう。お子さまとの会話の中で、取り入れてみてはいかがでしょうか。
聞くことも大切
海外の子どもたちは、堂々としている印象を持つ人も多いでしょう。しかし、オーストラリアの子どもたちも、大勢の前に立つ時は緊張するようです。
オーストラリアでは、学校教育の中で「自分と違う意見もリスペクトする」ことが厳しく教えられている点が、日本の教育とは違うのかな?と、筆者は感じます。自分の意見を言うことと同じように、人の意見を大切に聞く姿勢も、こちらの教育では評価されます。逆に言うと、みんなと違う意見を発言しても、叩かれる心配がありません。
自分と違う意見も尊重する、という価値観を子どもたちの間で育てていくことで、結果的に子どもたちが「自信をもって話せる」ようになっていくのではないか、と筆者は思いました。
チャレンジする勇気を認めてあげよう
私たち大人として、子どもに対してできることは、「この子は恥ずかしがり屋だから」「人前で話すのが下手だから」と決めつけないことです。まず人前で話すというチャレンジに取り組むことを促し、その勇気を認めてあげるとよいのではないでしょうか。その上で、今回の記事で紹介したような点を取り入れてみてください。