正岡慧子さんは、絵本の文章を書く絵本作家です。正岡さんの書く文章は優しさにあふれており、読み終えた後にはほっこりと優しい気持ちになれるものばかり。そんな正岡さんの絵本の中からおすすめのものをご紹介します。
正岡慧子さんの書く文章の魅力
正岡慧子さんは、絵本の「文章」のみを作る作家さんです。しかし正岡さんは、絵本の中で一番大切なのは「絵」であるといいます。子どもの目に一番に飛び込んでくるのは文章ではなく絵だからだそうです。
そのため正岡さんは、絵本の文章に合わせて絵ができ上がった後に、絵に合わせてもう一度文章を書きなおしているといいます。
大人むけには「優しさ」を、子どもむけには「自立」をテーマに書くことが多いとのこと。
今伝えたいテーマを、優しくあたたかい言葉で表現している正岡さんの絵本は、読む人をほっこりした気分にさせてくれます。
きつねのたなばたさま
著者:正岡慧子(作) 松永禎郎(絵)
出版社:世界文化社
子ぎつねは、母ぎつねが死んでしまったことを知らずに、お母さんの帰りを待ちわびていました。
ある日子ぎつねは、子どもたちが短冊に願い事を書いているのを見かけます。そこで子ぎつねも、「お母さんが早く帰ってくるように」という願いを込め、手形を葉っぱに押し、笹につるしました。しかしお母さんが帰ってくることはなく、子ぎつねはだんだんと弱っていきます。
切ないお話に、大人のほうが悲しい気持ちになりそうな絵本です。しかし、この作品にはどんな困難にも負けずに立ち向かい、自立してほしいという願いが込められています。
ゴロゴロドーンかみなりさまおっこちた
著者:正岡慧子(作) ひだきょうこ(絵)
出版社:ひかりのくに
ある日、はなさんがやっている海の家に、雷のお父さんと子どもがやってきました。雷の子どもは、お父さんが雲から落っこちて、足にけがをしてしまったといいます。しかし2日後には、夕立を降らせるという大事な仕事が待っているそうです。
そこで雷の子どもは、「自分が夕立を降らせる」と宣言します。そしてはなさんはそれを手伝うことに。無事に夕立を降らせることはできるのでしょうか?
雷の子どもとはなさんの奮闘ぶりが楽しい絵本です。
雷の音を怖がっているお子さまも、「雷の音にはそんな物語が隠されていたんだ!」と想像することで、怖くなくなるかもしれません。
また、このお話は子どもの自立がテーマになっていますので、お子さまにたくましく育ってほしいと考えている方にもおすすめです。
きょうは せつぶん ふくは だれ?
著者:正岡慧子(作) 古内ヨシ(絵)
出版社:世界文化社
泥棒があらわれるという予想外の展開にハラハラドキドキ。
「節分」について、お子さまにしっかりと教えてからこの絵本を読んであげてください。ストーリーの意外性が引き立ち、さらに楽しめるはずですよ。
あなぐまのクリーニングやさん
著者:正岡 慧子(文) 三井 小夜子(絵)
出版社: PHP研究所
ある日ライオンさんが大切な燕尾服をあなぐまさんに預けました。それはライオンさんがとても大切にしているもの。しかしあなぐまさんはライオンさんの燕尾服にうっかり焦げ跡をつけてしまうのです。
焦げ跡をつけてしまう場面はハラハラドキドキ。しかし、その後のあなぐまさんの誠実な対応や、ライオンさんの優しさにほんわかとした気持ちになります。
ぶたのほかほかパンやさん
著者:正岡慧子(文) 神山ますみ(絵)
出版社:PHP研究所
ある日パンのコンクールが開催されることになりました。このコンクールで優勝すると、自分のお店が持てるのです。ネズミの夫婦はコンクールのことをぶたさんに教えてあげました。果たして結果はどうだったのでしょうか?
パンができるまでの様子が丁寧に描かれています。おいしそうなパンの絵におなかがすいてしまうかもしれませんね。
この絵本を見ると、パンができ上がるまでの過程を通し、働くことの大変さがわかります。また、食べ物がおいしくなるのは作り手の愛情がこもっているからだということにも気付かせてくれます。
あたたかくてほっこりとしたお話です。
絵本で心の成長を
お子さまの成長を願いながら、読み聞かせてみてはいかがでしょうか?
絵本の内容について親子で感想を話し合ってみてもいいかもしれません。お子さまの心の成長に、絵本の読み聞かせをぜひ活用してみてくださいね。